3.国会論議の概要
ここでは、国会での委員会審議の中から今後の解釈運用に関わり得る主な質疑を幾つか紹介することとしたい。なお、紹介する質問と答弁(デジタル大臣、デジタル庁職員、法務大臣、法務省職員、厚生労働省職員の答弁)は、いずれも、発言そのままではなく、趣旨をまとめたものである。
【マイナンバーの利用範囲の拡大・マイナンバーによる情報連携】
○従来、マイナンバーの利用範囲を3分野に限っていた理由について
→ 当初は、社会保障・税に関して、制度の枠組みを超えて、効率性、透明性、公平性を高めていこうという観点で導入することになったと承知。その議論中に東日本大震災があり、これらに災害を加えて3分野ということになった。
ただ、制度導入時に様々検討をしている中で、施行状況を見ながら必要があると認められる場合には、国民の理解を得ながら利用範囲を拡大していく、そのための所要の措置を講ずることとしようということになっていた。当初は3分野ではあったが、将来的には幅広い分野での利用ということを目指していた。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・2ページを基に作成
○3分野以外に広げるのは違憲ではないかとの懸念について
→ マイナンバー制度はプライバシー権を侵害し違憲ではないかと争われた訴訟について、今年3月の最高裁判決では、マイナンバーの利用範囲について、社会保障、税、災害対策及びこれらに類する分野の法令・条例で定められた事務に限定することで、マイナンバーによって検索・管理がされることになる個人情報を限定していることなどを挙げて、マイナンバー法に基づく特定個人情報の利用・提供等は、正当な行政目的の範囲内で行われていると判断されたものと承知。
今般の法改正によって、理念として、社会保障、税及び災害対策以外の行政事務においてもマイナンバーの利用の推進を図ることとしているが、マイナンバーの利用が可能となる具体的な事務については、引き続き法令又は条例で定められた範囲に限定している上、いずれも正当な行政目的の範囲内であることに変わりがないため、問題はないと考えている。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・2ページを基に作成
○マイナンバーの利用範囲の拡大に伴うデータマッチング等の危険性について
→ マイナンバーは、ほかの識別子に比べて識別強度が高く、情報のマッチングや集積した情報の名寄せなどの処理に長けていることから、その利用範囲は法令又は条例で定められた行政事務に限定するとともに、制度面・システム面で各種セキュリティー対策を講じている。
具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、情報が保護される仕組みになっているかを事前に確認する特定個人情報保護評価や漏えい防止等の安全管理措置を義務付けるとともに、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、行政機関等の保有する個人情報について、一元管理をせず、各行政機関等で分散管理し、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用するなど、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとすることなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしており、自分に関する情報が行政機関の間での情報連携がされた場合には、それが記録されるとともに、マイナポータル上で確認することができる。
これらの仕組みは今般の改正法案により変わるものではない。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・3ページを基に作成
○マイナンバー利用事務の拡大や、法改正を経ないでマイナンバーによる情報連携を可能とすることに関し、国会の監視機能が十分に果たせなくなるのではないかとの懸念について
→ 本改正においても、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があり、国会における審議が必要。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしている。
また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしている。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはない。
主務省令の改正についても、行政手続法に基づいてパブリックコメントを行う必要があるため、国民の見えないところで事務の追加あるいは情報連携の項目が増えるということはない。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・3ページを基に作成
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・34ページを基に作成
○「準法定事務」について規定する趣旨について
→ 従来のマイナンバーの利用範囲については、利用主体・事務について、個別の法律を引用する形で法定。そのためマイナンバーを利用できることとされている事務と実質的に異ならないにもかかわらず、個別の法律に基づかない事務の場合は、マイナンバーを利用ができなかった。
この改正でも、個別の法律の規定に基づく事務は、新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続きこのマイナンバー法の別表に個別に規定をする、そのために国会における審議が必要である点に変わりはない。
その上で、個別の法律に基づかないもので、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずるものについて、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることにしている。
主務省令の改正に当たっては、行政手続法に基づくパブリックコメントを行うため、国民にはっきり示した上で、マイナンバーを利用できる事務を追加するということになる。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・8ページを基に作成
○「準法定事務」の具体例について
→ 例えば、最近の新型コロナウイルスのワクチンの予防接種は、予防接種法に基づく事務であるため、マイナンバーを活用して行った。
しかし、在日米軍が基地内で働く日本人の従業員に行った予防接種については、ファイザーやモデルナのワクチンを注射器で筋肉注射するという全く同じ事務であるにもかかわらず、予防接種法に基づくものではなかったため、マイナンバーを活用することができなかった。
このように、法律には基づいていないがやっていることは同じ、すなわち事務の性質が同一であるというものについて、主務省令でマイナンバーの利用を可能とするというのが今回の改正の趣旨。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・8ページを基に作成
→ 生活保護等についても、日本人に対する生活保護は法定されているが、外国人向けにはいわゆる条例において個別の自治体で定めていたりする。これも含めて、法技術的には別表に書けないが、全く同じ事務であってもマイナンバーが利用できないということが現時点では起こっている。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第9号・令和5年4月25日・10ページを基に作成
○マイナンバーの利用範囲のネガティブリスト方式の採用について
→ 従来からマイナンバー法では、マイナンバーの利用を別表に載せた事務に限定するポジティブリスト方式を採用。
ネガティブリストを採用する場合、マイナンバーの利用が認められない事務を法令などで漏れなく規定しなければならないが、行政事務は、広範にわたり、また、社会情勢の変化によって変化していくため、柔軟に対応する必要があるので、全てネガティブ方式で駄目なものをリストするというのは難しく、また、時宜に応じて不断の見直しをするということになってしまう。マイナンバーの利用が認められない事務をネガティブ方式で網羅的に規定する、しかもそれを法令でやるというのは、やや困難。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・23ページを基に作成
○マイナンバーカードと健康保険証との一体化の趣旨について
→ マイナンバーカードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあり、これをより多くの国民、関係者に早く届けられるよう、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年秋の健康保険証の廃止を目指すこととしている。
なお、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではない。そのため、マイナンバーカードの保有を義務付けるものではなく、事実上強制するものでもない。
また、今後、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した後の資格確認について、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本としつつ、例外的な事情によりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者については、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認することとしている。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・3~4ページを基に作成
○マイナンバーカードと健康保険証の一体化の具体的なメリットについて
→ 健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けることが可能となる。
具体的には、例えば、自身が使われた薬や、過去の健康診断の結果などを口頭で正確に伝えるというのはなかなか難しい面があるが、本人が同意すれば、データによって正確に医師などに伝えられる。
薬剤については、入院中の薬剤や院内処方のほか、別の医療機関やほかの診療科で処方された薬剤も含めて、情報が医師などに提供されるようになるため、これを確認することによって、より多くの正確な情報に基づいた総合的な診断、あるいは重複する投薬を避けて適切な処方が行われるといったことが可能となる。
→ ほかにも、自己負担限度額を超える支払いが不要になるという仕組みがあるが、現在では、これを利用するためには限度額適用認定証という書類を取得して、それを持参する必要があるが、マイナンバーカードで受診すれば、オンラインの資格確認によって確認できるようになるので、このような書類を持参することが不要となる。
→ 医療機関等にとっては、窓口で確実な本人確認ができる、あるいは保険資格の転記の自動化もできるため、事務負担の軽減が図られるほか、医療DXの基盤の整備につながる。
→ 保険者にとっては、例えば、資格喪失の後で被保険者証が利用されてしまう、あるいは被保険者番号の誤記があって請求があるといった過誤請求に関する事務処理負担が減少する。また、健康保険証や限度額適用認定証の発行などの事務手続・事務負担が減少するといったメリットがある。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・8~9ページ
〇新たな「資格確認書」の対象者について
→ 具体的には、マイナンバーカードを紛失した者、あるいは更新中の者、まだマイナンバーカードを取得していない者、ベビーシッターなど第三者が本人に同行して本人の資格確認を補助する必要がある場合などを想定。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・20ページを基に作成
○新たな「資格確認書」の記載情報について
→ 資格確認書については、現行の健康保険証の記載事項も踏まえて、氏名、生年月日、被保険者等記号・番号、保険者情報などを記載することを想定。より具体的な記載内容、サイズなどについては、関係者の意見を聴きながら丁寧に検討する。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・19~20ページを基に作成
○「短期被保険者証」の廃止について
→ 短期被保険者証は、国民健康保険法の規定に基づいて健康保険証に特別な有効期間を設定したものであるため、健康保険証を廃止することに伴い、廃止することとなるもの。
ただ、健康保険証を廃止した後においても、継続的に納付相談や納付指導を行うことで保険料の滞納の解消に努めることは大変重要と考えており、引き続き、市町村に対して、保険料滞納者との接触の機会を確保することを求めていきたいと考えている。
こうしたことを踏まえ、本法案では、1年以上保険料を滞納している者に対し、特別療養費を支給するまでに、保険者が保険料の納付の勧奨や相談などの保険料の納付に資する取組を行うことを法律上明確に位置付けており、これにより、滞納者との十分な接触の機会の確保を図る仕組みを設けているところ。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・19ページを基に作成
○特別療養費の支給における事前通知の仕組みについて
→ 健康保険証の廃止に伴って、特別療養費の支給を事前に通知する仕組みを設けることにしている。具体的には、まず、市町村が納付勧奨や納付相談の実施などによって保険料の納付に資する取組を行ったにもかかわらず、災害や病気などの特別の事情がなく1年以上保険料を滞納されている場合には、償還払いとなる特別療養費の支給に変更する旨の事前通知を行った上で、特別療養費を支給することとしている。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・19ページを基に作成
○乳幼児のマイナンバーカード発行について
→ 子供向けの各種給付等にもマイナンバーカードを活用することを考えると、新生児の時点での取得の円滑化は重要な課題。
このため、新生児への交付や紛失等に対する再交付を対象に、今般、マイナンバーカードの特急発行・交付の仕組みを作ることとしている。こうすれば、親等が法定代理人として、市町村の窓口で申請し、申請者に直接送付をするということで、申請から1週間以内、最短5日で交付される。
また、今般の法改正により、1歳未満の乳幼児に交付するカードについては顔写真をなくすことで、実態も新生児に対して円滑にカードが取得できるようになる。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・5ページを基に作成
【郵便局におけるマイナンバーカードの交付申請の受付等】
○制度の趣旨について
→ マイナンバーカードは、対面やオンラインで安全、確実に本人確認を行うためのツールであり、成り済まし等による不正取得を防ぐために、申請時又は交付時に市区町村の職員による厳格な本人確認を経て交付することを原則としている。
今回の郵便局事務取扱法の改正は、マイナンバーカード取得の環境整備の一環として、市町村が指定する郵便局と市町村とをビデオ会議システムを用いてオンラインでつなぐことにより、郵便局においても、マイナンバーカード取得に必要となる本人確認が可能となる交付申請の受付等を行えるようにするもの。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・9ページを基に作成
○交付申請の受付等の具体的な流れについて
→ 具体的には、郵便局において、郵便局員は、交付申請書及び本人確認書類の受付や、それらのデータの市町村への送信、交付申請書のビデオ会議システムを用いる端末への誘導やシステムの操作、市町村との連絡などを行う。
市町村の職員は、交付申請書に記載されたマイナンバー及び氏名等の個人識別事項と住民台帳に記載されている情報との照合による実在性の確認や、交付申請書の顔写真とビデオ会議システムで表示される交付申請者の顔映像との突合及び本人確認書類に基づく本人性の確認を行う。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・9ページを基に作成
○氏名の振り仮名を追加する趣旨について
→ 現状、行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字であり、外字が使用されている場合には検索に時間を要する例が多い。また、金融機関等において氏名の振り仮名が本人確認に利用されていることがあるが、複数の振り仮名を使用して別人を装い、各種規制を潜脱しようとすることが懸念されている。そのため、行政のデジタル化の推進に当たり、氏名の振り仮名を一意のものに特定し、公証する必要がある。
本法律案は、戸籍において氏名の振り仮名を一意のものとして登録・公証し、これを官民の手続で利用可能とすることで、各種情報システムにおける検索や管理等の能率、各種サービスの質を向上させるもの。デジタル社会における重要なインフラを構築するものと認識している。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・5ページを基に作成
○現に戸籍に記載されている者の氏名の振り仮名の届出について
→ 現に使用している読み方を尊重する観点から、「氏」については戸籍の筆頭に記載されている者が、「名」についてはそれぞれの者が届け出ることを予定。
また、一般に認められている読み方以外でも、現に使用されている氏名の読み方であれば、許容することを予定。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・14ページを基に作成
→ 氏や名の振り仮名の届出がされないこともあり得るため、その場合には、本籍地の市町村長は、住民票において市町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報等を参考にして、あらかじめ本人に通知をした上で、戸籍に記載することを予定。
なお、この振り仮名が現に使用しているものと異なる場合には、家庭裁判所の許可を得なくとも、届出をすることで変更することも可能としている。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・14ページを基に作成
○戸籍窓口における氏名の振り仮名に関する審査について
→ 氏名の振り仮名について、一般に認められている読み方かどうかは、社会において受容され、慣用されているかという観点から判断される。
本籍地の市町村長が戸籍に氏名の振り仮名を記載する場合の審査に当たっては、いわゆる名のり訓などを幅広く許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用とすることを予定。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・14ページを基に作成
○戸籍法新第13条第2項の「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」について
→ 単なる漢字としての読み方ではなく、氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものを指しており、その読み方が社会において受容され慣用されているかという観点から判断される。
具体的には、漢和辞典など一般の辞書に掲載されている読み方については幅広く認めることが考えられ、一般の辞書に記載されていない読み方についても、届出人から個別に説明を聞いた上で、社会において受容され慣用されているものかどうかを判断することになる。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・35ページを基に作成
○市区町村における事務の国によるバックアップについて
→ 戸籍の記載事項として氏名の振り仮名を追加するに当たって、市区町村においては、現に戸籍に記載されている者に対する戸籍に記載する予定の氏名の振り仮名の通知や、届出があった氏名の振り仮名に関する審査及び戸籍への記載など、一定程度の作業が発生するほか、これに対応した既存システムの改修も必要になる。
法務省としては、振り仮名の収集について、書面による通知のほか、マイナポータルを活用することを含めるなど、市区町村において極力負担が生じないよう配慮するほか、既存システムの改修についても、市区町村において極力負担が生じないように配慮したい。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第7号・令和5年4月19日・14ページを基に作成
○戸籍窓口の担当者の負担軽減について
→ 戸籍窓口における運用を統一するため、運用の基本的な在り方のほか、氏名の振り仮名に関する審査方法については、法務省民事局長通達等において具体的に定めることを検討。
市町村において判断に苦慮する事案については、管轄法務局に対する当該届出の受理の可否についての円滑な照会体制を整備するなど、現実に事務処理を行う市町村が対応に困らない体制を構築したい。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第9号・令和5年4月25日・19ページを基に作成
○「氏」の振り仮名を戸籍の筆頭者が届け出ることとしている趣旨について
→ 氏の振り仮名について、戸籍の筆頭者が届出をすることとしているのは、戸籍に記載されている者全員が共同して届出をすることとすれば大きな負担となること、戸籍に記載される氏は戸籍の筆頭者の氏であり、氏の振り仮名は、その戸籍に記載された氏の読み方であることから、その氏を従前から使用しており、読み方に最も詳しいと考えられる戸籍の筆頭者が届け出ることが適切であると考えたため。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第9号・令和5年4月25日・20ページを基に作成
○その他、「氏」の振り仮名の届出について
→ 戸籍の筆頭者が長期入院中で市町村役場に出頭することができないような場合には、郵送による届出や、代理人、使者による届出が可能。また、マイナポータルを利用して届出をすることも可能とする方向でデジタル庁と調整中。
→ 戸籍の筆頭者が失踪宣告を受けたという場合には、その筆頭者は除籍されるため、この法律案附則第6条第3項によって、第2順位として、配偶者による届出が可能。
→ 戸籍の筆頭者と配偶者等が話し合う環境にない場合などにおいては、戸籍の筆頭者から配偶者等が認識しない氏の振り仮名の届出がされる余地もあるが、配偶者等は、実際に使用していたものと異なるような場合には、戸籍の記載に錯誤があるものとして、戸籍法第113条により、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することも考えられる。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第9号・令和5年4月25日・20ページを基に作成
【公金受取口座の登録における行政機関等経由登録の特例制度】
○「行政機関等経由登録の特例制度」の創設の意義・目的について
→ 今般の特例制度は、情報機器の煩雑な操作によらない、簡易な登録方法を用意することによって、幅広い世代でより簡単に給付金等を受け取ることができる基盤を整備するために創設をするもの。特に、高齢の方の登録の率がほかの若い世代と比べて若干低いため、今回、年金給付受取口座を対象として実施することを想定。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・6ページを基に作成
○特例制度における公金受取口座の登録に際しての同意の取得方法、通知の受取が困難な者への配慮について
→ 改正法案の特例制度における同意取得の方法については、登録を行いたくない者が不同意の回答を行う機会を確実に確保するため、当該制度の対象者には書留郵便等により個別に事前通知を行う旨を法律に規定するとともに、広報等を通じて事前に本制度の周知徹底を図ることを予定。
さらに、通知を受け取るのが困難な層への配慮について、例えば、認知症の方や知的障害のある方など自身で回答が困難な場合、他制度の状況等も踏まえ、後見人や御家族の方などの支援を受けて意思表示を行うことを可能とすることや、視覚障害のある方も内容の確認ができるよう、音声コードを追加することなどを検討。
※第211回国会・衆議院・本会議・会議録第19号・令和5年4月14日・4ページを基に作成
○特例制度の対象として、年金受給口座以外への拡大も想定しているのかどうかについて
→ 現時点において、年金受給口座以外のほかの公的給付の受取口座を対象とすることは想定をしていない。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第6号・令和5年4月18日・12ページを基に作成
○回答をしなければ同意をしたものとして取り扱われる“一定期間”について
→ 今般の特例制度においては、事前通知に係る書面が到達した日から起算して30日以上が経過した日までの期間としてデジタル庁令で定める期間を経過するまでの間に、同意又は不同意の回答がないときには、同意をしたものとして取り扱うこととしている。具体的な期間については、今後、デジタル庁令において定めることを予定。
※第211回国会・衆議院・地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会・会議録第9号・令和5年4月25日・21ページを基に作成