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民事2022年10月31日 民事裁判手続IT化等 ~民事訴訟法等の一部を改正する法律~ 令和4年5月25日公布 法律第48号 法案の解説と国会審議 執筆者:木村歩

1.法案の提出と成立

我が国における民事裁判手続のIT化は、欧米諸国やアジア諸国などの諸外国の状況と比較して、遅れている状況にあるとされていた。このような現状を踏まえ、民事訴訟手続の全面的なIT化について、平成30年7月より、公益社団法人商事法務研究会の「民事裁判手続等IT化研究会」において検討が開始され、令和元年12月に報告書として「民事裁判手続等IT化研究会報告書-民事裁判手続のIT化の実現に向けて-」が取りまとめられた。(※)
令和2年2月には、法務大臣から法制審議会に対して諮問が行われ、法制審議会は、この諮問を受け、「民事訴訟法(IT化関係)部会」を設置して調査審議し、令和4年2月、「民事訴訟(IT化関係)等の改正に関する要綱」を答申した。
この答申を踏まえ、令和4年の通常国会に法案が提出され(第208回国会閣法第54号)、衆・参の審議を経て、第208回国会中のうちに原案どおり可決され、成立した。

※「裁判手続等のIT化検討会」(首相官邸ホームページ)
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/index.html)を基に作成
※「民事裁判手続のIT化について」(首相官邸ホームページ)
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/dai10/siryou1.pdf)を基に作成

2.法律の概要

【民事訴訟法の一部改正】
(1)民事訴訟手続のIT化
〇 電子情報処理組織を使用して行うことができる申立ての範囲を拡大
※弁護士等は、一定の場合を除き、電子情報処理組織による申立てによらなければならない。
〇 申立て等が書面等により行われた場合におけるその書面の電子化に関する規定を設ける
〇 口頭弁論に係る電子調書の作成義務の規定を設ける
〇 判決の言渡しをする場合における電子判決書の作成義務の規定を設ける
〇 電磁的訴訟記録の閲覧を可能とする規定を設ける
〇 映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論の手続を行うことを可能とする規定を設ける
〇 映像と音声の送受信による通話の方法による証人尋問に関する要件の緩和
(2)法定審理期間訴訟手続の創設
 当事者双方の申出等に基づき、消費者契約に関する訴え等を除き、一定の事件について手続の開始から6月以内に審理を終え、審理の終結から1月以内に判決の言渡しをする制度を創設
(3)住所、氏名等の秘匿制度の創設
 民事訴訟手続等において当事者等となった犯罪被害者等の住所、氏名等が相手方当事者に知られることによって社会生活を営むのに著しい支障が生ずるおそれがある場合には、住所、氏名等を相手方に秘匿することができる制度を創設
【民事訴訟費用等に関する法律の一部改正】
 訴えの提起の手数料の納付方法等に関する規定を改め、一定の場合を除き、現金をもって納めなければならないこととする
【人事訴訟法・家事事件手続法の一部改正】
〇 離婚の訴えに係る訴訟において、映像と音声の送受信による通話の方法によって手続に参加した当事者が、和解等をすることを可能とする
〇 離婚・離縁についての調停事件において、映像と音声の送受信による通話の方法によって、調停を成立させることを可能とする

※「法令のあらまし」(官報)(令和4年5月25日・号外第111号)を基に作成
※「民事訴訟法等の一部を改正する法律案要綱」(法務省)を基に作成
※「民事訴訟法等の一部を改正する法律案 趣旨説明」(法務大臣)(第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第6号・令和4年3月23日・1ページ)を基に作成

3.国会論議の概要

ここでは、国会での委員会審議の中から今後の解釈運用・将来的な制度改正に関わり得る主な質疑を幾つか紹介することとしたい。なお、紹介する質問と答弁(法務大臣、法務省職員、最高裁判所職員の答弁)は、いずれも、発言そのままではなく、趣旨をまとめたものである。
【ウェブ会議を活用した口頭弁論期日等について】
〇 裁判所が「相当と認める場合」について
→ 具体的にどのような場合に相当と認めるかは裁判所の判断に委ねられおり、個別の事件ごとに、事案の性質や、その期日において予定される手続の内容、当該当事者のウェブ会議を利用して手続に参加するための環境、現実に出頭することの容易性の程度、各当事者の希望等の諸事情を総合的に考慮してこの点の判断をすることになる。
  例えば、当事者の双方がウェブ会議の利用を希望しているケースや、現実に出頭することが容易でないケースなどでは、ウェブ会議の利用が認められると考えている。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・3ページを基に作成

〇 ウェブ会議における本人確認について
→ 各裁判官がそれぞれの事件に応じた適切な方法で行うことになると考えられるが、例えば、ウェブ会議の画面上で、写真付きの身分証明書と顔を照合するなどの方法が考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・3ページを基に作成

〇 ウェブ会議における第三者の不当な関与の排除について
→ ウェブ会議の冒頭で、場合によってはカメラを動かして室内を撮影するよう指示するなどして、裁判所が傍聴を許可していない第三者がウェブ会議に不当に関与していないことを確認。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・5ページを基に作成

〇 ウェブ会議による証人尋問が可能な場面について
→ 証人が受訴裁判所に出頭することが困難である場合や、その証人をウェブ会議を利用して尋問することにつき当事者の異議がないなどの事情があり、かつ、裁判所が相当と認めるときに限り、可能。
  例えば、当事者双方が信頼する専門家の証人尋問のように、その証言内容に重点が置かれ、その信用性をその表情等から吟味する必要性が低いと考えられる場合には、認められる場合があり得る。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・8ページを基に作成

→ 一方で、当事者双方に異議がない場合であっても、裁判所が証人の様子を直接面前で確認しながら証言の信用性を判断する必要があると考える場合には、裁判所は、相当と認められないものとして、証人に現実の出頭を求めるというような運用がされることが想定される。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・12ページを基に作成

〇 ウェブ会議による証人尋問における証人の所在場所の要件について
→ 今回は、具体的な要件は設けていない。法制審議会では、当事者やその代理人の在席する場所でないことや、証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認める者の在席する場所でないことといった要件が議論されたが、今後、適切に検討を進める。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・5ページを基に作成

〇 ウェブ会議を用いた証人尋問における書類・スマートフォンに基づく陳述の防止について 
→ 裁判所の許可を得た場合を除き、書類・スマートフォンに基づく陳述は認められないため、そのようなおそれがある場合は、そもそもウェブ会議を実施せず、受訴裁判所に現実に出頭しての尋問を実施したり、出頭場所を別の裁判所に指定して尋問を実施することとするなど、裁判所において、その証人の属性や当該事案における事情を総合考慮し、出頭場所の適正性等を判断するなどして対応することが考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第10号・令和4年4月20日・9ページを基に作成

〇 裁判官や傍聴人のウェブ参加を認めない理由について
→ 当事者が希望する場合には、裁判官に現実に対面して主張を述べることを保障する必要があること等から、裁判官が在廷することなくウェブ会議の法廷で口頭弁論の期日に参加することを認めることについては、慎重な検討を要する。
→ 憲法上、裁判の公開が要請されている趣旨は、訴訟手続を傍聴人の観察の下で行うことを通じて、裁判の公正等を担保する点にあるため、傍聴人は現実の法廷において傍聴することができるようにすることが、裁判の公開の制度趣旨に沿うものと考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・23ページを基に作成

〇 法廷通訳人が国外にいる場合もウェブ会議を利用して通訳できるかどうかについて
→ 通訳人の所在場所が日本国内か否かについての規定はないが、外国に所在する者がその外国に所在したままで通訳人として通訳を行うことは想定していない(外国の領域に我が国の裁判権を及ぼすことになり、外国の主権との関係で、相手方、相手国との合意なく実施することは問題があるため)。

※第208回国会・参議院・法務委員会・会議録第11号・令和4年5月12日・15ページを基に作成

【オンライン申立てについて】
〇 裁判所のシステムについて
→ 先行して、裁判書類の電子提出を一部実現するため、民事裁判書類電子提出システムというシステムを開発。電子データのアップロード等の操作を直感的に行うことができるよう、画面や操作方法が非常にシンプルなものになるように設計。

※第208回国会・参議院・法務委員会・会議録第12号・令和4年5月17日・7ページを基に作成

→ ウイルス感染のPDFなどマルウェアが検出された場合には、そのデータのアップロードを拒絶する仕組みを備えている。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・8ページを基に作成

→ データ改ざんの懸念に関しては、政府機関の遵守すべきセキュリティに関する各基準では、例えば、電子データを暗号化して、これにアクセスすることのできる者を制限することや、電子データにアクセスがあった場合には、その証跡・ログを記録するなどが定められているため、これらも踏まえて対策を講じていく。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・8ページを基に作成

→ 海外サーバーで管理できるかという点に関しては、政府におけるクラウドサービスの利用に関する標準ガイドラインでは、クラウドサービスに保存される利用者のデータの可用性の観点から、我が国の法律及び締結された条約が適用される国内データセンターと我が国に裁判管轄権があるクラウドサービスを採用候補とすることになっているため、裁判所としても、国内にデータセンターがあるクラウドサービスを採用候補とする方針。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第10号・令和4年4月20日・8ページを基に作成

→ 障害のある方への配慮という点では、このシステムにアップロードされたファイルの内容は、音声読み上げ機能を用いることで視覚障害のある方も認識することが可能。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・4ページを基に作成

〇 弁護士等にのみオンライン申立てを義務付けている理由について
→ これらの者は職務として民事訴訟手続に関与する者であるから、訴訟手続の迅速化・効率化に率先して取り組むことを期待でき、また、一般にインターネットを用いた申立て等に対応する能力を十分に有しているものと考えられるため。
  これに対して、弁護士等以外の者については、十分に対応することができない者が一定数存在するものと考えられ、裁判を受ける権利にも影響を及ぼすことが危惧されることから、義務付けることまではしていない。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・9ページを基に作成

〇 弁護士等の訴訟代理人について、紙媒体を提出することによる申立てが認められる場合について
→ 法律上は、裁判所のシステムに障害が生じた場合を典型的なケースとして想定して例示。
→ 弁護士の使用するパソコンの故障が「その責めに帰することができない事由」に該当するかどうかは、パソコンの故障等の原因、代替手段の有無、それを利用することの容易性などを考慮して、最終的には裁判所が個別具体的な事案に応じて判断する。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第10号・令和4年4月20日・16ページを基に作成

〇 裁判所内の本人サポートについて
→ 本人自らが書面を電子化できるよう、裁判所内にパソコンやスキャナーなどのIT機器を設置することなどを想定。
→ 裁判所の中立性に反しない範囲内で、機器の操作の補助などを無償で行うことも想定。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・4ページを基に作成

〇 法テラスによる本人サポート・民事法律扶助の書類作成援助について
→ 本人サポートの一環として、特定の拠点に裁判所のシステムにアクセス可能な機器を設置して利用者に提供することを検討中。
→ 書類作成援助の利用が適していると考えられる事案については、利用者に書類作成援助による利点等を説明するなどして利用を促している。
→ 一部の地方事務所においては、法テラスが実施する法律相談として、司法書士のみによる法律相談枠を設けるなどの取組も実施。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・5ページを基に作成

【法律事務所におけるセキュリティ対策等について】
〇 法律事務所におけるセキュリティ対策・ITリテラシーについて
→ 各事務所において適切に対応が取られていると思われるが、日本弁護士連合会においては、弁護士の情報セキュリティ対策の取組を支援することを目的として、弁護士及び法律事務所向けに弁護士情報セキュリティガイドラインを策定するとともに、サイバーセキュリティに関するセミナーを開催するなどしていると承知。
  また、日本弁護士連合会において、民事訴訟手続のIT化等を踏まえ、情報セキュリティに関する会規、会則の制定に向けて検討を始めているものと承知。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・7ページを基に作成

【民事判決のオープンデータ化について】
〇 民事判決のデータベース化について
→ 日弁連法務研究財団(公益財団法人)主催のプロジェクトチームにおいて、民事判決の利活用等に当たり検討すべき課題や対策について実務的協議が行われている。
  検討過程では、多数の判決に効率的な仮名処理を行うにはAIツールの活用が必要であるとされており、その実証実験を踏まえ改良が重ねられるなど、適切な仮名処理の在り方について検討が進められている。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・10ページを基に作成

【最高裁判所におけるIT人材の確保について】
〇 IT人材の確保について
→ 最高裁判所について、令和3年には合計3名、令和4年4月に1名のIT人材を採用し、令和4年5月には2名の採用を予定。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・5ページを基に作成

【民事訴訟の事件記録の保存期間の見直しについて】
〇 訴訟記録の電子化に伴って保存期間を見直すのかどうかについて
→ 今後、検討。訴訟記録の電子化により、記録の物理的な保管スペースの問題は生じなくなるが、永久あるいは相当長期間、保存するということになると、システムにおける保存容量が累積的に増加し続けることになり、それに伴うシステムの維持管理に関するコストが増大する。
  また、訴訟記録中に表れる高度な個人情報を保有し続けることに関する問題等も考慮する必要がある。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第10号・令和4年4月20日・11ページを基に作成

【法定審理期間訴訟手続について】
〇 制度を創設する理由・立法事実について
→ 従来は、民事訴訟手続の審理期間や判決までの期間に一定の期限を設ける規定がなく、当事者において裁判所の判決がされるまでの期間を予測することは困難であり、それが訴訟による紛争の解決を躊躇させる要因となっているとの指摘があったため、当事者の予測可能性を高めるために設けたもの。
  もっとも、審理期間が法定されることにより当事者に不当な弊害が生じないようにするため、当事者双方が利用を希望している場合に限り、この手続を開始することとしている。
  また、一旦、この手続が開始された後も、判決後であっても、当事者の一方は、相手方の同意を要することなく、通常の手続での審理を求めることができることとしている。
  さらに、事案によっては、法定の期間内に必要な主張や証拠の提出がされておらず、訴訟が裁判をするのに熟していないと判断されるときは、裁判所は、通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をすることができるものとしている。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・6ページを基に作成

→ なお、新たな主張や証拠の提出については、法定審理期間訴訟手続において提出しなかった、あるいは提出することが後れたという一事をもって、時機に後れた攻撃防御方法に当たると判断することはできないと考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第10号・令和4年4月20日・7ページを基に作成

〇 審理期間を「6か月」としている理由
→ 争点及び証拠の整理を行う期間、証人及び当事者本人の尋問を行う期間、口頭弁論終結及び判決の言渡しの時期について定めることとして、審理期間に係る一つのモデルを定め、その利用の有無について当事者の判断に委ねるもの。
  もっとも、その終結までの期間があまりに長期であると、当事者においても、その訴訟活動等を予測することは難しくなるため、民事訴訟の平均審理期間を踏まえつつ、争点及び証拠の整理を行う期間を5か月、証拠調べの期間を1か月として、審理終結までの期間を6か月とした。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・5ページを基に作成

〇 当事者双方に弁護士である訴訟代理人が選任されている事案に限定されるのかどうかについて
→ 当事者双方に弁護士が付いていることを基本と考えている。ただし、それと実質的に同視できる場合もあるため、明文の規定で限定することとはしていない。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・6ページを基に作成

→ 同視できる場合としては、例えば、企業間の訴訟において、企業内の法務部門に法曹資格者が在席している場合などが考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・15ページを基に作成

【住所、氏名等の秘匿制度について】
〇 秘匿できる具体的なケースについて
→ 住所等を秘匿することが想定されるケースとしては、配偶者暴力の被害者と加害者との間の訴訟において、加害者等からの暴力を逃れるために被害者が住所を変更したにもかかわらず、加害者に新たな住所を知られることにより、被害者の身体等への更なる加害行為や被害者を畏怖・困惑させる行為がされるおそれがあるケースが考えられる。
→ 氏名等を秘匿することが想定されるケースとしては、性犯罪の被害者とその被害者の氏名を元々知らない加害者との間の訴訟において、被害者の氏名等が加害者に知られることにより二次的な被害が生じ、被害者の立ち直りに著しい支障があるようなケースが考えられる。
→ 暴力団員を被告とする事案や、マンションの近隣トラブル等で生命等の危害を加えられるおそれのあるような事案なども考えられる。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第9号・令和4年4月15日・14ページを基に作成

【訴えの提起の手数料等について】
〇 ペイジーによる手数料納付について
→ ①裁判所に赴くことなく、インターネットバンキングや郵便局等のATMを利用して、原則としていつでも納付することが可能となること、②裁判所から提示された納付番号等を入力して、口座振替又は現金振込みを行うという簡便な方法であること、③基本的には利用者が決済手数料を負担する必要がないことなどの利点があり、改正前の収入印紙による納付と比較すると、当事者の手続上の負担は大きく軽減する。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・3ページを基に作成

〇 ペイジー以外の決済方法について
→ 法制審議会では、クレジットカードや電子マネーなどの納付方法も望ましいとの意見があったが、詐欺的請求の防止など消費者保護のための仕組みの構築や、複数の納付方法を導入する場合におけるシステム構築・運営費用の増大などの課題があるため、将来の課題として検討を進めていくべき。

※第208回国会・衆議院・法務委員会・会議録第8号・令和4年4月13日・3ページを基に作成

4.その後について

本法は、原則として、公布後4年以内で政令で定める日から施行される。
上記で紹介した委員会審議において議論された事項に関しては、法案の可決の際に法務委員会においてなされた衆・参の附帯決議にも盛り込まれたところであるが、民事訴訟手続IT化に伴う細則については、最高裁判所規則に委任されているものも多いため、今後、具体的な運用方法についてどのように定められていくのか、引き続き注視する必要がある。
(2022年10月執筆)
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