運輸・交通2025年05月30日 自転車と道路交通法 執筆者:矢吹保博

1.自転車の交通違反に対する反則金
令和6年5月17日に改正道路交通法が可決・成立し、自転車の交通違反に対しても反則金を納付させること(青切符)が決まりました。これを受けて、警察庁が令和7年4月25日、自転車の交通違反に関する反則金の案を規定した道路交通法施行令の改正案を公表し、意見募集(パブリックコメント)が行われました(受付締切日時令和年7年5月25日0時0分)。
今般、自転車関連の交通事故件数が増加傾向にあることから、今回の法改正に繋がりました。警察庁が公表した反則金の案のうち、多くの人に対して影響があると思われるものは、
などがあり、これらの交通違反は筆者も街中でよく目にする類型です。
信号が青色に変わって歩行者が横断歩道に進入しようとしたところ、横から猛スピードで走行してきた自転車がその歩行者に衝突するのを回避しようと急ブレーキを掛け、その勢いで大きく転倒した、という場面を目撃したこともあります。このような走行は、「横断歩行者等妨害」に該当する違反行為です。
また、「通行区分違反」には逆走や歩道走行が含まれており、特に多くの自転車利用者がこれらを違反行為であると認識していないのではないかと思われますので、注意が必要です。
2.電動機付きキックボード
ところで、交通マナー問題で最近よく取り沙汰されている電動機付きキックボードについても触れておきます。
電動機付きキックボードは、道路交通法で「特定小型原動機付自転車」に分類されており、運転免許が不要とされているため、利用者が急増しています。
特定小型原動機付自転車は、時速20㎞を超える速度が出せないなど、いくつかの基準を満たしたものを言います。さらに、時速6㎞を超える速度が出せないようにしたものは「特例特定小型原動機付自転車」と呼ばれ、一部の歩道を走行することができます。ただし、走行できるのは、普通自転車等及び歩行者等専用の道路標識等が設置されている歩道に限定されており、全ての歩道を走行することができるわけではありません。
特定小型原動機付自転車として走行するときは緑色のライトを点灯させていなければならず、特例特定小型原動機付自転車として走行するときは緑色のライトを点滅させていなければなりません。
街中でよく見かける電動機付きキックボードのハンドル部分をよく見てみると、ライトが点灯している場合と点滅している場合の2パターンを見かけます。点灯状態で歩道を走行する行為は交通違反となりますので注意しましょう。
また、いずれの場合も、自賠責保険(共済)への加入が義務付けられています。シェアサイクルの場合は事業者側で保険に加入されていることが多いと思いますが、個人で電動機付きキックボードを購入する場合には保険加入を忘れないようにしましょう。
3.今後について
自動車を運転していて、自転車や電動機付きキックボードの運転マナーにヒヤッとさせられた経験がある人は少なくないのではないかと思います。自動車の運転経験があれば痛感することですが、自動車には死角が多く、また、機敏かつ細やかな挙動ができません。
自転車や電動機付きキックボードの利用者からすると、自動車の運転者は誰もが熟練した運転技術を持っているように感じるかも知れませんが、決してそのようなことはありません。交通ルールについて正しい知識を持ち、交通マナーを守ることこそ、自分の生命を守ることに直結するという意識を高めていくことが必要です。
(2025年5月執筆)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
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