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経営・総務2021年04月22日 個人情報保護法改正-データの積極的利活用に向けての整備 執筆者:矢吹保博

 個人情報保護法改正案が令和2年6月5日に可決され、令和4年4月1日から施行されることになっています(以下「令和2年改正」と言います。)。
 令和2年改正に伴って、データの積極的利活用に向けてのいくつかの施策が実施されることが予定されています。
 本稿では、その施策のうち、①公益目的による個人情報の取扱いに係る例外規定の運用の明確化および②個人情報の保護と有用性に配慮した利活用相談の充実について概説したいと思います。
1.公益目的による個人情報の取扱いに係る例外規定の運用の明確化
今日、IT技術などを通じて企業に集積された膨大な量の個人情報を分析することで、様々な社会課題を解決できる可能性が広く認識されるようになりました。
ただ、取得した個人情報を、取得した目的以外のために利用したり、第三者に提供したりすることは、原則として認められていません。このため、収集した個人情報を、匿名加工情報や統計情報に加工し、特定の個人が識別されることのない状態にして利活用する必要があります。
しかし、情報というものは、加工を施されれば施されるほど有用性を失っていくという性質があります。有用性を発揮するためにはできる限り加工せずそのままの状態で利活用することが望ましいのです。
この点、現行の個人情報保護法第16条3項や第23条1項において、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」や「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」には、例外的に、取得した目的以外の利用や第三者への提供に関する規制を適用しないこととされています。
これらの場合は、個人情報を利活用する高度な必要性と公益性が認められ、それが本人の不利益を上回る場合として、個人情報保護法の規制の例外規定とされています。
とはいえ、これらの例外規定は抽象的であり、具体的にどのようなケースが該当するのか、必ずしも明らかではありません。この点、「本人の同意を得ることが困難であるとき」とは、①本人の同意を得ることが物理的に不可能または困難な場合(本人が死亡している場合、本人が行方不明の場合等)、②本人に同意を求めたが同意を拒否された場合、③本人に同意を求めることによって違法または不当な行為を助長する場合、などが該当するとされています(宇賀克也・個人情報保護法の逐条解説(第6版)139ページ)。このように厳格に解釈されているため、現在まで例外規定を活用する場面はそう多くはありませんでした。
そこで、令和2年改正とその施行に伴い、個人情報保護委員会が新たにガイドラインやQ&Aを発出することにより、例外規定に該当するケースを具体的に明示することが予定されています。
個人情報保護委員会が令和元年12月13日付けで公表している「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直し制度改正大綱」では、ガイドライン等で具体的に示す事例として、「安全面や効果面で質の高い医療サービスや医薬品、医療機器等の実現に向け、医療機関や製薬会社が、医学研究の発展に資する目的で利用する場合など」が挙げられています。
2.個人情報の保護と有用性に配慮した利活用相談の充実
また、令和2年改正に伴い、データの積極的利活用を促進するため、個人情報保護委員会に、新たに「パーソナルデータ効果的活用支援窓口」(仮称)が設置されることが予定されています。
これまでも、個人情報保護委員会には、個人情報保護法相談ダイヤル1が設けられており、個人情報の取扱いに関する相談を受け付けていました。
パーソナルデータ効果的活用支援窓口(仮称)では、「新たなビジネスモデルや業界団体や複数事業者の共通の問題意識として挙げられた論点について積極的に相談に応じ、相談者によるパーソナルデータの適正かつ効果的な活用を支援」するとともに、「広く有益と考えられる情報については、ガイドラインやQ&Aにより周知していく」とされています(上述の制度改正大綱)。
 いわゆるビッグデータが社会のあり方を大きく変えようとしている中で、令和2年改正に伴って、データの積極的な有効活用に向けて、誰にとっても分かりやすく利用しやすい制度設計が求められています。今回紹介した施策はその方向性に沿うものであり、多くのビジネスチャンスが生まれるきっかけになるのではないかと予想されます。

1 個人情報保護法相談ダイヤル https://www.ppc.go.jp/personalinfo/pipldial/

(2021年3月執筆)

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