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経営・総務2021年03月05日 TDB景気動向調査(全国) ― 2021年1月調査 ― 出典:帝国データバンク

国内景気は3カ月ぶりのプラス
~個人消費関連は低水準で推移し、業種により景況感に温度差~

(調査対象2万3,702社、有効回答1万1,073社、回答率46.7%、調査開始2002年5月)
調査結果のポイント
1.2021年2月の景気DIは3カ月ぶりに前月比プラス(1.9ポイント)の35.8となった。国内景気は、業種間で温度差が表れるも、生産拡大などで3カ月ぶりにプラスに転じた。今後の景気は、感染状況にともなう下振れリスクを抱えながらも、春以降、緩やかに上向いていくと見込まれる。
2.全10業界で前月からプラス。半導体関連や電子部品など『製造』を中心に持ち直しの動きとなった。一方、「旅館・ホテル」や「飲食店」といった個人向けサービスでは低水準での推移が続き、業界・業種によって景況感に温度差がみられる。
3.『北関東』『東海』『近畿』など全10地域が4カ月ぶりにそろって上向いた。一部地域で緊急事態宣言が発出されていたものの、感染者数の減少傾向や自宅内消費の拡大、域内の主要産業の持ち直しなどがプラス要因となった。都道府県別では42都道府県が上向いた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも3カ月ぶりにプラスとなった。
<2021年2月の動向:悪化傾向に歯止め>
 2021年2月の景気DIは3カ月ぶりに前月比プラス(1.9ポイント)の35.8となった。
 2月の国内景気は、緊急事態宣言が10都府県で延長されたなか、日経平均株価が30年半ぶりに3万円台へ上昇したほか、輸出用の機械関連や半導体、電子部品などの生産拡大もあり、押し上げられた。また、年度末需要に向けた動きが徐々に表れてきたこともプラス要因となった。さらに自宅内消費関連は上向き傾向が続いた。他方、外出自粛や営業時間の短縮など新型コロナウイルスの影響による経済活動の抑制がマイナス要因となった。個人消費関連は低水準で推移するなど、業種により景況感に温度差が表れている。
 国内景気は、業種間で温度差が表れるも、生産拡大などで3カ月ぶりにプラスに転じた。
<今後の見通し:春以降に緩やかな上向き>
 今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら、ワクチン接種の開始による経済活動の正常化に向けた動きなどにより、緩やかな上向き傾向が続くとみられる。また、テレワークの拡大による住宅ニーズの高まりや自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の拡大はプラス要因になると見込まれる。レジャー関連や訪日外国人旅行者数の増加、東京五輪の開催などが期待される。他方、感染状況により消費マインドの後退や雇用・所得環境の悪化、活動自粛の再要請など下振れリスクも依然として大きい。
 今後の景気は、感染状況にともなう下振れリスクを抱えながらも、春以降、緩やかに上向いていくと見込まれる。
業界別:製造を中心に持ち直すも、個人向けサービスは低水準での推移が継続
・全10業界、51業種中41業種で前月からプラス。半導体関連や電子部品など『製造』を中心に持ち直しの動きとなった。一方、「旅館・ホテル」や「飲食店」といった個人向けサービスでは低水準での推移が続き、業界・業種によって景況感に温度差がみられる。
・『製造』(35.6)…前月比2.2ポイント増。2カ月ぶりのプラス。景気DIは前年同月の水準を上回り、生産・出荷量DI、設備稼働率DI、設備投資意欲DIなどの指標も上昇、再び持ち直しの動きとなった。特に、半導体製造装置製造などの「機械製造」(同3.3ポイント増)や、電子部品、プリント回路製造が含まれる「電気機械製造」(同3.5ポイント増)が大きくプラスとなった。他方、半導体不足による自動車工場の減産や、福島県沖で発生した地震の影響も懸念される「輸送用機械・器具製造」(同0.2ポイント増)は、持ち直しの動きが鈍化。また、印刷業などの「出版・印刷」(同2.0ポイント増)も、依然として20台前半と前年同月を大きく下回っている。『製造』は12業種中10業種がプラスとなった。
・『サービス』(36.5)…同2.6ポイント増。3カ月ぶりのプラスも、前年同月からの悪化幅は依然として大きい。緊急事態宣言が10都府県で延長され、「旅館・ホテル」(同1.0ポイント増)や「飲食店」(同2.5ポイント増)といった個人向けサービスでは、低水準での推移が続いた。他方、ソフト受託開発などの「情報サービス」(同2.3ポイント増)、経営コンサルタントなどの「専門サービス」(同4.1ポイント増)は40を上回る水準となり、『サービス』の15業種間においても景況感に温度差がみられる。
・『建設』(40.6)…同1.2ポイント増。3カ月ぶりのプラスとなり、再び40台に回復した。5G関連やテレワーク向けのネットワーク設備関連が堅調な電気通信工事や、プラント設備や運搬機器設置などの機械器具設置工事がプラスに寄与した。他方、オフィスや商業施設向けの鉄骨工事や内装工事などでは、持ち直しの動きに弱さがみられる。『建設』の建材価格などを表す仕入単価DI(56.0、同0.7ポイント増)は3カ月連続で上昇、また、受注単価などを表す販売単価DI(47.2、同0.1ポイント増)は50を下回る水準が継続。職人の人手不足が続くなか、コストの増加や受注競争の激化による収益の圧迫が懸念される。
・『卸売』(33.3)…同1.7ポイント増。3カ月ぶりのプラス。自宅内消費の高まりもあり、書籍や文房具・事務用品などの「紙類・文具・書籍卸売」(同3.4ポイント増)が大幅にプラス。また、電気機械器具や自動車部品卸売が含まれる「機械・器具卸売」(同2.1ポイント増)も、持ち直しの動きが継続した。他方、回復が続いていた「再生資源卸売」(同3.2ポイント減)は、鉄スクラップ価格の反落を受けて悪化。アパレルなど「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(同1.4ポイント減)も2カ月連続で悪化し、厳しい状況が続いている。
規模別:3カ月ぶりに全規模がプラス、自宅内消費が押し上げ要因に
・「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも3カ月ぶりにプラスとなった。堅調な自宅内消費などが押し上げ要因だった一方、特に「小規模企業」では厳しい収益環境が続いた。
・「大企業」(38.2)…前月比1.9ポイント増。3カ月ぶりにプラス。「情報サービス」は積極的なIT投資がプラス要因となったほか、『金融』は株価上昇などが好材料だった。他方、「旅館・ホテル」の景況感は厳しく、2020年5月以来の水準に落ち込んだ。
・「中小企業」(35.3)…同1.9ポイント増。3カ月ぶりにプラス。厳しい水準ながらも、2016年12月以来4年2カ月ぶりに全10業界が上向いた。特に、半導体などの機械製造や医療機器製造が増加に寄与した。また、感染症対策補助金による効果をあげる企業もみられた。
・「小規模企業」(34.7)…同1.9ポイント増。3カ月ぶりにプラス。10業界中8業界が上向いた。通信販売の好調で宅配業や食品卸売など関連業種が堅調だった。他方、販売単価の下落が続くなか仕入単価の上昇は拡大しており、厳しい収益環境の状況が続いた。
地域別:4カ月ぶりに全10地域がそろって上向き
・『北関東』『東海』『近畿』など全10地域が4カ月ぶりにそろって上向いた。一部地域で緊急事態宣言が発出されていたものの、感染者数の減少傾向や自宅内消費の拡大、域内の主要産業の持ち直しなどがプラス要因となった。都道府県別では42都道府県が上向いた。
・『北関東』(37.2)…前月比2.3ポイント増。3カ月ぶりにプラス。10地域中で唯一、前年同月の水準を上回った。なかでも「群馬」「長野」が大きく上向いた。電気・精密・建設機械などの生産持ち直しがプラス要因となった。
・『東海』(36.1)…同2.0ポイント増。3カ月ぶりにプラス。緊急事態宣言が発出されていた「愛知」「岐阜」は3カ月ぶりに上向いた。域内の主要産業である自動車や工作機械などが持ち直し、関連する部品メーカーなどにも波及した。
・『近畿』(35.5)…同2.4ポイント増。3カ月ぶりにプラス。10地域中で最大の増加幅だった。緊急事態宣言が「大阪」「京都」「兵庫」で発出されていたものの、自宅内消費の拡大で関連業種が堅調に推移したほか、中国など輸出向けの生産増加も好材料となった。
2.調査事項
・景況感(現在)および先行きに対する見通し
・経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2021年1月18日~1月31日(インターネット調査)
景気動向指数(景気 DI)について
■TDB景気動向調査の目的および調査項目
 全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
 全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI算出方法
 DI(ディフュージョン・インデックス〈DiffusionIndex〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
 景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
 企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測DI
 景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructuralARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。

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