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福祉・保健2020年03月02日 身寄りのない認知症の利用者について支援の協力が得られない 編集/一般社団法人 神奈川県介護支援専門員協会

身寄りのない認知症の利用者について支援の協力が得られない
 身寄りのない認知症の利用者が車を運転しており、危険性が高い状況です。主治医とも相談をしましたが、利用者の理解が得られず困っています。地域住民からは、「ケアマネジャーは何をしている」と市役所に通報が入っています。
 警察や後見人からの連絡窓口になったり、認定調査や受診の立会いなど、全てにおいて「信頼感のあるケアマネジャーさんがやってほしい」と、保険者も地域包括支援センターも依頼してきます。利用者が嫌がることにケアマネジャーが立ち会うことで、信頼関係が崩れてしまう可能性があります。
 ケアマネジャーとして、これら全てに立ち会うことが必要なのでしょうか。
対応のポイント
① ケアマネジャーとして支援すべきことを明確にし、保険者や地域包括支援センターに相談して対応を検討しましょう。
② 身寄りがないので、市町村長申立てによる「成年後見人」の選定を行ってもらうよう、地域包括支援センター等を通して、行政に相談しましょう。
③ 認知症高齢者の車の運転については、事故の可能性が高く、他者の生命にも関わるため、早急に対応しましょう。
解 説
1 ケアマネジャーの義務
 介護保険法69条の34第1項から第3項までや、居宅介護支援事業運営基準1条の2第1項から第4項まで等にあるように、ケアマネジャーとして果たすべき役割は法律で規定されています。その主な内容は、「公正中立であること」「自己研鑽に努めなければならないこと」「利用者本位であること」「市町村や地域包括支援センター等の公的機関や、他の介護支援事業者等との連携に努めること」などです。
 利用者との良好な関係構築は、ケアマネジメントを進めていく上で大変重要なことですし、滞りなく業務を遂行するためにも必要な要素です。しかし、そのことに終始し利用者の顔色ばかりうかがってしまうと、本来すべき業務に根拠のない規制をかけ、ケアマネジャーとしての責務を見失ってしまうことになりかねません。
2 成年後見制度
 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が十分でない方々は、土地・家屋等の不動産や、証券類・預貯金等の資産・財産を管理したり、自身に介護の手が必要になったとき、介護サービスや施設への入所に関する契約を結ぶことが困難になります。また、遺産相続や分割の協議をする必要があっても、自分で判断し進めていくことができない場合もあります。
 特に、一人暮らしで他人に相談する機会が少ない場合などは、自分に不利益な契約であっても、的確な判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害に遭うなどの危険性があります。このような、判断能力の不十分な方々の権利・利益を保護し、支援するのが成年後見制度です。
 この事例のように、他に親族等がなく申請できる方がいない場合は、市町村長に法定後見の開始の審判の申立権が与えられています(老福32、知的障害28、精神福祉51の11の2)。今後、様々なサービス(施設入居も含めて)を利用していく上で、契約行為は付いて回りますし、また利用者の死後についても、後見人の存在は不可欠と思われます。
3 認知症高齢者の運転への対処
 主に、75歳以上のドライバーが運転免許を更新する際に、高齢者講習の前に受ける認知機能検査があります。この検査で、判断能力・記憶能力が低下していると判断されると、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、認知症と診断されると、免許の取消しや停止がなされますので、ここで、運転免許を公的になくして運転できないようにする手立てがあります。
 また、75歳以上のドライバーが信号無視等の特定の交通違反をした場合にも、認知機能検査を受けることとなります。ここで前述したように認知症と診断されると、やはり免許の取消しや停止がなされます。
 以上のように、高齢者が運転する車両の事故を未然に防ぐための制度もでき始めています。ケアマネジャーとして、どこまで関わるかは意見の分かれるところですが、大きな事故が起きる前に対処する必要はあると思います。このまま運転を続け、事故を起こし、自分や他人にケガを負わせたり、命を危険にさらしたりすることを未然に防ぐことも、利用者保護につながり、ケアマネジャーの役割と捉えてもよいのではないでしょうか。
 ア ド バ イ ス 
 一人暮らしで身寄りのない方について、キーパーソンがいないために、何かあると、すぐにケアマネジャーが、まるで家族や身元引受人のように扱われて、対応を求められ、心身共に疲弊してしまいがちです。特に認知症等で判断能力の低下が予測できるケースについては、一人で抱え込まず、事業所内やケアチームでも対応を一緒に検討するとともに、地域包括支援センターや保険者等に情報提供をし、いずれ行政措置が必要になってくるものと捉え、地域ケア会議等で共有していく必要があります。周囲からの様々な要求内容をよく精査し、できることとできないことに分類し、できないことにはその根拠を明らかにした上で、どこに相談すべきか考えていきましょう。

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