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経営・総務2019年12月16日 特別企画:2020年の景気見通しに対する企業の意識調査 出典:帝国データバンク

2020 年の景気、「悪化」と見込む企業は 37.2%
~ 景気回復に必要な政策、「人手不足の解消」が 2 年連続でトップ ~

はじめに
2019 年 12 月 9 日に発表された 7-9 月期の実質 GDP 成長率 2 次速報は、前期(4~6 月期)比 0.4% 増(年率換算で 1.8%増)となり、4 四半期連続でプラスの成長となった。省力化投資などの設備 投資や公共工事、五輪関連の建設需要などに加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要も好影響 を与えた。一方、相次ぐ自然災害や世界経済の動向、人手不足の深刻化などの懸念材料もあり、業 種や地域で景況感に格差が生じている。
そこで、帝国データバンクは、2019 年の景気動向および 2020 年の景気見通しに対する企業の見 解について調査を実施した。本調査は、TDB 景気動向調査 2019 年 11 月調査とともに行った。
※調査期間は 2019 年 11 月 18 日~30 日、調査対象は全国 2 万 3,678 社で、有効回答企業数は 1 万 46 社(回答率 42.4%)。なお、景気見通しに対する調査は 2006 年 11 月から毎年実施し、今回 で 14 回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用 HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.2019 年の景気動向、「回復」局面であったと考える企業は 3.7%となり、2 年連続で 1 ケタ台と なった。他方、「踊り場」局面とした企業は 47.1%と半数近くにのぼったほか、「悪化」局面と した企業は 31.2%と前回調査(2018 年 11 月調査)から 14.0 ポイント増加し、7 年ぶりの 3 割 台に上昇
2.2020 年の景気見通し、「回復」局面を見込む企業は 6.8%で、2 年連続で 1 ケタ台となった。「踊 り場」局面になると見込む企業は 32.8%と、前回調査(38.2%)より減少したものの、「悪化」 局面を見込む企業は 37.2%で 2 年連続で増加しており、過去 3 番目に高い水準となった。景気 の先行きについて、1 年前より厳しい見方を強めている様子がうかがえた
3.2020 年景気への懸念材料は、「人手不足」が 46.2%で最も高かった(3 つまでの複数回答)。以 下、「中国経済」(34.8%)が 3 割超で続き、「原油・素材価格(上昇)」(24.9%)、「米国経済」 (22.8%)、「消費税制」(22.1%)が続く
4.景気回復のために必要な政策、「人手不足の解消」が 39.6%(複数回答)と 4 割近くにのぼり、 トップとなった。次いで、「個人消費の拡大策」(33.8%)、「所得の増加」(31.3%)、「公共事業 費の増額」(26.7%)、「個人向け減税」(26.5%)が続いた。他方、災害に対する政策を重視して いる企業もみられた
1. 2019 年の景気、「悪化」局面が 7 年ぶりに 3 割台に
2019 年の景気動向について尋ねたところ、「回復」局面であったと考える企業は 3.7%となり、 2 年連続で 1 ケタ台となった。他方、「踊り場」局面とした企業は 47.1%と半数近くにのぼった。 また、「悪化」局面とした企業は 31.2%と 2018 年の景気動向(2018 年 11 月調査)から 14.0 ポイ ント増加し、2012 年以来 7 年ぶりの 3 割超えとなった。「分からない」は 18.0%となり、前回調 査と同水準で推移した。
「回復」局面とみている企業からは、「ラグビーW 杯や 2020 年の東京五輪への設備投資の影響に より稼働率がやや上がっている」(電気通信工事、埼玉県)や「インバウンド需要、万博に向けた ホテル建設などが活発に行われており、建設需要をけん引している」(浄化槽清掃・保守点検、大 阪府)などという意見が聞かれた。また、「災害復旧工事・作業が本格化し、発注などが増えてい る」(園芸サービス、東京都)といった、災害復旧による工事の増加を好材料と捉えている声もあ がった。しかし、半数近くを占める「踊り場」局面とみる企業からは、「外的要因や自然災害、消 費税率引き上げなど景気悪化に繋がる条件は多いように思えたが、結果は思ったほど低調ではな く善戦したと感じる」(普通倉 庫、北海道)など、悪材料もあっ たなか、景気が踏みとどまった と考えている見方もあった。
他方、「悪化」局面とした企業 からは、「消費税率引き上げが購 買意欲を著しく減衰させてい る。2%増の重さを軽くみてい た」(野菜卸売、福岡県)といっ た意見にあるように、消費税率 引き上げの影響を強く感じてい る様子がうかがえた。また、「世 界経済のけん引役であった中国 の減速影響は大きい。経済動向 に対する不安は企業の投資や消 費者行動に至るまで幅広くマイ ナスの連鎖を生んでいる」(電気 機械製造、東京都)といった意見 も聞かれた。
2. 2020 年の景気、「悪化」と見込む割合(37.2%)は過去 3 番目の高さ
2020 年の景気について、「回復」局 面になると見込む企業(6.8%)は、 2019 年の見通しを聞いた前回調査 (9.1%、2018 年 11 月実施)から 2.3 ポイントの減少となり、2 年連続で 1 ケタ台となった。「踊り場」局面は 32.8%と前回調査(38.2%)より減少 した。一方で、「悪化」局面を見込む 企業(37.2%)は 2 年連続で増加して おり、調査開始以来 3 番目に高い水準 となった(2009 年見通し 70.5%、2008 年見通し 43.1%)。景気の先行きにつ いて、1 年前より厳しい見方を強めて いる様子がうかがえた。
「悪化」局面を見込む企業を業界別 にみると、『小売』が 40.7%でトップ、 次いで『不動産』(40.1%)も同じく 4 割台で続いた。また、本調査で 2019 年の景気を「悪化」局面とした企業の 割合と 2020 年の景気を「悪化」局面と見込む企業の割合を比較すると、『建設』や『不動産』、『サ ービス』で 10 ポイント以上の増加がみられた。企業からも「東京五輪関連の投資が終わり、観光 もピークを迎え、悪化局面に入る」(木造建築工事、北海道)や「地域の不動産業においては、復 興特需の反動で低迷期に入ると思われる」(不動産管理、熊本県)といった声や「現状はキャッシ ュレスポイント還元などにより、消費税率引き上げの影響は小さいとみている。しかし、2020 年 6 月までの限定的な動きであり、その後は下落幅が大きくなると予想する」(化粧品小売、東京都)
3. 2020 年景気への懸念材料、「人手不足」がトップ、米中関連の項目も上位
2020 年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「人手不足」が 46.2%で最も高かっ た(3 つまでの複数回答、以下同)。前々回調査(47.9%、2017 年 11 月調査)から 3 年連続して 5 割近くの企業で悪材料と捉えている。
次いで、「中国経済」(34.8%)が 3 割 超で続き、「原油・素材価格(上昇)」 (24.9%)、「米国経済」(22.8%)、「消 費税制」(22.1%)、米中貿易摩擦など の「貿易摩擦の激化」(21.8%)が 2 割 台で続いた。とりわけ、米国や中国に 関連した項目で前回調査から増加がみ られた。企業からも「中国経済が年々 悪化傾向という記事が増えており、大 企業の設備投資意欲の低下が感じられ る。米中貿易交渉の行方によっては、 この状況がさらに顕著になり、中小零 細企業にまで影響が及ぶ」(電気機械器 具卸売、茨城県)などといった意見が あげられ、海外の動向をリスクとして 捉えている様子も浮き彫りとなった。
4. 景気回復に必要な政策、「人手不足の解消」(39.6%)が 2 年連続でトップ
今後、景気が回復するために必要な 政策を尋ねたところ、「人手不足の解 消」が 39.6%(複数回答、以下同)と 4 割近くにのぼり、トップとなった。前 回調査に引き続き 2 年連続で最も高く なっており、企業は人手不足の解消を、 今後の景気回復に向けた喫緊の課題と して捉えている様子がうかがえた。次 いで、「個人消費の拡大策」(33.8%)、 「所得の増加」(31.3%)、「公共事業費 の増額」(26.7%)、「個人向け減税」 (26.5%)が続いた。企業は、個人消費 の拡大や所得の増加といった個人の消 費行動につながる政策を求めている様 子もみられた。
他方で、「貿易摩擦の緩和」(22.6%) や「災害対策」(21.4%)を必要な政策 とみている企業が増加した。特に、災害に関しては、「災害対策」以外にも、水害、土砂災害、噴 火などの「災害復興(地震は除く)」(20.0%)や「震災復興」(11.7%)といった災害が起きた後 の政策をあげる企業も多く、近年多発する自然災害への強い危機感が表れた。
まとめ
2019 年の景気は、「回復」局面と考える企業が 2 年連続で 1 ケタ台となる一方で、「悪化」局面 とする企業は 7 年ぶりに 3 割台となるなど、景気動向は前年に引き続き厳しさの増す 1 年だった と言えよう。さらに、2020 年の景気を「悪化」と見込む企業は、前回調査より増加し、サブプラ イム問題からリーマン・ショックまでの影響を大きく受けていた 2009 年景気見通し(2008 年 11 月調査)、2008 年景気見通し(2007 年 11 月調査)以来、3 番目の高さとなった。景気の先行きに ついて企業は、1 年前より厳しい見方を強めている様子がうかがえた。
2020 年の景気の懸念材料として「人手不足」をあげる企業が 4 割超に達した。3 年連続して 5 割近くの企業で悪材料ととらえており、引き続き、景気を押し下げる筆頭とみられる。また、「中 国経済」や「米国経済」の動向を懸念する企業も増加しており、米中の貿易摩擦をはじめとする海 今後の景気回復に必要な政策 (上位 10 項目、複数回答) (%) 1 人手不足の解消 39.6 42.7 (1) 2 個人消費の拡大策 33.8 32.8 (2) 3 所得の増加 31.3 29.6 (3) 4 公共事業費の増額 26.7 24.5 (8) 5 個人向け減税 26.5 29.4 (4) 6 年金問題の解決(将来不安の解消) 25.9 23.8 (9) 7 雇用対策 25.5 27.9 (5) 8 貿易摩擦の緩和 22.6 14.8 (12) 9 法人向け減税 22.2 26.9 (7) 10 災害対策 21.4 13.4 (15) 注1: 注2: 矢印は2018年11月調査より5ポイント以上増加、または減少していることを示す 注3: カッコ内は2018年11月調査時の順位 注4: 2019年11月調査の母数は有効回答企業1万46社。2018年11月調査は9,746社 2019年11月調査 2018年11月調査 以下、「災害復興(地震は除く)」(20.0%)、「設備投資の拡大策」(18.6%)、「規制 緩和」(18.3%)、「出産・子育て支援」(14.0%)、「介護問題の解決(老人福祉、介 護離職など)」(13.8%)、「高齢者登用」(12.5%)、「外国人材の拡大」(12.0%)、「震 災(地震にともなう災害)復興」(11.7%)、「地方創生」(11.6%)、「自由貿易圏の拡 大(EPA、FTA、TAG、RCEPなど)」(10.5%)、「財政再建」(10.5%)、「消費税率引 き上げへの対策」(9.2%)、「研究開発の促進税制」(8.7%)、「女性登用」(8.5%)、 「物価(デフレ)対策」(7.5%)、「地方への税源移譲」(7.4%)、「個人向け手当の創 設」(5.7%)、「環境関連の優遇策(補助金など)」(5.4%)、「原発事故の収束」 (5.2%)、「金融緩和政策」(5.0%)、「その他」(3.2%) 2019/12/12 特別企画: 2020 年の景気見通しに対する企業の意識調査 6 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 外の経済動向が大きな焦点となってこよう。
今後の景気に必要な政策として、多くの企業で「人手不足の解消」をあげていた。2 年連続で必 要な政策のトップとなり、企業は政府に対し深刻化する人手不足の解消を強く求めている様子が うかがえる。さらに、多くの企業で企業活動の停滞を招くなどの大きな影響を与えていた自然災 害に対する政策も重視している。
今後、減速しつつある経済を再び上向かせるためには、政府は人手不足の解消や海外経済のリ スクに対応した政策を進めるとともに、災害対策に資する政策も進めることが重要となろう。

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