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人事労務2021年04月23日 新型コロナに関連して従業員が休業する場合の対応について 執筆者:大神令子

 ここ数週間、特に大阪では新型コロナの新規感染者数が大幅に増えており、そのためか弊所へのお問い合わせも新型コロナへの感染そのものに関するものが急増しています。以前のような感染しないための対策等に関するものではなく、新型コロナに感染したり濃厚接触の可能性があり休業させなければならなくなった場合の給与の扱いについてというような、より具体的な問題となっています。他社でも同様の疑問があるかと思いますので、簡単に、基本的な対応について、ご説明いたします。
 新型コロナの感染に関するといっても、様々な状況があります。大きくは、本当に発症して入院をしなければならなくなったケース、検査で陽性となったけれど入院ではなく自宅やホテル等で隔離療養をするケース、まだ検査をしていないので感染しているかどうかがわからないけれど身近に感染者が生じ保健所から自宅待機を命じられたケース、保健所の指示はないが濃厚接触かもしれないとの申し出があって出社を止めるケースがあるかと思います。
 まず、感染または感染の疑いが生じた場面がどこであるのかによって、基本的な対応が変わります。
 もし私的な場面での感染等である場合は、健康保険での対応となります。例えば、友達同士で飲みに行った結果として感染したようなケースです。この場合は、対応としては一般的な風邪等と同じことになります。基本的には、そのために休業することに関しては、会社としては特に給与の支払い義務はありません。しかし、給与の支払い義務が無いとはいっても、2週間以上の欠勤となる可能性が高いですので、給与額が大きく下がってしまうことも考えられます。もし、本人が年次有給休暇の利用を希望するのであれば、その場合は年次有給休暇を付与してください。
 もし業務上の場面での感染等である場合は、労災での対応になります。最終的に労災になるかどうかについては労基署の判断となりますが、業務上であると判断できる状況であれば、労災での対応をお考えください。勤務先が医療機関であり新型コロナの感染者を扱う場合は、労災が認められる可能性が高いです。一般企業で社内に感染者が出た場合の他の従業員については、労基署の調査結果次第となります。例えば感染者と一緒に昼食を摂っていたというようなケースでは、他に感染経路が無いか等の調査を労基署がすることになります。
 休業した日についての給与額の支払いについても、その状況によって必要性や額が変わってきます。
 上記のように私的な場面によるものであれば、通常は給与の支払い義務はありません。しかし、従業員に対して会社の判断として休業を命じるのであれば、給与額の6割以上の休業手当の支払い義務が発生します。従業員から「濃厚接触をしたかもしれない」という報告があれば、拡大防止のために休業させるのが一般的かと思いますが、保健所からの待機命令が出ているかどうかで休業補償の内容が変わりますので御注意ください。
 業務上の場面によるものとなった場合は、休業補償の必要が生じます。通常は労災の休業補償給付で対応することになると思いますが、最初の3日分は労災からは出ませんので、会社が給与補償をする必要があります。その場合には給与額の100%の補償が必要となります。
 実際の手続きについては、医療機関での診察を受けているかどうかで大きく変わることになります。
 私的な場面による場合は、健康保険の傷病手当金の手続をすることになります。この場合に、診察を受けていれば医師の診断を書いていただくことになりますので、通常の手続きと変わらないことになりますが、保健所から待機命令が出ているだけのようなケースや、検査結果で陽性となっていても軽症の場合は医師の診察を受けていない場合が殆どになるかと思います。この場合には医師の証明がないことになりますので、その事情を疎明していただくことになります。もし、保健所からの書面があれば添付してください。その結果として傷病手当金が支給されるかどうかは、保険者(協会けんぽ等)の判断によるということになります。確定的に必ず支給されるとは言えませんが、とりあえずは書類の提出をしてみてください。
 業務上の場面による場合で、労災の休業補償給付の手続きをする場合も基本的には同じこととなります。この場合も診察を受けている場合は通常と同じく医師の証明を書いていただくことになりますが、そうではない場合は、健康保険の傷病手当金と同様、状況説明のための書面を付けていただくことになります。
 いずれのケースも、本当に必要な書類については、それぞれ保険者(協会けんぽ等)や管轄の労基署に御確認ください。
(2021年4月執筆)
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