労働基準2025年08月12日 酷暑の夏への対応に御注意ください 執筆者:大神令子

今年の夏もとても暑い日々が続いています。7月30日には京都の丹波市で41.2℃を記録したなど、去年までのこの時期より暑いのではないか?とも思うような日々です。業務の上でも暑さ対策には十分な御配慮をいただきたいと思います。
熊本市の給食調理場が室温40℃を超える状況だったのでエアコンを設置することになったという記事がありました(https://mainichi.jp/articles/20250728/k00/00m/040/206000c)。もちろん、勤務時間中の全てがそんな高温だったわけではないと思いますが、とても危険な室温で、記事では熱中症で体調を崩される方もいらっしゃったとのことでした。
2025年6月1日から、事業者に対し熱中症対策を義務付けするとして改正された労働安全衛生規則が施行されています。熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際には、熱中症対策をしなければならないことになっています。
WBGT基準値を基に、基準値を超えるような作業場において行われる作業を行う場合には、熱中症予防対策を行わなければならないことになっています。WBGT基準値の詳細については、厚生労働省のwebサイト等で御確認ください。法的に対象となっているのは、WBGT28度又は気温31度以上の環境で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業を行う場合となっています。しかし、その状況ではなかったとしても、十分な注意は必要です。
1.まずは、熱中症になりそうな方の把握が必要です。
「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」が居た場合には、その報告や周りの方々への周知をしなければなりません。「まだ大丈夫」などと考えることなく、早目の把握をすることが望まれます。
2.熱中症になりそうな方が見つかった場合には、
① 作業から離れさせること
② その方の体を冷やすこと
③ 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
が必要です。
また事前に、事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等を作成したり従業員(作業者)の皆様に周知したりする必要があります。
熱中症は最悪の場合には死亡に至ることもあります。そこまでではなくても重度に至った場合には深刻な後遺症が残ることもあります。軽く考えることなく、早め早めの対応をお願いしたいと思います。
室内での作業は炎天下ではないとしても、風が通らないために却って熱が籠って熱中症を生じさせやすくなる場合もあります。室内であっても気温には十分な注意をしてください。
もちろん、室外での作業では直射日光に注意していただき、体温が上がり過ぎないような対策をしてください。作業の時間帯を変更することが可能であれば、気温の高くなる日中を避けての作業を御検討ください。
どのような場所であっても、熱中症が疑われる場合には、涼しい場所に移動させる、衣服をゆるめる、体を冷やす、水分・塩分を補給するといった方法を取る必要があります。経口補水液を飲んでいただくことが広く知られているかと思いますが、最近はアイスラリーという細かな氷が液体に含まれる飲料が開発されているようです。熱中症予防に良いとのことですので、熱中症にならないためにも利用することを考えるのも良いかもしれません。
もちろん、熱中症が生じた場合には医療機関を受診する必要があります。事前に受診できる医療機関を把握しておくことが望ましいでしょう。
熱中症になるかどうかは、個人差があったり同じ人でも体調等によっても変わったりすることがあると思います。個々人の状態について、熱中症を疑う状態になっていないかどうかを、自分自身についても周りの方々についても観察するようにしていただきたいと思います。
一方で、新型コロナがまた流行しています。新型コロナは、換気が行われにくくなる夏場と冬場に流行する傾向があるようです。新型コロナの対策としてマスク着用が言われますが、マスクを着用することによって熱中症になるケースもあります。室内の換気が悪い場所ではマスクを使用し、屋外の空気が流れる場所ではマスクを使用しない等の細かな対応が必要となりそうです。
どちらの疾患も軽く考えると大変な事態になる可能性がありますので、十分な注意と対策を行っていただきたいと思います。
(2025年7月執筆)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
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執筆者

大神 令子おおがみ れいこ
社会保険労務士
略歴・経歴
大神令子社会保険労務士事務所代表
2000年(平成12年)12月 社会保険労務士試験 合格
2001年(平成13年) 2月 大阪府社会保険労務士会 登録
2002年(平成14年) 4月 大阪府内社会保険事務所にて 社会保険相談指導員
2006年(平成18年)12月 大神令子社会保険労務士事務所設立
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