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企業法務2020年02月07日 働き方改革関連の対応について 執筆者:大神令子

働き方改革に関する各法律が施行されはじめて早や10カ月が過ぎますが、対応は十分になさっていらっしゃいますでしょうか?もう働き方改革は終わった話…となっていらっしゃることはありませんでしょうか。
まだまだこれから対応しなければならないことが沢山あります。キチンとできているか、再度の御確認をお願いしたいと思います。

まず、2019年4月より変わった大きな点は年次有給休暇の5日以上の取得です。従業員の皆様が放置していても5日以上の有給休暇を取得されるのであれば何もしなくても良いですが、そうではない場合は、会社側から計画的に取得させなければならなくなりました。それと同時に年休管理簿も作成しなければなりません。
この改正には対応されていらっしゃるでしょうか?もちろん、現時点で全ての従業員が5日以上の有給休暇を取っている必要はありませんが、取り漏れをしている従業員がいないかのチェックは今のうちにしておかれた方が良いでしょう。年度末になっていきなり多数の従業員が休暇を取ると業務が滞ってしまうかもしれません。早いうちの確認をお勧めします。
なお、この対象者は「10日以上の年次有給休暇が付与されている従業員」ですので、正社員だけでなくパートなど非正規従業員も対象となっている可能性があります。対象者に抜けがないように御注意ください。

では、2020年4月から変更となるのはどのような点でしょうか?
中小企業が働き方改革関連で2020年の4月から対応しなければならないものは、時間外労働の上限規制となります。これは大企業では2019年4月から対象となっています。
大企業が2020年4月から対応しなければならないことは、派遣労働者の待遇差禁止です。

時間外労働の上限規制というとピンと来られないかもしれませんが、中小企業も2020年の4月から36協定の様式を新様式にしなければならないといえば、「あの話か」と思っていただける方もいらっしゃるのではないかと思います。
労働基準法で規定されている労働時間は、1週間40時間・1日8時間と定められています。それを超えて労働させる場合は、36協定を締結し労働基準監督署に提出しなければなりません。この36協定で定めてよい時間外労働時間について、今までは特別条項を付けていれば上限が無かったのですが、今後は上限が設けられます。
まず、特別条項を付けたとしても、45時間を超えて残業させることができるのは1年のうち6ケ月のみです。毎月45時間を超えることができるわけではありませんので、お間違いのないように御注意ください。
そして延長可能な時間数は、最大で月100時間未満となります。100時間にすると違法となりますので御注意ください。これは休日労働も含めて100時間未満です。平日の時間外労働が45時間未満であったとしても、休日出勤と合計して100時間以上となると違法となります。なお、この「休日」は、1週間のうち必ず休ませなければならない1日のことで、週休二日制になっている場合のその両方の日ではありません。
それ以外にも、2~6カ月の平均で月80時間を超えてはならないことになります。2か月平均ということは、2カ月連続で80時間を超える残業をさせてはならないということになります。ある月に最大の100時間未満の残業をさせた場合は、その翌月には60時間未満としなければならないこととなります。これは精神障害等を起こさせないための措置でもありますので、従業員の皆様も会社も守るためには対応するべきことだと考えてください。

対象となる36協定は、協定の有効期間が2020年4月1日以降に始まるものです。通常、4月1日から有効の協定は3月中に締結し労働基準監督署に提出することになると思いますが、締結日が3月中であっても新しい制度に対応しなければなりませんので、御注意ください。
逆に、有効期間が2020年3月31日以前からである場合は、古い制度のままで有効期間が終わるまでは使えることになります。例えば2020年1月1日から2020年12月31日までの36協定の場合は、古い制度のままの36協定が2020年12月31日まで有効となります。この場合、2021年1月1日からの36協定は新しい制度で締結することになります。

この改正に伴って、36協定の書式が新しくなりますので、間違いのないように御注意ください。
記載例はこちらにありますので、御参考になさってください。
「36協定届の記載例(特別条項)」 https://www.mhlw.go.jp/content/000350329.pdf

もう一つの「派遣労働者の待遇差禁止」は、派遣先企業が大企業か中小企業かによって施行時期が1年ずれます。従業員を派遣している派遣元企業は、自社が中小企業であっても派遣先が大企業の場合は対応しなければなりません。
これは、派遣労働者の労働条件を派遣先企業の同様の業務を行っている従業員の労働条件と同じにしなければならないという規制です。この労働条件は、基本給はもちろん手当や福利厚生施設等についても同様となります。
しかし、現実問題として、派遣先が変わるたびに労働条件が変わるなど、派遣先の労働条件に合わせることによって却って不利益になるような場合等には、労使協定を取り交わすことによって、派遣先の労働条件ではなく一定の労働条件による派遣が可能となります。
この派遣先の労働条件に合わせる方法を「派遣先均等・均衡方式」といい、労使協定により労働条件を定める方法を「労使協定方式」といいます。

派遣先均等・均衡方式の場合、まず派遣先が派遣元に対して、比較対象労働者の待遇情報を提供しなければなりません。派遣元は、それを基に派遣労働者の待遇を定め、派遣先と派遣料金について交渉し、労働者派遣契約の締結をすることとなります。そして、その結果決まった条件を基に派遣元は派遣労働者と雇用契約を締結することとなります。当然に、この時に派遣労働者にはその内容を明示・説明する必要があります。
労使協定方式の場合は、まず派遣元が適正な内容の労使協定を労働者代表と締結します。この「適正な内容」とは、厚生労働省から通知される同種の業務に従事する労働者の平均的な賃金の額と同等以上の賃金額であることや適正な昇給があること、教育訓練を行うこと等となります。また、派遣元の就業規則には労使協定方式によることを盛り込む必要があります。そして、派遣先は比較対象労働者の待遇情報を派遣元に提供し、それらを基に派遣料金について交渉し、労働者派遣契約の締結をすることとなります。その後の派遣労働者との関係はどちらも同じです。

派遣先としては、自社の労働条件等の待遇情報を書面で派遣元に提供しなければならないことと、自社の従業員に対して行う教育訓練や福利厚生施設の利用は派遣労働者にも同様の対応をしなければならないことがポイントとなります。
当然に、派遣労働者だからと言って労働条件を悪くすることはできませんので、そのような事のないように注意する必要があります。通常、派遣元への支払額は派遣労働者への給与額より高くなるはずですので、派遣労働者の待遇が悪くならないような労働者派遣契約とするよう御注意ください。

働き方改革関連による改正などはまだ今後も続きますので、終わった話にはせず、キチンと対応できるように今後も御注意ください。

(2020年1月執筆)

執筆者

大神 令子おおがみ れいこ

社会保険労務士

略歴・経歴

大神令子社会保険労務士事務所代表

2000年(平成12年)12月 社会保険労務士試験 合格
2001年(平成13年) 2月 大阪府社会保険労務士会 登録
2002年(平成14年) 4月 大阪府内社会保険事務所にて 社会保険相談指導員
2006年(平成18年)12月 大神令子社会保険労務士事務所設立

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