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労働基準2023年08月17日 マイナンバー制度を正しく理解しましょう 執筆者:大神令子

昨今、コンビニでの住民票の誤出力から始まり、マイナンバーに関する問題が多発したためにマイナンバー制度の信頼度が大きく下がり、SNSでの呼びかけもあってマイナンバーカードの自主返納が生じるという問題が起きています。その関係で社会保険・雇用保険の取得・喪失手続きの時及び年末調整の書類作成時に必要となるマイナンバーの提示を拒む従業員の方も出てきているのではないかと思います。
しかし、現在、マスコミやSNSを賑わせているマイナンバーの問題と企業が手続きとして必要とするマイナンバーとは少し違うものですので、正しく御理解いただき、従業員の方にもご説明いただく必要があるのではないかと思いますので、簡単ですが解説しておきます。

①マイナンバー制度とマイナンバーカードは全く別のもの

 「マイナンバー」という単語は同じですが、マイナンバー制度とマイナンバーカードとは全く別のもので、その紐づけの方法も利用範囲も全く異なるものです。これを御理解されないまま、ごちゃ混ぜにしてお話されている方がTV等の出演者でもSNSのインフルエンサーでも散見されますので御注意ください。
 まずは、マイナンバー制度とマイナンバーカードとは全く別ものということを手続き担当の方は御理解いただき、疑問を感じていらっしゃる従業員の方にも御理解いただいてください。

②マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度そのものは、消えた年金問題や正しく課税されていないのではないかという疑問から生じた「社会保障と税の一体改革」の一環として作られたものです。マイナンバー制度を規定しているのは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(略称「マイナンバー法」)という法律です。
 個人番号(以下「マイナンバー」と言います)は基本的に1人の人に1つの番号が一生の間付与されるものです。なんらかのトラブルが生じない限りは番号が変わることはありません。この番号は、国民が申請するのではなく国が自動的に住民票を有する全ての人(国籍を問いません)に割り振っています。つまり、今現在日本国内に住んでいる方には全員にマイナンバーが付いていることになります。
 このマイナンバーが何故必要なのか?というと、行政手続きを行うにあたって公平で正確な対応を取ることが出来るようになるため、と言えます。また、以前は手続きを行う時に必要であった住民票や課税証明書等の添付が不要になるというメリットがあります。
 マイナンバーの利用範囲は「社会保障、税及び 災害対策の分野」とされていましたが、2023年6月9日に改正され「保険医・保険薬剤師、理容師・美容師、小型船舶操縦士及び建築士等の国家資格等、自動車登録、在留資格に係る許可等に関する事務」にまで広げられることとなりました。しかし、一般的な従業員の方に関する面では今までと変わりありません。

③マイナンバーと個人情報との紐付け

 マイナンバーそのものは、住民基本台帳に記載されている各個人に付与されています。そのマイナンバーと個人情報との紐付けは、年金については基礎年金番号、雇用保険については雇用保険被保険者番号とが直接紐付けされることになっています。納税に関しては元々番号がありませんので、番号との紐付けにはなっていません。今のところ、マイナンバーと直接紐付けされているものはこれ以外にはありません。
 基礎年金番号については、既にマイナンバーとの紐付けは日本年金機構の中で行われています。国民の方から紐付けすることを要求したり拒否したりすることはできません。
雇用保険被保険者番号については、基礎年金番号のように自動的に紐付けされることはなく、なんらかの手続きを行った時か雇用保険被保険者(従業員)からマイナンバーの届出をした場合に紐付けされます。就職(採用)した時や退職した時が一般的な紐付けの時期となります。
 基礎年金番号に関しては既に紐付けされていますので、手続き時に特に届出する必要はありません。またほとんどの手続時に基礎年金番号でもマイナンバーでも、どちらでも手続きできることになっています。しかし、雇用保険被保険者番号については手続き時にマイナンバーを届出し紐付けすることになっていますので、まだ紐付けできていない方についてはマイナンバーが必要となります。届出が義務にはなっていませんので、マイナンバーが無くても手続きは可能ですが、できるだけ届出して欲しいとなっています。
 このため、雇用保険に関する手続きをする時には、その対象の従業員の方にマイナンバーの提出を求めることとなります。この時に強く拒否される方も中にはいらっしゃるのではないかと思います。拒否された場合は止むを得ませんが、できるだけ御協力いただけるようにお願いする必要があります。
 これは、年末調整の時にマイナンバーを記載することについても同様です。

④マイナンバーカードとは

 マイナンバーカードとは、「マイナンバーが記載されたカード」です。マイナンバーそのものではありません。ただし、カードにはマイナンバーの記載だけでなくICチップが搭載されています。このICチップには公的個人認証が書き込まれています。基礎年金番号、雇用保険番号及び納税者との紐付けはマイナンバーと直接行われていますが、それ以外の個人情報は、このマイナンバーカードのICチップに書き込まれている公的個人認証をキーとして、オンライン資格確認等システムを利用し各個人情報にアクセスすることによって得ることができるというシステムになっています。今般問題となっているマイナンバーカードの健康保険被保険者証化も、このシステムを利用して行われています。
 つまり、健康保険証の情報はマイナンバーそのものに紐付けられているわけではないため、マイナ保険証はマイナンバーとは直接関係のないものなのです。

⑤マイナンバーカードを自主返納した場合

 マイナンバーに関連する問題が多発したためにSNSではマイナンバーカードの自主返納を呼びかける方がいらっしゃり、それに呼応して自主返納された方もいらっしゃいます。
マイナンバーカードを自主返納された場合、当然にお手元ではマイナンバーを確認する方法が無いことになります。しかし、既に書きましたとおり、各個人にはマイナンバーが割り振られており、マイナンバーカードを自主返納したとしても、マイナンバーそのものが消えて無くなることはありません。
 マイナンバーカードを自主返納されたとしても、雇用保険の手続き時や年末調整の書類作成時にはマイナンバーの記載が必要となります。「カードが無いからわからない」と仰られたとしても、マイナンバーそのものは存在し、手続きには必要なものとなります。
 どうしてもマイナンバーがわからない場合は、マイナンバー付きの住民票を取得していただくことになります。しかし、住民票を取得するとなれば費用が掛かってしまいます。マイナンバーの届出は義務ではありませんが、手続きにマイナンバーが必要であることは御理解いただけるようにお願いなさってください。

(2023年7月執筆)

執筆者

大神 令子おおがみ れいこ

社会保険労務士

略歴・経歴

大神令子社会保険労務士事務所代表

2000年(平成12年)12月 社会保険労務士試験 合格
2001年(平成13年) 2月 大阪府社会保険労務士会 登録
2002年(平成14年) 4月 大阪府内社会保険事務所にて 社会保険相談指導員
2006年(平成18年)12月 大神令子社会保険労務士事務所設立

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