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人事労務2020年04月08日 女性活躍推進に取り組むことによって得られる助成金は? 女性社員の労務相談 執筆者:髙橋佳子(特定社会保険労務士)

Q 女性活躍推進に取り組むことによって支給される助成金があると聞きました。どのような助成金か教えてください。

A 女性活躍推進に取り組む会社に対して支給される助成金として、女性活躍加速化助成金があります。この助成金には、会社の女性活躍推進計画の達成度合いに応じて2種類のコース(「加速化Aコース」、「加速化Nコース」)があります。

解 説

1 女性活躍加速化助成金とは

女性活躍加速化助成金(両立支援等助成金「女性活躍加速化コース」)は、女性活躍推進法に基づき、自社の女性社員の活躍状況を把握、課題分析し、「行動計画」を策定・届出した会社が、「行動計画」に盛り込んだ目標を達成して申請した場合、達成状況により支給される助成金です(助成金の支給申請の要件や支給額等は、変更されることがありますので、厚生労働省のホームページを参照してください。)。
なお、常時雇用する従業員が301人以上の会社では「行動計画」の策定が義務付けられています(女性活躍8)。

2 女性活躍加速化助成金の支給申請の要件

女性活躍加速化助成金は、前記のとおり、女性活躍推進法に基づき、自社の女性社員の活躍に関する「数値目標」、「数値目標」の達成に向けた「取組目標」等を盛り込んだ「行動計画」を策定・公表することを要件として、目標を達成した会社に支給されるものです。支給申請までの流れは次のとおりです。
【ステップ①】
自社の女性活躍の状況把握と課題を分析します。
現状把握の方法などの詳細は厚生労働省ホームページ掲載のパンフレット「一般事業主行動計画を策定しましょう」を参照してください。
【ステップ②】
自社の女性活躍を推進する課題解決のための目標を定め、「数値目標」と「取組目標」を盛り込んだ「行動計画」を策定して、社内に周知し、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に掲載して公表し、管轄の労働局に一般事業主行動計画策定届(女性新法単独型)又は一般事業主行動計画策定届(女性新法・次世代法一体型)を提出します。
【ステップ③】
「行動計画」期間内に「取組目標」を達成すると、「加速化Aコース」が申請可能になります(複数の「取組目標」がある場合、どれか一つを達成した時点で申請可能)。
申請は、取組目標達成日の翌日から2か月以内に行ってください。
ただし、常時雇用する社員が301名以上の大企業(中小企業以外)は「加速化Aコース」を申請することはできません。
【ステップ④】
「取組目標」達成時から3年以内に「数値目標」を達成して、達成状況を前述のデータベースに公表すると、「加速化Nコース」が申請可能になります(複数の「数値目標」がある場合、どれか一つを達成した時点で申請可能)。
申請は、数値目標達成日の翌日から2か月以内に行ってください。

3 女性活躍加速化助成金の支給額

女性活躍加速化助成金の支給額は次のとおりです(平成29年度の場合)。
・「行動計画」期間内に「取組目標」を達成(前記2【ステップ③】)
=「加速化Aコース」 支給額28.5万円
・「取組目標」達成時から3年以内に「数値目標」を達成して、達成状況を公表(前記2【ステップ④】)
=「加速化Nコース」 支給額28.5万円
いずれのコースも、申請時の直近年度の生産性が3年前より向上している場合、支給額は36万円になります。
なお、「加速化Nコース」では、女性管理職比率が基準値以上に上昇した場合、支給額は47.5万円(中小企業以外は28.5万円)になり、さらに上記の生産性要件を満たした場合は、中小企業60万円(中小企業以外は36万円)になります。
つまり、中小企業であれば、「加速化Aコース」と「加速化Nコース」を合わせて最大96万円が支給されます。

専門家のアドバイス

両立支援等助成金には、前記で紹介した女性活躍推進法に基づく「女性活躍加速化コース」のほか、女性社員を間接的に支援することになる助成金として、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、事業所内保育施設コースがあります。
また、人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)や、キャリアアップ助成金では、育児休業者に対する助成に優遇を設けており、女性社員を間接的に支援するものがあります。
会社の状況にあわせて上記の助成金を活用しながら、女性活躍の推進に取り組んでいきましょう。なお、申請にあたっての詳細は、厚生労働省のホームページを参照してください。

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執筆者

髙橋 佳子たかはし けいこ

特定社会保険労務士

略歴・経歴

◯経歴
外資系香料メーカー勤務中、国籍の異なる4つの会社のM&Aを経験し、資材・商品管理の統合を手掛けるなか、新しい仲間と進んで交流することで、その後の仕事がスムーズに進むことを実感した経験から産業心理を学び、産業カウンセラー資格を取得。さらに5年半の法律事務所勤務を経て社会保険労務士として独立し、働く人を心と制度・法律面で支えるために活動しています。
現在、企業の人事制度設計や職場環境改善の相談を受けながら、働きやすい職場環境のためのセミナー、これから働く人の労働法講座などで積極的に講師を務め、平成26年度からは京都府社会保険労務士会のワークサポート委員会のメンバーとして、高校での出前授業を通し、キャリア形成の支援に力を注いでいます。
働き方改革、ワークライフバランスでも積極的に活動し、㈱ワークライフバランスの養成講座出身者で組織するコンサルタント集団「WLBC関西」に所属。関西中心に自治体や企業の働き方改革のコンサルティング、啓発にあたっています。
やりがい、生きがい、働きがいからのアプローチで、社員が自律的に働く仕組みを提案します。

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