一般2024年08月28日 部活動の地域移行、地域連携に伴うスポーツ活動中の事故をめぐる法律問題 一般社団法人日本スポーツ法支援・研究センターからの便り 執筆者:川原佑基

第1 部活動の地域移行、地域連携とは
第2 補償の問題
第3 活動中の事故等の損害賠償責任の所在
1 高校については、令和4年6月6日の運動部活動の地域移行に関する検討会議提言において、「義務教育を修了し進路選択した高校生等が自らの意思で運動部活動への参加を選択している実態があるが、各学校の実情に応じて改善に取り組むことが望ましい。」とされており、地域移行等が望ましいとはしているものの、国として中学校ほどは推進しない考えが示されている。
2 以下のスポーツ庁のホームページに「事例集・全国の取組紹介」として各地域の取組内容が紹介されているが、地域ごとに様々な形式がみられる。https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/jsa_00016.html(スポーツ庁ホームページ)
3 https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/gyosei/docs/136762.html(掛川市ホームページ)
4 部活動指導員は、学校教育法施行規則78条の2に根拠を置く学校におけるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動(中学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する者であり、通常会計年度任用職員の地位を有する。なお、会計年度任用職員は地方公務員法第22条の2第1項第1号の規定に基づき任用される非常勤の一般職公務員である。
5 https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/school/bukatsu.html(横浜市ホームページ)
6 https://www.mext.go.jp/sports/content/20230628-spt_oripara-000028769_5.pdf(スポーツ庁ホームページ)
7 令和3年2月17日付「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の教師等の兼職兼業の取扱い等について(通知)
8 スポーツ界においては勝利至上主義等からパワハラ指導が横行しやすい土壌が存在しており、学校外の指導者を確保するにあたっては、専門性のみならず、パワハラ指導を実施せずに指導できる資質や能力も求められる。
9 この点については、令和3年2月17日付「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の教師等の兼職兼業の取扱い等について(通知)に文部科学省の考え方が示されている。
10 学校(園)の管理下(通学(園)中も含む)に怪我や病気になったときに、医療費や見舞金を給付する制度。詳細は、日本スポーツ振興センターの災害共済給付WEBの以下のURL(令和6年8月11日)参照。なお、あくまでも医療費や見舞金が給付されるに留まり、慰謝料等の損害は支払われないことから、損害のすべてを補填するものではない。
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/saigai/tabid/56/default.aspx
11 日本スポーツ振興センターWEBサイト(令和6年8月11日)
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kyufu_1/pdf/kyuujitsu-bukatsu_qa.pdf
12 公益財団法人スポーツ安全協会WEBサイト(令和6年8月11日)
https://www.sportsanzen.org/chiikiiko.html
なお、スポーツ安全保険は災害共済給付とは補償対象は重複しない仕組みとなっている。
13 スポーツ安全保険についても傷害保険は他覚所見を欠くむち打ちや腰痛は支給対象外である上に支給金額は実費に対応したものではなく、入通院日数に応じた定額の金額である。また、死亡したり、後遺障害が残存したりした場合は別途支給を受けられるが、これも裁判所の認定する金額ではなく、同保険の基準における金額の支払に留まる。
14 令和3年2月17日付「「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の教師等の兼職兼業の取扱い等について(通知)」において、文部科学省は、部活動の地域移行により運営主体が地域のスポーツ団体等に移行した場合に公立学校の教員が同団体の指導員も兼職し、同団体内で事故が発生した場合につき「損害賠償等の民事上の責任等については、基本的に地域団体との雇用関係において対応がなされるものである」としている。
(2024年8月執筆)
(本コラムは執筆者個人の意見であり、所属団体等を代表するものではありません。)
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執筆者

川原 佑基かわはら ゆうき
弁護士(弁護士法人常磐法律事務所)
略歴・経歴
明治大学法学部法律学科 卒業
中央大学大学院法務研究科 修了
神奈川県弁護士会スポーツ法研究会
日本スポーツ法学会会員
横浜マリナーズ所属(神奈川県弁護士会野球部)
<取扱分野>
一般民事。特に交通事故・スポーツ事故等事故の分野に注力している。
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