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一般2020年10月01日 一般スポーツ団体にも求められるガバナンス 執筆者:多賀啓

1 2019年6月に、「スポーツ団体ガバナンスコード〈中央競技団体向け〉」が策定されました1。同コードは、中央競技団体が適切な組織運営を行う上での13の原則・規範を示すものです。中央競技団体(各スポーツ競技について国内のスポーツを統轄する団体)は、2020年度以降、同コードの遵守状況について、年1回の自己説明及び公表を行う必要があります。さらに、各中央競技団体は、統括団体(中央競技団体を取りまとめる団体)2による適合性審査を受ける必要があります3
スポーツ団体ガバナンスコードは、中央競技団体向けのものだけでなく、一般スポーツ団体向けのものも策定されています(「スポーツ団体ガバナンスコード〈一般スポーツ団体向け〉」。2019年8月策定)4
ここでいう「一般スポーツ団体」とは、スポーツ団体(スポーツの振興のための事業を行うことを主たる目的とする団体5)のうち中央競技団体以外の団体と説明されています。

2 「スポーツ団体ガバナンスコード〈中央競技団体向け〉」には13の原則が定められているのに対し、「スポーツ団体ガバナンスコード〈一般スポーツ団体向け〉」には次の6つの原則が定められています。

● 原則1 法令等に基づき適切な団体運営及び事業運営を行うべきである。
● 原則2 組織運営に関する目指すべき基本方針を策定し公表すべきである。
● 原則3 暴力行為の根絶等に向けたコンプライアンス意識の徹底を図るべきである。
● 原則4 公正かつ適切な会計処理を行うべきである。
   ● 原則5 法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、組織運営に係る情報を積極的に開示することにより、組織運営の透明性の確保を図るべきである。
   ● 原則6 高いレベルのガバナンスの確保が求められると自ら判断する場合、ガバナンスコード〈NF向け〉の個別の規定についても、その遵守状況について自己説明及び公表を行うべきである。

  本稿において、それぞれの原則の具体的な内容まで説明することはできませんが、中央競技団体でなくとも、団体運営や事業運営を規律することや、公正適切な会計処理や情報開示が求められていることが分かります。
中央競技団体以外の一般スポーツ団体には、公益(一般)財団法人・公益(一般)社団法人・特定非営利法人のほか、法人格を有しない団体もあります。「スポーツ団体ガバナンスコード〈一般スポーツ団体向け〉」は、法人の形態や法人格の有無にかかわらず、遵守状況(直ちに遵守することが困難である場合を含め)について自己説明及び公表を行うことが望まれるとしています。
なお、中央競技団体は、中央競技団体の地方組織等にあたる一般スポーツ団体に対しては、ガバナンスの確保やコンプライアンス強化等に関するサポートを行うこととされています6

3 スポーツ庁及び独立行政法人日本スポーツ振興センターは、2020年秋までに同センターのウェブサイト上に各一般スポーツ団体がセルフチェックシートに基づく自己説明及び公表を簡便に行うことができる専用のウェブサイトを構築し、運用を開始する予定であることを公表しました7。さらに、スポーツ庁及び独立行政法人日本スポーツ振興センターは、2021年度事業から、同センターが行うスポーツ振興事業助成においてセルフチェックシートに基づく自己説明及び公表を申請要件の一つと位置付ける方向で検討中、としています。

4 2019年には、佐賀県ボート協会における国体派遣費補助金不正受給事案8が公益財団法人佐賀県スポーツ協会によって公表された他、他の一般スポーツ団体における不正経理事案が複数報道されました。これらは一般スポーツ団体において発生した不祥事事例の一例です。
スポーツ団体におけるガバナンス・コンプライアンス体制の構築は、中央競技団体だけの課題ではありません。「スポーツ団体ガバナンスコード〈一般スポーツ団体向け〉」が策定されたことを一つの契機に、中央競技団体以外の一般スポーツ団体も、ガバナンス・コンプライアンス体制の構築について改めて考える時期に来ています。

1 スポーツ庁ウェブサイト https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop10/list/detail/1420887.htm
2 (公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会、(公財)日本障がい者スポーツ協会
3 (公財)日本スポーツ協会ウェブサイト https://www.japan-sports.or.jp/about/tabid1273.html
4 スポーツ庁ウェブサイト https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/31/08/1420413.htm
5 スポーツ基本法第2条第2項
6 「スポーツ団体ガバナンスコード〈中央競技団体向け〉」原則13参照
7 スポーツ庁ウェブサイト
  https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/choukan/detail/1421062.htm
  なお、本稿執筆時点(2020年9月18日時点)では、専用のウェブサイトは公開されていない。
8 (公財)佐賀県スポーツ協会 http://www.sagaken-sports.com/site_files/file/press/20200227%20press.pdf

(2020年9月執筆)

執筆者

多賀 啓たが ひろむ

弁護士

略歴・経歴

虎ノ門協同法律事務所・弁護士
東京都立大学法科大学院・講師

学歴
2010年 首都大学東京都市教養学部法学系(現 東京都立大学法学部)卒業
2012年 首都大学東京法科大学院(現 東京都立大学法科大学院)修了

取扱分野
スポーツ法務、企業・団体法務、訴訟・仲裁その他紛争解決

著書
『スポーツの法律相談』(共著)青林書院(2017年3月)
『スポーツ事故対策マニュアル』(共著)体育施設出版(2017年7月)
『Q&Aでわかる アンチ・ドーピングの基本』(編著)同文館出版(2018年11月)
『法務担当者のための契約実務ハンドブック』(共著)商事法務(2019年3月)

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