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その他2007年02月07日 「いじめ」は共通語だ! 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:菅原哲朗

 見上げる南山公園のソウルタワーを背景に空はまっ青だ。ソウルの初冬は寒い。しかし日射しのある昼の暖かさは東京の気候と変わらない。風の冷たさや水たまりが凍って滑りそうになって気づく。北朝鮮の核実験以来、6ヶ国協議停止への不安と防空訓練など韓国市民生活に影響が出ていると思われるが、羽田から金甫空港間のシャトル便の混雑を見る限り、日本からの年配婦人の韓流観光客やビジネスマンへの影響はない。
 2006年12月1日から3日まで南山山麓に広がる韓国ソウルの東国大学校において、「福祉国家実現のためのスポーツ法の課題」というテーマで韓国スポーツエンターティメント法学会第4回国際学術会議が開催された。私も日本スポーツ法学会会長として招聘され会議に参加した。中国オリンピック委員会政策法規司法規処の衛虹霞副処長は2008年8月の北京オリンピックを間近に控え「中国体育法制現状和未来」について熱っぽく報告していた。2008年北京オリンピックはアジアに話題を提供する。2007年11月には北京の政法大学でアジアスポーツ法学会を開催しようと決まった。
 韓国では2006年7月に「韓国スポーツ仲裁委員会」が設立され、11月に同委員会の安東洙委員長および延基榮委員他3名が海外事例調査のため来日した。その熱心な調査活動に応え、日本スポーツ仲裁機構側は、2003年設立以後4年間の運営実態について多くの資料提供をした。
 韓国スポーツ仲裁委員会の設立はスポーツに関する国際紛争を解決するアジアスポーツ仲裁(ADR)組織を希求するためにも積極的な試みと高く評価されよう。
 韓国の法学者や弁護士の歓迎会は、一芸に秀でる人々が多く楽しい。外国人を楽しく歓迎する。たまたま帰国していて参加した在米の韓国人で著名なテコンドー指導者が、歓迎挨拶と乾杯の発声を突然指名される。また某老齢の教授は韓国スポーツエンターティメント法学会会長延基榮教授の突然の指名に、準備不足でこれは「いじめだ」「いじめだ」と片言の日本語を発しながら、懐に持参しているハーモニカで日本の演歌を上手に吹奏する。どうも日本発の少年少女たちが自殺に至る「いじめ」という日本の社会現象の報道は韓国でもすっかり有名で、日本語の「いじめ」で通用する。2006年11月25日、大阪市中央体育館で開催された日本スポーツ仲裁機構と大阪市主催の『日本のスポーツ界に今何が求められているか』スポーツ仲裁シンポジュウムでも、大阪市民から少年少女のスポーツ活動における「いじめ」が教育現場における解決すべき最重要課題として質問が出され熱心な討議となった。
 北京における資本主義的競争社会で如何にビジネスチャンスをとらえて豊かな将来を築くか、毎日が人をかき分けるラッシュアワーの中国人と学校の「いじめ」が毎日のように新聞報道される日本人、マンションの不動産バブルが進みつつ、11月22日、韓国で鳥インフルエンザ(AI)が発生し、中国や日本は韓国からの鶏肉の輸入を中断したとの影響で、サムゲタン(参鶏湯)を食べることを躊躇せざるを得ない韓国人と、国々の話題は異なっても情報は瞬時に移動する。ホテルのVIPルームにおけるアジアスポーツ法学会理事会はキムチ付きの韓国発の日式朝食を食べながら論議だ。昼は高麗大学付近の中国レストランでキムチ付きの韓国発の中式海鮮麺を食べながら懇談だ。外国人同士が韓国で交流を深めることは食事もグローバルに変化する。しかし、基本は韓国の食文化であるキムチを基礎とする日式と中式だ。韓国の弁護士は日本の新しい法律制度が出来ると韓国でも類似した法律が出てくると言う。司法試験制度が法科大学院に日本が変わると同じく、韓国でも司法試験の改革が進むと予想する。

(2006年12月執筆)

一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 全115記事

  1. 中国所在の不動産を巡る紛争と裁判管轄の問題
  2. 「老後は旅先で」~シニアの新しい生き方~
  3. 中国に出資しようとする外資企業に春が来た
  4. 「企業国外投資管理弁法」の概要
  5. 楽しさと便利さが、庶民の生活を作る。
  6. 中国会社法「司法解釈(4)」の要点解説
  7. 日本産業考察活動メモ
  8. 長江文明・インダス文明、再来の始まりを予感
  9. 中国国務院より「外資誘致20条の措置」が公布されました
  10. 中国の対日投資現状とトレンド(2)~中国の対日投資の論理とトレンド~
  11. 観光気分の危機管理
  12. 訴訟委任状に公証人の認証が必要か?
  13. 『外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法』の解説
  14. 婚活は慎重に!とある中国人女性と日本人男性の事例
  15. 新旧<適格海外機関投資家国内証券投資の外国為替管理規定>の比較
  16. 中国では、今年から営業税から増値税に切り換え課税するようになりました。
  17. 土地使用権の期限切れ
  18. 過度な中国経済悲観論について思うこと
  19. 『中華人民共和国広告法(2015年改正)』の施行による外資企業への影響(後編)
  20. 203高地への道
  21. 中国大陸における債権回収事件(後編)
  22. 中国大陸における債権回収事件(前編)
  23. 訪日観光は平和の保障
  24. 大連事務所15周年&新首席代表披露パーティーを行いました
  25. 再び動き出した中国の環境公益訴訟
  26. 「国家憲法の日」の制定
  27. 中国独占禁止法
  28. 道路の渡り方にみる日中の比較
  29. 日本の弁護士と中国の律師がともに講師となってセミナー
  30. 日中平和友好条約締結35周年に思う
  31. 中国におけるネットビジネス事情
  32. 敦煌莫高窟観光の人数制限と完全予約制の実施
  33. 両国の震災支援を両国民の友好につなげたい
  34. 公共交通機関のサービス体制
  35. 「ありがとう」を頻繁に口にすることの効果
  36. 久しぶりの上海は穏やかだ
  37. 事業再編の意外な落とし穴
  38. 強く望まれる独禁法制の東アジア圏協力協定化
  39. いまこそ日本企業家の心意気を持って
  40. iPadに見る中国の商標権事情
  41. 人民元と円との直接取引がスタート
  42. 中・韓のFTA(自由貿易協定)交渉開始と日本
  43. 固定観念を打破し、異質を結びあわす閃きと気概
  44. 若い世代を引きつける京劇
  45. 大都市は交通インフラが課題だ!
  46. 杭州市政府の若手職員の心意気
  47. 13億4000万人を養う中国の国家戦略
  48. 「命の安全」を考える。
  49. 大連で労働法セミナーを開催しました
  50. 中国でも「禁煙」規定が発効
  51. 中国における震災報道から思う
  52. IT通信手段は、不可欠だ。
  53. 日本人は計画的?中国人は行きあたりばったり?
  54. 広州・北京に見るストライキ事情
  55. 商業賄賂で処罰
  56. 大連事務所は開設10周年を迎えました!
  57. 顔が見える交流
  58. 日本は人治、中国は法治?!
  59. 日本の公証人制度
  60. 充電スタンド建設の加速
  61. 上海の成熟した喧噪と法意識の違い
  62. 中国における日本人死刑執行の重み
  63. 中国の富裕層は日本経済の「救世主」か
  64. 日本に追いつき追い越せ/パートII
  65. 国際交流を望む中国研究者にとって日本は遠い国だ
  66. 「文化産業振興計画」の採択
  67. 国慶節に思う
  68. IC身分証明と在日外国人取締強化
  69. 「日本人は・・・・・」「中国人は・・・・・・・」
  70. 中国の携帯電話産業
  71. メラミン混入粉ミルク事件
  72. 大連市の公証人役場
  73. 東北アジア開発の動きと長春の律師
  74. 循環型経済促進法の制定
  75. 北京オリンピックと私たち
  76. 四川大震災に想う
  77. 日・中企業間の契約交渉の実例
  78. 東アジア共同体
  79. レジ袋の有料化
  80. 通訳の質について
  81. 「中国餃子バッシング」に思う
  82. 中国の休日
  83. インドを見てから、あらためて中国を見る
  84. 日中韓の国境は障害を乗り越え、確実に近くなっている。
  85. 北京市の自転車レンタル事業から中国の環境政策を見る
  86. 福田首相と日中友好
  87. 上海の空、東京の空 四日市公害裁判提訴(1967年)から40年後の今に想う
  88. 物権法の制定過程
  89. 司法より行政に権力がある
  90. 中国の『走出去』戦略を読む
  91. 中国の環境問題
  92. 中国のオーケストラ
  93. 春節
  94. 「いじめ」は共通語だ!
  95. 中国を見る眼
  96. 最高人民法院を訪問しました
  97. 機内食のコップ あっという間の進歩
  98. 冷静な眼と暖かい心
  99. 自主的な総合的力量を備える
  100. 宴席は丸か四角か
  101. 「十一五」規画始動!
  102. 依頼人の人権擁護
  103. 身の安全
  104. 中国で「勤勉さ」を学ぶ
  105. 203高地や旅順口などの戦跡を訪れて思う
  106. 「ソウルで味わった韓流の逞しさ」
  107. 中国と日本の立法・行政・司法
  108. くれぐれも御用心
  109. 海外旅行は、法リスクの宝庫だ。
  110. 互いの理解
  111. 信頼関係の形成に向けて
  112. 中国憲法における「改革・開放」路線
  113. 苦情処理センターの効用
  114. 信頼できる中国人パートナーを得る
  115. 外国への進出と契約
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