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厚生・労働2020年03月03日 特別企画:同一労働同一賃金に対する企業の対応状況調査 出典:帝国データバンク

企業の59.2%、同一労働同一賃金への対応進める
~一部では労務費増の懸念や能力差への対応などに否定的な意見も~

はじめに
 働き方改革の一環で、2020年4月から「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され(中小企業は2021年4月から適用)、正規・非正規の雇用労働者間で、基本給や賞与、手当などあらゆる不合理な待遇差を禁止する「同一労働同一賃金」などの導入が控えている。
 同一労働同一賃金は、人件費などの負担が増加することが予想される半面、正規・非正規を問わず優秀な人材確保が期待される。
 そこで、帝国データバンクは、同一労働同一賃金に対する企業の対応状況について調査を実施した。本調査は、TDB 景気動向調査 2020 年 1 月調査とともに行った。
※調査期間は2020年1月20日~31日、調査対象は全国2万3,665社で、有効回答企業数は1万405社(回答率44.0%)
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
1. 同一労働同一賃金への対応状況、「大企業」が63.3%で「小規模企業」を15.0ポイント上回る
 自社における同一労働同一賃金(以下、「同一労賃」)への対応状況について尋ねたところ、同一労賃への『対応あり』(「既に対応済み」と「現在対応中」、「これから対応する予定」の合計)とする企業は 59.2%となった。他方、「対応していない(できない)」とする企業は 13.9%と、1 割程度となった。とりわけ、「これから対応する予定」(31.7%)が最も高く、4 社に 1 社は「分からない」と回答した。企業からは「同一労働かどうかを明確に判断するのは難しい。今後法改正に対応し具体的にどうアクションできるか不安」(看板・標識機製造、群馬県)や「制度内容が複雑であり、対応に苦慮している」(ソフト受託開発、千葉県)といった声があがり、法律の施行を控えるなかで、多くの企業で対応に悩んでいる様子がうかがえた。一方で、6 割近くの企業で同一労賃への対応を進めているが、「同一労賃の影響で企業の負担が増える。設備投資を控えるなどの対応が考えられる」(化粧品小売、東京都)や「同一労賃による労務費負担増などの影響により、倒産する中小企業が増加することも考えられる」(飲食料品・飼料製造、香川県)という声にあるように、企業側の負担を危惧する意見が多数みられた。また、「非正規の人材には同一労働を嫌がる者もいて、個別対応が必要」(熱絶縁工事、鳥取県)といった個人の求める環境を考慮するという声も聞かれた。
 同一労賃への『対応あり』とする企業を規模別にみると、「大企業」が 63.3%、「中小企業」が58.1%、「小規模企業」が 48.3%となった。特に、適用を直前に控える「大企業」は「小規模企業」を 15.0 ポイント上回った。また、「対応していない(できない)」とする企業をみると、「小規模企業」で 17.6%と他の規模より高い。
 企業からも、「同じ仕事をしても工夫や努力によって他者より結果を出す人がいた場合、そういった人の意欲が失われる」(食料・飲料卸売、大阪府)や「同一労賃が適用されると、正規雇用者のやる気が低下する懸念があり反対」(木製家具製造、福岡県)、「工場の製造ラインで完全に同じ仕事、というような場合以外は当てはめにくいと思う」(かばん・袋物卸売、兵庫県)などといった声があがった。
 同一労賃への『対応あり』とする企業を業界別にみると、「同一労賃の考え方は、以前から運送事業では多くの事業者が導入している」(一般貨物自動車運送、埼玉県)とあるように『運輸・倉庫』が 72.3%と最も高かった。次いで、『サービス』(67.5%)、『製造』(61.2%)が 6 割台で続く。一方で、『農・林・水産』(45.1%)や『不動産』(49.8%)が 4 割台となり、同一労賃への対応に業界間での違いが顕著に表れた。
まとめ
 本調査結果では、同一労賃への『対応あり』とする企業は、対応に苦慮しつつも約 6 割となった。他方、「対応していない(できない)」とする企業は 1 割程度となった。また、『運輸・倉庫』や『サービス』『製造』が高かった一方、『農・林・水産』『不動産』は 4 割台となるなど、同一労賃への対応に業界間で濃淡がみられた。
 こうしたなか、労務費などの増加を懸念する声や個人の能力差を踏まえない画一的な対応に否定的な意見もあがった。その一方で、「同一労賃の導入により、非正規雇用の待遇面を改善する動きが広がれば、賃金全般、ひいては景気動向にプラスの影響を及ぼす可能性があると期待したい」(電気機械器具卸売、東京都)など、前向きにとらえる企業も見受けられた。
 企業における「同一労働同一賃金」への対応は、多数の企業で進められている。しかし、制度に対し否定的な意見も多い。政府や行政は、企業が滞りなく対応できるよう引き続き制度に関する説明や取り組み支援などを行うとともに、施行された後の効果についても広く示していく必要があろう。

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