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一般2020年05月28日 特別企画:2020年度の設備投資に関する企業の意識調査 出典:帝国データバンク

設備投資、企業の52.8%が計画も前年から大幅減
~設備投資を行わない理由として「先行き見通せず」が急増~

はじめに
 設備投資動向は、働き方改革の進展などにより生産性向上に向けた省力化・効率化需要などが見込まれる。一方で、海外経済の減速や新型コロナウイルスなどの影響で先行きへの不透明感が高まり、悪影響を受ける可能性が懸念される。政府は「2020年度税制改正大綱」における大企業を対象とした設備投資の促進策を講じるほか、中小企業には新型コロナウイルスによる対策補助事業として設備投資支援などを進めている。
 そこで、帝国データバンクは、2020年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年4月調査とともに行った。
※調査期間は2020年4月16日~30日、調査対象は全国2万3,672社で、有効回答企業数は1万1,961社(回答率50.5%)。なお、設備投資に関する調査は、2017年4月以降、毎年4月に実施し、今回で4回目
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.2020年度に設備投資を行う予定(計画)が『ある』企業は52.8%で、前回調査(2019年4月)から9.5ポイント減少となった。規模別では、すべての規模で前年から減少している。業界別では、特に『農・林・水産』や『製造』、『卸売』、『小売』の減少幅が大きい。他方、「予定していない」は38.0%で、同8.4ポイント増加した
2.設備投資の内容では、「設備の代替」(40.4%)がトップ。以下、「既存設備の維持・補修」(31.5%)、「情報化(IT化)関連」(31.2%)、「省力化・合理化」(28.5%)と続く。既存設備に関する項目では高水準ながら減少したものの、生産性向上を目的に設備投資を行う企業は増加している。外出自粛が続くなか、テレワークの導入を行うという意見が多く聞かれた
3.主な資金調達方法は、「自己資金」が44.2%で最も高く、特に従業員数が300人を超える企業で割合が高い。次いで、「金融機関からの長期の借り入れ」(31.3%)も高かった
4.設備投資を行わない理由は、「先行きが見通せない」(64.4%)がトップ。次いで「現状で設備は適正水準である」(25.3%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.1%)が続く。特に中小企業は「投資に見合う収益を確保できない」や「借り入れ負担が大きい」、「手持ち現金が少ない」が大企業と比較して高く、現状の経営環境の厳しさが表れている
1.設備投資計画が『ある』企業は52.8%、前年より9.5ポイントの大幅減
 2020年度(2020年4月~2021年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資計画が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)企業は52.8%となり、前回調査(2019年4月実施)から9.5ポイントの大幅減となった。内訳は、「すでに実施した」が6.3%、「予定している」が27.4%、「実施を検討中」が19.1%となり、とりわけ「予定している」とする企業の減少幅が大きい。他方、「予定していない」は38.0%で、同8.4ポイント増加となった。
 設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」が63.0%、「中小企業」が50.7%、「小規模企業」が40.4%となった。特に「小規模企業」では「大企業」を22.6ポイント下回るなど、設備投資への意欲は企業規模による差が顕著に表れている。
 業界別では、『運輸・倉庫』が68.1%でトップとなり、『農・林・水産』(62.1%)、『製造』(60.9%)も6割台で高い。前年と比較すると、『農・林・水産』(前年比14.0ポイント減)、『製造』(同11.6ポイント減)、『卸売』(同11.1ポイント減)、『小売』(同10.7ポイント減)の4業界は10ポイント以上の減少となっている。
2.設備投資は更新需要や生産性向上に向けた投資が上位に
 2020年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対して、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、「設備の代替」が40.4%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「既存設備の維持・補修」(31.5%)や「情報化(IT化)関連」(31.2%)、「省力化・合理化」(28.5%)が続いた。既にある設備の更新や維持・補修に関する項目では高水準ながら減少した。他方、生産性向上に向けた設備投資は増加している。また、「事務所等の増設・拡大」(17.2%)や「新製品・新事業・新サービス」(14.7%)など、事業の拡大に向けて事務所の建替えや設備投資を行う割合も増加している。
 設備投資の内容を従業員数別にみると、従業員数が1,000人以下の企業においては「設備の代替」がトップとなり、1,000人超の企業では「情報化(IT化)関連」がトップとなった。設備の代替は多くの従業員数区分で4割を超えるなど幅広い企業で取り組む様子がうかがえる。一方、情報化関連は軒並み上位となったものの、従業員数が多い企業ほど取り組みに積極的だった。
 企業からは、「新型コロナウイルスの関係でテレワークを実施するなかで、働き方改革への発展など、業務の効率化を目指す」(電気機械器具卸売、東京都)や、「テレワークの必要性に迫られ、時間をかけて行う予定であったサーバーの入替やPC関連などの設備投資を前倒しで実施した」(税理士事務所、福岡県)といった、テレワークに関する意見が多く聞かれた。他方、「社内教育を充実させて業務の改善・新規品の開発に力を入れる」(金属表面処理、埼玉県)や、「Windows10 へ移行のため、業務用PCを買い替えた」(土木工事、広島県)といった声もあがった。
3.企業の44.2%が「自己資金」から資金を調達、特に従業員数300人を超える企業で高水準
 2020年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対して、主な資金調達方法を尋ねたところ、「自己資金」が44.2%で最も高かった。また、「金融機関からの長期の借り入れ」(31.3%)や「金融機関からの短期の借入」(5.6%)を含め、企業の8割超が自己資金や金融機関からの借り入れによって資金調達をしている結果となった。自己資金の活用は従業員数が300人を超える企業で多く、銀行からの借り入れは中小企業で多い。また、補助金の利用は低水準ではあるものの、従業員数が少ない企業ほど割合が高い。
4.設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」が64.4%でトップ
 2020年度に設備投資を「予定していない」企業に対して、設備投資を行わない理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が64.4%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「現状で設備は適正水準である」(25.3%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.1%)が続いた。
 特に「先行きが見通せない」は、前回調査から20ポイント増加し、将来に対する懸念から設備投資を見送る企業が急増している。とりわけ中小企業は65.4%と大企業(56.7%)を大きく上回り、先行き不安を抱く企業は中小企業で目立っている。また、「現状では設備は適正水準である」は規模を問わず前年から減少している。中小企業では、「投資に見合う収益を確保できない」や、「借り入れ負担が大きい」、「手持ち現金が少ない」などの割合が大企業より高く、現状の経営環境の厳しさが表れている。
 企業からは、「新型コロナウイルスの影響で収益性が大きく棄損しており、今は設備投資を控えざるを得ない」(金型部品製造・兵庫県)のように、新型コロナウイルスによる経済の停滞が設備投資の動向に影響を及ぼしているという声が多くあげられている。
まとめ
 本調査結果から、2020年度は企業の52.8%が設備投資の予定(計画)が『ある』としていることが明らかとなった。新型コロナウイルスの影響が深刻化するなか、2019年4月調査から10ポイント近く減少した。また、設備投資を「予定していない」とする割合は同8.4ポイント増加している。
 予定している設備投資の内容としては、設備の更新需要は高水準ながら減少した。一方で、ITを利用した効率化など生産性の向上を目的に設備投資を行う割合は増加している。また、設備投資を行うための資金は、企業の4割超が「自己資金」から調達しており、特に従業員数が300人を超える企業で高水準となっている。
 設備投資を行わない理由としては、先行きを見通せないとした企業が6割超にのぼった。企業からは「新型コロナウイルス感染症の影響を考えて、積極的な設備投資を控えている」(電気通信工事、千葉県)といった意見が、規模や業界を問わずあげられている。
 新型コロナウイルスの収束には至っておらず、経済活動の制約が続いている。先行きの不安や資金繰りの厳しさが増すことで既に設備投資を控えている企業もあり、今後はそうした動きを注視していく必要があろう。

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