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厚生・労働2020年02月26日 特別企画:人手不足に対する企業の動向調査(2020年1月) 出典:帝国データバンク

人手不足割合は大きく減少も、依然高水準が続く
~人手不足感が強いほど賃上げに積極的な傾向~

はじめに
 2019年の人手不足倒産は前年比20.9%増の185件となり、4年連続で過去最高を更新するなど、人手不足が企業活動に与える影響は鮮明になっている(帝国データバンク「人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)」)。また、2020年4月からは働き方改革関連法が本格的に中小企業にも適用されるため、長時間労働の是正がより一層求められている。そのため、企業は生産性の向上による業務の効率化などが急務となっている。
 そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年1月調査とともに行った。
※調査期間は2020年1月20日~31日、調査対象は全国2万3,665社で、有効回答企業数は1万405社(回答率44.0%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2020年1月の結果をもとに取りまとめた。
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している。
1.正社員不足は49.5%、前年同月から3.5ポイント減少も高水準続く
 現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不足」していると回答した企業は49.5%となった。依然として高水準ではあるものの、過去最高を更新した1年前(2019年1月)から3.5ポイント減少した。「適正」と回答した企業は40.9%で同1.3ポイント増加、「過剰」と回答した企業は9.6%で同2.2ポイント増加となった。
 「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「放送」(76.9%、1年前比横ばい、2年前比23.1ポイント増)がトップとなり、「情報サービス」(74.6%、同0.2ポイント減、同0.6ポイント増)においても7割以上の企業が不足を感じていた。以下、「建設」(68.5%、同0.7ポイント増、同0.4ポイント増)、「運輸・倉庫」(66.0%、同5.9ポイント減、同0.1ポイント増)、「メンテナンス・警備・検査」(65.2%、同0.9ポイント増、同0.2ポイント減)、「自動車・同部品小売」(64.6%、同6.5ポイント増、同1.1ポイント増)などの8業種が6割台となり、上位10業種すべてが6割以上となった。
 規模別にみると、「大企業」(60.2%)は6割以上の企業が「不足」と感じていた。高水準ではあるものの、1年前から2.2ポイント減少しており、1月としては10年ぶりの前年比減少となった。「中小企業」は46.9%(1年前比3.7ポイント減)、「小規模企業」は42.7%(同2.9ポイント減)の企業が人手不足を感じており、すべての規模で1年前から減少した。
 企業からは、「人手不足の影響で、元請けにおいても仕事をする業者が足りず、見積り、発注物件数が増加している」(建築工事、東京都)といった意見や、「新設工事案件、改修工事案件とも件数は多く引き合いも好調だが、人手不足の状況が心配」(工業計器製造、東京都)、「工事発注は官民ともあり、人手不足の状態」(土木工事、千葉県)のような需要の好調による人手不足を感じている企業もみられた。特に、ソフトウェア受託開発業からは「相当な技術者不足が続いている。案件が捌ききれないのが現状」(高知県)という声が多い。
2.非正社員不足は29.2%、1月としては3年ぶりに3割を下回る
 非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は29.2%となった(1年前比5.2ポイント減)。正社員より減少幅は大きく、1月としては3年ぶりに3割を下回った。一方、「適正」と回答した企業は61.9%(同2.5ポイント増)、「過剰」は8.9%(同2.7ポイント増)だった。
 業種別にみると、「飲食店」は76.9%(1年前比7.2ポイント減、2年前比2.6ポイント増)となり、最も高かった。また、スーパーや百貨店などを含む「各種商品小売」(60.0%、同2.5ポイント増、同16.1ポイント増)、「旅館・ホテル」(60.0%、同5.8ポイント増、同13.8ポイント増)は6割台で続いている。以下、「メンテナンス・警備・検査」(53.5%、同8.2ポイント減、同6.2ポイント減)、「飲食料品小売」(51.6%、同16.1ポイント減、同15.6ポイント減)、「人材派遣・紹介」(50.0%、同2.1ポイント減、同16.7ポイント減)が5割台で続いた。
 規模別では、「大企業」は32.1%(1年前比6.0ポイント減)となり、前年から大きく減少している。「中小企業」は28.4%(同4.9ポイント減)、「小規模企業」は29.0%(同2.8ポイント減)となった。
3.人手不足感が強いほど、ベースアップ、賞与の改善を見込む傾向
 依然として半数近い企業で人手不足を感じているなか、「人手不足の現状では、人員確保を考えると多少なりとも賃金改定をしなくてはならない」(電気配線工事、東京都)という声もみられるように、その対応策として賃金改善をあげる企業が多くみられる。実際に、賃金改善の理由を「労働力の確保・定着」とする企業は8割を超え過去最高となっている(帝国データバンク「2020年度の賃金動向に関する企業の意識調査」)。また、同調査ではベースアップを実施する企業の割合は高水準で推移する動きもみられている。そこで、人手不足の回答内容別に2020年度の正社員における賃金改善の具体的内容を分析した。
 ベースアップについてみると、「不足計」1では50.9%と半数を超える企業で実施する予定となっている。「適正」(42.4%)より8.5ポイント、「過剰計」2(34.6%)より16.3ポイント高い。賞与(一時金)についても、「不足計」では31.1%となり、「適正」(23.7%)より7.4ポイント、「過剰計」(17.6%)より13.5ポイント高い。また、「不足計」の内訳をみると、ベースアップ、賞与のいずれも「非常に不足」「不足」「やや不足」の順に割合が高い。総じて、人手不足をより強く感じている企業ほど、ベースアップや賞与といった賃金改善に積極的である傾向がみられた。
 企業からは、「地方は人手不足のため、労働力確保に向けてある程度の賃金上昇が必要」(石油卸売、京都府)、「人材流出を阻止するための採用コ スト増や人件費増加は必ずくるので、その前に対応したい」(不動産代理・仲介、北海道)といった声が聞かれた。また、「賃上げ努力は行いたいが、業績に影響する恐れがある」(印刷、製造)といった懸念をあげる企業もあった。

1「不足計」は、「非常に不足」「不足」「やや不足」の合計
2「過剰計」は、「非常に過剰」「過剰」「やや過剰」の合計

まとめ
 「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、1月の景気DIは前月比0.6ポイント減の41.9となり、4カ月連続で悪化した。国内景気は、記録的な暖冬で季節需要や農業の落ち込みが響いたほか、中国発の新型肺炎が春節時期に世界的に拡大し、旅館・ホテルや輸出・生産関連などに影響が表れ、後退局面が続いている。
 こうしたなか、正社員は半数近い企業で人手不足を感じていた。業種別では、「放送」「情報サービス」が7割を上回り、「建設」「運輸・倉庫」「自動車・同部品小売」「医療・福祉・保健衛生」などの8業種で6割台となり、上位10業種すべてで6割超となった。他方、規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」のすべてで1年前から減少している。
 非正社員では約3割の企業で人手不足を感じている。「飲食店」は7割台となり全業種で最も高く、「各種料品小売」「旅館・ホテル」の2業種が6割台、さらに「メンテナンス・警備・検査」「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」が5割台で続いた。また、すべての企業規模で減少するなど、非正社員の不足割合は全体を通して減少傾向にある。
 本調査では、正社員、非正社員ともに人手不足割合が大きく減少している一方で、依然として高い水準が続いている傾向もみられた。人手不足は、2020年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料としてトップにあげられている(帝国データバンク「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」)。人手不足が企業にとってマイナス要因となる様子が鮮明となるなか、今後の景気を左右する最重要課題として、その重要性は一段と増している。

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