所得税2020年04月21日 グループ通算制度が創設されました! 法令ダイジェスト 所得税法等の一部を改正する法律(令和2年3月31日法律8号)

概要
社会の構造変化及び持続的な経済成長を実現する観点から、個人所得課税、法人課税等について所要の改正が行われました。
施行
令和2年4月1日(一部の規定を除く。)
個人所得課税
1)NISA制度の見直し・延長
ア)つみたてNISAの延長
つみたてNISA制度が令和24年12月31日まで延長されました。
イ)一般NISAの見直し
一般NISA制度は、令和5年12月31日の終了後、新たな制度を創設し、つみたてNISAとの
選択適用となりました。
ウ)ジュニアNISAの廃止
ジュニアNISA制度は令和5年12月31日に終了し、令和6年1月1日以後に払い出すことができる
こととなりました。
2)エンジェル税制の見直し
ア)控除限度額の見直し
令和3年1月1日以降の控除限度額が、800万円に引き下げられました。
イ)適用対象となる「特定中小会社」の拡大
クラウドファンディングを通じて投資されるなど、一定の要件を満たした株式会社がエンジェル税制
の適用対象に追加されました。
3)国外中古建物の不動産取得に係る損益通算等の特例の創設
国外不動産所得の損失金額があるときは、その国外不動産所得の損失のうち、国外中古建物の償却費に
相当する部分の金額は生じなかったものとみなす制度が創設されました(令和3年分以後の所得税の計算に
ついて適用)。
4)未婚のひとり親に対する措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
ア)ひとり親控除の創設
現に婚姻をしていない一定の要件を満たす居住者について、所得金額から35万円を控除する制度が
創設されました(令和2年分以後の所得税及び令和3年度分以後の住民税について適用)
イ)寡婦(寡夫)控除の見直し
控除に所得制限を設け、事実婚状態である者がいる場合には、控除の対象外とされました
(令和2年分以後の所得税及び令和3年度分以後の住民税について適用)
法人課税
1)オープンイノベーションに係る措置の創設
青色申告書を提出する法人で新事業開拓事業者と共同して特定事業活動を行うものが、令和2年4月1日から令和4年3月31日までに特定株式を取得し、一定の経理をした場合は、その経理した金額の合計額を損金の額に算入できることとなりました。
※特定株式の譲渡等(取崩し事由)に該当する場合は、事由に応じた金額を取り崩して益金算入することと
されました(取得から5年経過後は益金不算入)。
2)連結納税制度の見直し
連結納税制度が抜本的に見直され、個別申告方式による納税制度(グループ通算制度)に移行されました(令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。
資産課税
1)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の延長
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、納税猶予制度等の適用期限が令和5年9月30日まで延長されました。
消費課税
1)消費税の申告期限延長特例の創設
消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合は、確定申告書の提出期限を1か月延長できる特例が創設されました(令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末尾の属する課税期間から適用)。
2)居住用賃貸建物の取得等の仕入税額控除の見直し
居住用賃貸建物の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととされました(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分は、従来どおり仕入税額控除制度の対象です。)。
以上
新日本法規出版株式会社
(2020年4月)
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