紛争・賠償2023年05月02日 ADRでの和解の一部で、 差し押さえなどの強制執行が可能に! 法令ダイジェスト 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和5年4月28日法律17号)

概要
裁判外紛争解決手続の利用を一層促進し、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図るため、認証紛争解決手続において成立した和解に基づく強制執行を可能とする制度が創設されました。
施行
公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)
特定和解の執行
1)定 義
「特定和解」とは、認証紛争解決手続において紛争の当事者間に成立した和解であって、当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意がされたものをいうこととされました。
2)特定和解の執行決定
〈1〉特定和解に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定を求める申立てをしなければならないこととされました。
〈2〉裁判所は、〈3〉の規定により〈1〉の申立てを却下する場合を除き、執行決定をしなければならないこととされました。
〈3〉裁判所は、〈1〉の申立てがあった場合において、執行拒否事由があると認めるときに限り、当該申立てを却下することができることとされました。
〈4〉〈1〉の申立てについて、書面等の提出、手続の中止、管轄、移送、必要的審尋及び不服申立てに関する規定が設けられました。
3)適用除外
2)の規定は、次に掲げる特定和解については、適用しないこととされました。
〈1〉消費者と事業者との間で締結される契約に関する紛争に係る特定和解
〈2〉個別労働関係紛争に係る特定和解
〈3〉人事に関する紛争その他家庭に関する紛争に係る特定和解(民事執行法第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権に係るものを除きます。)
〈4〉調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律第2条第3項に規定する国際和解合意に該当する特定和解であって、同法の規定の適用を受けるもの
4)その他の改正
執行決定の手続について、任意的口頭弁論、事件の記録の閲覧等、期日の呼出し、公示送達の方法、電子情報処理組織による申立て等、裁判書、民事訴訟法の準用及び最高裁判所規則への委任に関する規定が設けられました。
認証紛争解決手続の業務内容等の掲示方法の見直し
1)認証の公示等
認証紛争解決事業者は、認証紛争解決事業者である旨並びにその認証紛争解決手続の業務の内容及びその実施方法に係る事項であって法務省令で定めるものを、認証紛争解決手続の業務を行う事務所において見やすいように掲示し、又はインターネットの利用その他の方法により公表しなければならないこととされました。
2)過 料
認証紛争解決手続の業務内容等の掲示方法の見直しに伴い、過料について所要の規定が整備されました。
以 上
新日本法規出版株式会社
(2023年4月)
人気記事
人気商品
法令ダイジェスト 全42記事
- 社会保険の加入対象の拡大等、年金制度の見直しを実施!
- 就業環境のさらなる整備のために!
- 譲渡担保契約・所有権留保契約のルールを明文化!
- マンションの大規模修繕や建替え・売却の要件が緩和されました!
- さらなる職場環境の整備を推進!
- 児童虐待防止と保育現場の人材確保・体制強化!
- 基礎控除の引上げ等の見直しを実施!
- 子どもを性犯罪から守るための日本版DBS!
- 技能実習制度に代わり、新たに育成就労制度を創設!
- さらなる柔軟な働き方の実現に向けた措置を拡充!
- 離婚後の「共同親権」が導入される!
- 所得税・個人住民税の定額減税を実施!
- 送還・収容ルールの見直しのほか、紛争避難民等の保護が図られました!
- 空き家対策のさらなる強化のために!
- DVから被害者を守るため、 保護命令制度が拡充される!
- 働き方の多様化に対応し、 フリーランスの法的保護を図るために!
- ADRでの和解の一部で、 差し押さえなどの強制執行が可能に!
- 子どもの権利を護るため、 嫡出や懲戒をめぐる規定を120年ぶりに見直し!
- 懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化!
- こどもの権利を包括的に保障する基本法が制定される!
- こども関連政策を担う司令塔として、こども家庭庁が設置される!
- 建築物分野での省エネ対策を加速!
- 子育て世帯に対する支援体制を強化!
- さらなる消費者被害の防止・救済の強化が図られる!
- 民事裁判の全面的なIT化が図られる!
- さらなる利用促進と災害発生の防止のために!
- 賃上げ促進税制が拡充されました!
- デジタル社会における消費者保護が図られる!
- 出生時育児休業制度を新設するなど、 さらなる仕事と育児・介護の両立を促進!
- 匿名者によるネット誹謗中傷被害救済のため、 発信者情報開示制度の見直しが図られる!
- 所有者不明土地問題の解決のために!
- 相続等により取得した土地所有権の国庫帰属が可能に!
- DX投資促進税制が創設されました!
- 中小企業の廃業を防ぎ、成長できる環境を整備するために!
- 事業者の不祥事を早期に是正し、被害の防止を図るために!
- 消費者からの個人情報の利用停止・削除・開示請求への対応が厳格化!
- 全世代型社会保障の構築に向けた改正!
- 高年齢者の就業増加や副業解禁など、昨今の労働環境の変化に対応する改正!
- グループ通算制度が創設されました!
- 土地についての基本理念等が見直されました!
- 賃金請求権の消滅時効期間が3年に!
- 社外取締役設置や報酬決定方針の開示を義務化!
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.