社会保険2020年06月25日 全世代型社会保障の構築に向けた改正! 法令ダイジェスト 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年6月5日法律40号)

概要
より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置が講じられました。
施行
令和4年4月1日(一部の規定を除く。)
被用者保険の適用拡大
厚生年金保険法、健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法等の改正により次に掲げる措置が講じられました。
〈1〉短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件(常時500人を超える事業所)に
ついて、令和4年10月1日以降は常時100人を超える事業所、令和6年10月1日以降は常時50人を
超える事業所に段階的に引き下げることとされました。また、現行1年以上とされる勤務期間要件について
は撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件が適用されることとなりました。
〈2〉5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る
業務を行う事業が追加されました。
〈3〉厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期
給付が適用されることとなりました。
在職中の年金受給の在り方の見直し
厚生年金保険法の改正により次に掲げる措置が講じられました。
〈1〉高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額
を毎年定時に改定することとされました。
〈2〉60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、年金の
支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から65歳以上の在職老齢年金制度と
同じ47万円に引き上げることとされました。
受給開始時期の選択肢の拡大
国民年金法、厚生年金保険法等の改正により、現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大することとされました。
確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
確定拠出年金法、確定給付企業年金法、独立行政法人農業者年金基金法等の改正により、次に掲げる措置が講じられました。
〈1〉確定拠出年金の加入可能年齢を、企業型確定拠出年金制度については厚生年金被保険者のうち65歳未満
を70歳未満に、個人型確定拠出年金については公的年金の被保険者のうち60歳未満を65歳未満に引き
上げるとともに、受給開始時期等の選択肢を拡大することとされました。
〈2〉確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲を100人以下から300人以下に引き上げるととも
に、企業型確定拠出年金制度加入者の個人型確定拠出年金制度加入の要件を緩和するなど、制度面・手続面
の改善が図られました。
その他
国民年金法、厚生年金保険法、年金生活者支援給付金の支給に関する法律、児童扶養手当法等の改正により、次に掲げる措置が講じられました。
〈1〉国民年金手帳が廃止され、基礎年金番号通知書に切り替えられることとなりました。
〈2〉未婚のひとり親等が、寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加されることとなり
ました。
〈3〉短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数が3年から5年に引き上げられることとなり
ました。
〈4〉年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者が見直されることとなりました。
〈5〉児童扶養手当と障害年金の併給調整が見直されることとなりました。
以上
新日本法規出版株式会社
(2020年6月)
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