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民事2022年06月09日 さらなる消費者被害の防止・救済の強化が図られる! 法令ダイジェスト 消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律 (令和4年6月1日法律59号)

概要

消費者、事業者間の情報の質・量・交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を更に図る観点から、消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部について所要の改正が行われました。

施行

公布の日から起算して1年を経過した日から施行(一部の規定を除く。)

消費者契約法の一部改正関係

1)事業者の努力義務に関する改正

  事業者の努力義務に関する措置に、消費者契約の締結について勧誘をする際の必要な情報の提供において、考慮すべき個々の消費者の事情として年齢及び心身の状態を追加すること、消費者の求めに応じて、消費者契約により定められた消費者が有する解除権の行使に関して必要な情報を提供すること等を追加すること等とされました

2)困惑類型の追加
  事業者が消費者契約の締結について勧誘するに際し、当該行為によって消費者が困惑して意思表示をしたときは取消しが認められることとなる行為に、勧誘を受けている場所において、消費者が消費者契約を締結するか否かについて相談を行うために電話等によって事業者以外の者と連絡する旨の意思を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えて、連絡を妨げること等を追加することとされました。

3)無効とする消費者契約の条項の類型の追加
  無効とする消費者契約の条項に、事業者の債務不履行又は不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項であって、当該条項において事業者等の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていない条項を追加することとされました。。

4)損害賠償の額の予定等の算定の根拠の概要を説明する努力義務の創設
  事業者は、消費者に対し、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定する条項等に基づき損害賠償等の支払を請求する場合において、 当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定等の算定根拠の概要を説明するよう努めなければならないこととされました。

5)適格消費者団体の要請に係る制度の創設
  適格消費者団体は、事業者等に対し、第8条等に規定する条項を含む消費者契約の申込み等のおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるとき等は、当該条項の開示を、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定する条項等が定める損害賠償の額の予定等が平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当の理由があるときは、当該条項に係る算定根拠の説明を、また、差止請求により事業者等が必要な措置をとる義務を負うときに講じた措置の内容の開示を要請することができることとし、事業者等はこれらに応じるよう努めなければならないこととされました。

消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部改正関係

1)題名の改正

  題名を「消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」に改めることとされました。

2)共通義務確認の訴えの対象の拡大
〈1〉一定の要件の下で、共通義務確認の訴えの被告とすることができる者に事業監督者及び被用者を加えることとされました。
〈2〉一定の要件の下で、精神上の苦痛を受けたことによる損害に係る請求に係る金銭の支払義務について、共通義務確認の訴えを提起することができることとされました。

3)保全開示命令の創設
  共通義務確認訴訟が係属する裁判所は、一定の事項の疎明があった場合には、事業者等に対して、対象消費者の氏名等が記載された文書の開示を命ずることができることとされました。

4)共通義務確認訴訟における和解に係る規定の整備
  共通義務確認訴訟において、第2条第4号に規定する義務の存否にかかわらず、和解をすることができること等とされました。

5)簡易確定手続開始の申立てに係る規定の整備
  特定適格消費者団体が一定の場合に簡易確定手続開始の申立義務を負わないこととするとともに、簡易確定手続開始の申立義務を負う場合について、その申立期間を4か月以内とし、当該期間の伸長制度を定めることとされました。

6)簡易確定手続に関する公告、通知等の規定の整備
〈1〉簡易確定手続申立団体による通知について、一定の要件の下で、一部の事項の記載を省略できることとされました。
〈2〉簡易確定手続申立団体の求めがある場合、簡易確定手続の相手方は、知れている対象消費者等に対して一定の事項を通知しなければならないこととされました。

7)時効の特例に関する規定の整備
  時効の完成猶予及び更新の特例について、所要の規定を整備することとされました。

8)消費者団体訴訟等支援法人制度の創設
  内閣総理大臣は、一定の要件を満たす特定非営利活動法人等を、特定適格消費者団体の委託を受けて特定適格消費者団体が行う被害回復関係業務に付随する事務であって内閣府令で定めるもの等の業務を行う者として認定することができることとされました。

新日本法規出版株式会社
(2022年6月)

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