家族2024年06月03日 離婚後の「共同親権」が導入される! 民法等の一部を改正する法律(令和6年5月24日法律33号)
概 要
子の権利利益を保護する観点から、子の養育についての父母の責務に関する規定の新設、父母が離婚した場合にその双方を親権者と定めることができるようにする等の親権に関する規定の整備、子の監護に要する費用の支払を確保するための制度の拡充、家事審判等の手続における父又は母と子との交流の試行に関する規定の新設等、所要の改正が行われました。
施 行
公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)
民法の一部改正関係
1)親の責務等
婚姻関係の有無にかかわらず、父母が子を養育するに当たって負う責務に関する規定を設けることとされました。
2)親権等
〈1〉親権
親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならないこととされました。
〈2〉親権の行使方法
父母双方が親権者であるときであっても、子の利益のため急迫の事情があるときや、監護及び教育に関する日常の行為については、父母の一方が単独で親権を行使することができることとするとともに、特定の事項に係る親権の行使について父母間に協議が調わない場合には、家庭裁判所が当該事項に係る親権行使者を定めることができることとされました。
〈3〉離婚の場合の親権者の定め
〈ア〉父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定めることとされました。
〈イ〉裁判上の離婚の場合には、裁判所が、父母の双方又は一方を親権者と定めることとされました。
〈ウ〉裁判所は、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととし、この場合において、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならないこととされました。
〈4〉離婚後の子の監護に関する事項の定め等
父母が協議上の離婚をする際に協議で定める事項に、監護の分掌を追加することとされました。
3)子の監護の費用
〈1〉子の監護の費用の先取特権
子の監護の費用によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有することとされました。
〈2〉子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例
父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、一定の要件の下で、法務省令で定める一定額の養育費を請求することができることとされました。
4)親子の交流等
〈1〉審判による父母以外の親族と子との交流の定め
家庭裁判所の審判により父母以外の親族と子との交流の定めをする場合に関する規定を設けることとされました。
〈2〉父母の婚姻中の親子の交流等
父母が婚姻中に子と別居している場合における親子の交流等に関する規定を設けることとされました。
5)養子
子が養子であるときの親権者に関する規定を設けるとともに、15歳未満の者を養子とする縁組の代諾について親権者や監護者等の間に協議が調わないとき等の調整に関する規定を設けることとされました。
6)財産分与
財産分与の請求期間を5年に伸長するとともに、家庭裁判所が財産分与の額及び方法を定める際の考慮要素等を定めることとされました。
民事執行法の一部改正関係
扶養義務等に係る債権に基づき財産開示手続等の申立てをした場合には、当該申立てと同時に、当該申立てに係る手続において債務者が開示した債権に対する差押命令の申立て等をしたものとみなすこととされました。
人事訴訟法の一部改正関係
1)情報開示命令
離婚訴訟において子の監護に要する費用の分担に関する附帯処分又は財産の分与に関する附帯処分の申立てがされている場合には、裁判所が、当事者に対し、その収入、資産等の状況に関する情報の開示を命ずることができることとされました。
2)判決前の親子交流の試行的実施
離婚訴訟において子の監護に関する附帯処分の申立てがされている場合には、裁判所が、当事者に対して、子との交流の試行的実施を促すことができることとされました。
家事事件手続法の一部改正関係
1)情報開示命令
子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件及び調停事件、財産の分与に関する処分の審判事件及び調停事件等について、裁判所が、当事者に対し、その収入、資産等の状況に関する情報の開示を命ずることができることとされました。
2)審判又は調停前の親子交流の試行的実施
子の監護に関する処分の審判事件及び調停事件において、裁判所が、当事者に対して、子との交流の試行的実施を促すことができることとされました。
その他
この法律の制定に伴い、所要の経過措置を定めるとともに、関係法律の規定の整備等をすることとされました。
以 上
新日本法規出版株式会社
(2024年5月)
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