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家族2022年12月26日 子どもの権利を護るため、 嫡出や懲戒をめぐる規定を120年ぶりに見直し! 民法等の一部を改正する法律(令和4年12月16日法律102号)

概要

 子の権利利益を保護する観点から、嫡出の推定が及ぶ範囲の見直し及びこれに伴う女性に係る再婚禁止期間の廃止、嫡出否認をすることができる者の範囲の拡大及び出訴期間の伸長、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間の設置等の措置を講ずるとともに、親権者の懲戒権に係る規定を削除し、子の監護及び教育において子の人格を尊重する義務を定める等の措置を講ずることとされました。

施行

公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)

民法の一部改正関係     

1)再婚禁止期間の撤廃等

  再婚禁止期間に関する規定について所要の見直しを行うこととされました。

2)嫡出の推定
〈1〉妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定することとし、女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とすることとされました。
〈2〉〈1〉の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に2以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定することとされました。

3)嫡出の否認
〈1〉父、子又は母は、子が嫡出であることを否認することができることとされました。
〈2〉子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって、子の父以外のもの(以下「前夫」といいます。)は、子が嫡出であることを否認することができることとされました。

4)嫡出否認の訴え
  父、子、母及び前夫の否認権は、それぞれ所定の者に対する嫡出否認の訴えによって行うこととされました。

5)嫡出否認の訴えの出訴期間
〈1〉父、子、母及び前夫の否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ所定の時期から3年以内に提起しなければならないこととされました。
〈2〉子は、その父と継続して同居した期間が3年を下回るときは、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができることとされました。

6)認知の無効の訴え
〈1〉子若しくはその法定代理人、認知をした者又は子の母は、それぞれ所定の時期から7年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができることとされました。
〈2〉子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間が3年を下回るときは、21歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができることとされました。

7)子の人格の尊重等
  親権を行う者は、監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないこととされるとともに、懲戒に関する規定を削除することとされました。

児童福祉法の一部改正関係

 児童相談所長等は、一時保護が行われた児童等で親権を行う者等のあるものについても、監護及び教育に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができることとされ、この場合において、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないこととされました。

国籍法の一部改正関係 

 認知された子の国籍の取得に関する規定は、認知について反対の事実があるときは、適用しないこととされました。

児童虐待の防止等に関する法律の一部改正関係

 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないこととされました。

人事訴訟法の一部改正関係

1)嫡出否認の訴えの当事者

  父が子の出生前に死亡したとき又は所定の期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他父の三親等内の血族は、父の死亡の日から1年以内に限り、嫡出否認の訴えを提起することができることとされました。

2)認知の無効の訴えの当事者
〈1〉認知の無効の訴えについても、1)と同様の規律を設けることとされました。
〈2〉子が所定の期間内に認知の無効の訴えを提起しないで死亡したときは、子の直系卑属又はその法定代理人は、認知の無効の訴えを提起することができることとされ、この場合においては、子の死亡の日から1年以内にその訴えを提起しなければならないこととされました。

家事事件手続法の一部改正関係

 裁判所は、嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、前夫に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知することとされました。

生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の一部改正関係

 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子又は妻は、その子が嫡出であることを否認することができないこととされました。

その他

 この法律の制定に伴い、所要の経過措置を設けることとされました。

以 上

新日本法規出版株式会社
(2022年12月)

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