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一般2021年05月11日 匿名者によるネット誹謗中傷被害救済のため、 発信者情報開示制度の見直しが図られる! 法令ダイジェスト 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律 (令和3年4月28日法律27号)

概要

インターネット上の誹謗中傷などによる権利侵害についてより円滑に被害者救済を図るため、発信者情報開示について新たな裁判手続(非訟手続)を創設するなどの制度的見直しが行われました。

施行

公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)

発信者情報の開示請求

〈1〉特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供 者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるもの)以外の発信者情報については〈ア〉及び〈イ〉のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができることとされました。

 〈ア〉当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

 〈イ〉当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

 〈ウ〉当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していない等と認めるとき。


〈2〉特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した関連電気通信役務提供者に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができることとされました。

 〈ア〉当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

 〈イ〉当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。


〈3〉〈1〉及び〈2〉の「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものとされました。

開示関係役務提供者の義務等

〈1〉開示関係役務提供者は、開示の請求を受けたときは、一定の場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならないこととされるとともに、発信者情報開示命令を受けたときは、一定の場合を除き、意見の聴取において開示の請求に応じるべきでない旨の意見を述べた侵害情報の発信者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならないこととされました。

〈2〉開示関係役務提供者は、一定の場合を除き、開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じないこととされました。

発信者情報開示命令 

〈1〉裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、開示の請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができることとされました。

〈2〉発信者情報開示命令の申立ての管轄について、裁判所が管轄権を有する場合を定める等の所要の規定の整備をすることとされました。

〈3〉裁判所は、発信者情報開示命令の申立てがあった場合には、一定の場合を除き、当該発信者情報開示命令の申立書の写しを相手方に送付しなければならないこととするとともに、発信者情報開示命令の申立てについての決定をする場合には、一定の場合を除き、当事者の陳述を聴かなければならないこととされました。

〈4〉発信者情報開示命令事件の記録について、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、その閲覧等を請求することができることとする等の所要の規定の整備をすることとされました。

〈5〉発信者情報開示命令の申立ては、当該申立てについての決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができることとするとともに、当該申立ての取下げは、当該申立てについての決定がされた後である場合その他一定の場合においては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じないこととされました。

〈6〉発信者情報開示命令の申立てについての決定(当該申立てを不適法として却下する決定を除く。)に不服がある当事者は、当該決定の告知を受けた日から1月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができることとされるとともに、当該訴えについての判決においては、当該訴えを不適法として却下するときを除き、当該決定を認可し、変更し、又は取り消すこととされました。

〈7〉〈6〉の決定を認可し、又は変更した判決で発信者情報の開示を命ずるものは、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有することとするとともに、〈6〉の訴えが、〈6〉の期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該訴えに係る〈6〉の決定は、確定判決と同一の効力を有することとされました。

提供命令及び消去禁止命令

〈1〉本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者(申立人)の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、次に掲げる事項を命ずることができることとされました。

 〈ア〉当該開示関係役務提供者がその保有する発信者情報により当該侵害情報に係る他の開示関係役務提供者の氏名又は名称及び住所(他の開示関係役務提供者の氏名等情報)の特定をすることができる場合においては、当該申立人に対し、当該他の開示関係役務提供者の氏名等情報を提供すること等。

 〈イ〉この〈1〉による命令(「提供命令」といい、〈ア〉に係る部分に限る。)により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた当該申立人から、当該他の開示関係役務提供者を相手方として当該侵害情報についての発信者情報開示命令の申立てをした旨の通知を受けたときは、当該他の開示関係役務提供者に対し、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報を提供すること。


〈2〉提供命令の申立ては、当該提供命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができることとするとともに、提供命令を受けた開示関係役務提供者は、当該提供命令に対し、即時抗告をすることができることとされました。

〈3〉本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての発信者情報開示命令の〈6〉の決定に対して発信者情報開示命令の〈6〉の訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報を消去してはならない旨を命ずることができることとされました。

〈4〉〈3〉の命令(以下「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができることとされるとともに、消去禁止命令を受けた開示関係役務提供者は、当該消去禁止命令に対し、即時抗告をすることができることとされました。

施行期日 

この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされました。

新日本法規出版株式会社
(2021年5月)

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