教育2024年07月10日 子どもを性犯罪から守るための日本版DBS! 法令ダイジェスト 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年6月26日法律69号)

概 要
児童対象性暴力等が児童等の権利を著しく侵害し、児童等の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるものであることに鑑み、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業を行う立場にある学校設置者等及び認定を受けた民間教育保育等事業者が教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止等の措置を講じることが義務付けられました。
施 行
公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)
学校設置者等及び民間教育保育等事業者の責務等
学校設置者等(学校、児童福祉施設等)及び民間教育保育等事業者(学習塾等)について、その教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止に努めるとともに、被害児童等を適切に保護する責務を有することが規定されました。
学校設置者等が講ずべき措置
学校設置者等が講ずべき措置として以下のものが規定されました。
〈1〉教員等に研修を受講させること、児童等との面談・児童等が相談を行いやすくするための措置
〈2〉教員等としてその業務を行わせる者について、後記「犯罪事実確認の仕組み等」に掲げる仕組みにより特定性犯罪前科の有無を確認(※)
(※)これらを踏まえ、児童対象性暴力等が行われるおそれがある場合の防止措置(教育、保育等に従事させないこと等)を実施
〈3〉児童対象性暴力等の発生が疑われる場合の調査、被害児童等の保護・支援
民間教育保育等事業者の認定及び認定事業者が講ずべき措置
〈1〉内閣総理大臣は、前記「学校設置者等が講ずべき措置」に掲げる学校設置者等が講ずべき措置と同等のものを実施する体制が確保されている事業者について、認定・公表
〈2〉認定事業者には前記「学校設置者等が講ずべき措置」に掲げるものと同等の措置実施を義務付け
〈3〉認定事業者は、認定の表示可能
〈4〉認定事業者に対する内閣総理大臣の監督権限の規定を創設
犯罪事実確認の仕組み等
〈1〉前記「学校設置者等が講ずべき措置」及び「民間教育保育等事業者の認定及び認定事業者が講ずべき措置」の対象事業者が内閣総理大臣に対して申請従事者の犯罪事実を確認する仕組みを創設するものとされました。その仕組みにおいては、対象となる従事者本人も関与する仕組みとするものとされました。
〈2〉内閣総理大臣は、対象事業者から申請があった場合、以下の期間における特定性犯罪(痴漢や盗撮等の条例違反を含みます。)前科の有無について記載した犯罪事実確認書を対象事業者に交付するものとされました。ただし、前科がある場合は、あらかじめ従事者本人に通知するものとし、本人は通知内容の訂正請求が可能とされました。
〈ア〉拘禁刑(服役) 刑の執行終了等から20年
〈イ〉拘禁刑(執行猶予判決を受け、猶予期間満了) 裁判確定日から10年
〈ウ〉罰金 刑の執行終了等から10年
〈3〉犯罪事実確認書等の適正な管理(情報の厳正な管理・一定期間経過後の廃棄等)
その他
この法律に定める義務に違反した場合には児童福祉法等(※)に規定する報告徴収等の対象となること等が規定されました。
(※)学校教育法、児童福祉法、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律
以 上
新日本法規出版株式会社
(2024年7月)
人気記事
人気商品
関連商品
法令ダイジェスト 全42記事
- 社会保険の加入対象の拡大等、年金制度の見直しを実施!
- 就業環境のさらなる整備のために!
- 譲渡担保契約・所有権留保契約のルールを明文化!
- マンションの大規模修繕や建替え・売却の要件が緩和されました!
- さらなる職場環境の整備を推進!
- 児童虐待防止と保育現場の人材確保・体制強化!
- 基礎控除の引上げ等の見直しを実施!
- 子どもを性犯罪から守るための日本版DBS!
- 技能実習制度に代わり、新たに育成就労制度を創設!
- さらなる柔軟な働き方の実現に向けた措置を拡充!
- 離婚後の「共同親権」が導入される!
- 所得税・個人住民税の定額減税を実施!
- 送還・収容ルールの見直しのほか、紛争避難民等の保護が図られました!
- 空き家対策のさらなる強化のために!
- DVから被害者を守るため、 保護命令制度が拡充される!
- 働き方の多様化に対応し、 フリーランスの法的保護を図るために!
- ADRでの和解の一部で、 差し押さえなどの強制執行が可能に!
- 子どもの権利を護るため、 嫡出や懲戒をめぐる規定を120年ぶりに見直し!
- 懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化!
- こどもの権利を包括的に保障する基本法が制定される!
- こども関連政策を担う司令塔として、こども家庭庁が設置される!
- 建築物分野での省エネ対策を加速!
- 子育て世帯に対する支援体制を強化!
- さらなる消費者被害の防止・救済の強化が図られる!
- 民事裁判の全面的なIT化が図られる!
- さらなる利用促進と災害発生の防止のために!
- 賃上げ促進税制が拡充されました!
- デジタル社会における消費者保護が図られる!
- 出生時育児休業制度を新設するなど、 さらなる仕事と育児・介護の両立を促進!
- 匿名者によるネット誹謗中傷被害救済のため、 発信者情報開示制度の見直しが図られる!
- 所有者不明土地問題の解決のために!
- 相続等により取得した土地所有権の国庫帰属が可能に!
- DX投資促進税制が創設されました!
- 中小企業の廃業を防ぎ、成長できる環境を整備するために!
- 事業者の不祥事を早期に是正し、被害の防止を図るために!
- 消費者からの個人情報の利用停止・削除・開示請求への対応が厳格化!
- 全世代型社会保障の構築に向けた改正!
- 高年齢者の就業増加や副業解禁など、昨今の労働環境の変化に対応する改正!
- グループ通算制度が創設されました!
- 土地についての基本理念等が見直されました!
- 賃金請求権の消滅時効期間が3年に!
- 社外取締役設置や報酬決定方針の開示を義務化!
最近閲覧した記事
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.