1)題名
題名を「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」に改めることとされました。
2)目的
この法律の目的に建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進を図ることを追加することとされました。
3)建築物エネルギー消費性能基準への適合義務の対象となる建築物の範囲の拡大等
〈1〉建築主は、建築物の建築(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ない規模以下のものを除きます。)をしようとするときは、当該建築物(増築又は改築をする場合にあっては、当該増築又は改築をする建築物の部分)を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならないこととされました。
〈2〉〈1〉の規定は、建築基準法第6条の4第1項第3号に掲げる建築物の建築をする場合における同法第6条第1項等の規定の適用等を除き、同項に規定する建築基準関係規定とみなすこととされました。
〈3〉建築主は、〈1〉の規定により建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならない建築物の建築(建築基準法第6条の4第1項第3号に掲げる建築物の建築に該当するものを除きます。)であって、同法第6条第1項の規定による確認を要するものをしようとするとき等は、当該建築行為が、建築物エネルギー消費性能適合性判定を行うことが比較的容易なものである場合を除き、建築物エネルギー消費性能確保計画を提出して所管行政庁等の建築物エネルギー消費性能適合性判定を受けなければならないもの等とすることとされました。
4)分譲型規格共同住宅等に係る措置
〈1〉特定共同住宅等建築主(自らが定めた共同住宅等の構造及び設備に関する規格に基づき共同住宅等を新築し、これを分譲することを業として行う建築主であって、その1年間に新築する当該規格に基づく共同住宅等(以下「分譲型規格共同住宅等」といいます。)の住戸の数が政令で定める数以上であるものをいいます。以下同じ。)は、その新築する分譲型規格共同住宅等を〈2〉に規定する基準に適合させるよう努めなければならないこととされました。
〈2〉経済産業大臣及び国土交通大臣は、特定共同住宅等建築主の新築する分譲型規格共同住宅等のエネルギー消費性能の一層の向上のために必要な住宅の構造及び設備に関する基準を定めなければならないこととされました。
〈3〉国土交通大臣は、特定共同住宅等建築主に対し、その新築する分譲型規格共同住宅等について、〈2〉に規定する基準に照らし勧告をすることができるものとし、その者が当該勧告に従わなかったとき等は、公表及び命令をすることができるもの等とすることとされました。
5)販売事業者等による建築物の販売等に係る措置
〈1〉建築物の販売又は賃貸(以下「販売等」といいます。)を行う事業者(以下「販売事業者等」といいます。)は、その販売等を行う建築物について、エネルギー消費性能を表示するよう努めなければならないものとし、国土交通大臣は、当該表示について、次に掲げる事項を定め、これを告示することとされました。
〈ア〉建築物のエネルギー消費性能に関し販売事業者等が表示すべき事項
〈イ〉表示の方法その他建築物のエネルギー消費性能の表示に際して販売事業者等が遵守すべき事項
〈2〉国土交通大臣は、販売事業者等に対し、その販売等を行う建築物について〈1〉の規定により告示されたところに従ってエネルギー消費性能の表示をしていないと認めるときは、勧告をすることができるものとし、その者が当該勧告に従わなかったとき等は、公表及び命令をすることができるもの等とすることとされました。
6)建築物再生可能エネルギー利用促進区域における措置等
〈1〉国土交通大臣は、基本方針において、〈2〉に規定する促進計画に関する基本的な事項等を定めることとされました。
〈2〉市町村は、基本方針に基づき、当該市町村の区域内の一定の区域であって、建築物への再生可能エネルギー利用設備(再生可能エネルギー源の利用に資する設備として国土交通省令で定めるものをいいます。以下同じ。)の設置の促進を図ることが必要であると認められるもの(以下「建築物再生可能エネルギー利用促進区域」といいます。)について、建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進に関する計画(以下「促進計画」といいます。)を作成することができることとされました。
〈3〉促進計画には、次に掲げる事項について定めることとされました。
〈ア〉建築物再生可能エネルギー利用促進区域の位置及び区域
〈イ〉建築物再生可能エネルギー利用促進区域において建築物への設置を促進する再生可能エネルギー利用設備の種類に関する事項
〈ウ〉建築物再生可能エネルギー利用促進区域内において再生可能エネルギー利用設備を設置する建築物について建築基準法第52条第14項、第53条第5項、第55条第3項又は第58条第2項の規定(以下「特例対象規定」といいます。)の適用を受けるための要件に関する事項
〈4〉促進計画には、〈3〉の〈ア〉から〈ウ〉までに掲げる事項のほか、建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置に関する啓発及び知識の普及に関する事項その他建築物再生可能エネルギー利用促進区域内における建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進に関し必要な事項を定めるよう努めることとされました。
〈5〉市町村は、促進計画を作成するときは、あらかじめ、当該建築物再生可能エネルギー利用促進区域内の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとするほか、これに定めようとする〈3〉の〈ウ〉に掲げる事項について、当該建築物再生可能エネルギー利用促進区域内の建築物について特例対象規定による許可の権限を有する特定行政庁と協議をしなければならないこととされました。
〈6〉市町村は、促進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこととされました。
〈7〉促進計画を作成した市町村(以下「計画作成市町村」といいます。)は、建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置を促進するため、建築物再生可能エネルギー利用促進区域内の建築物の建築主等に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うよう努めることとされました。
〈8〉建築物再生可能エネルギー利用促進区域内においては、建築主は、その建築又は修繕等をしようとする建築物について、再生可能エネルギー利用設備を設置するよう努めなければならないこととされました。
〈9〉建築士は、建築物再生可能エネルギー利用促進区域内において、計画作成市町村の条例で定める用途に供する建築物の建築で当該条例で定める規模以上のものに係る設計を行うときは、説明を要しない旨の意思の表明があった場合を除き、当該設計の委託をした建築主に対し、当該設計に係る建築物に設置することができる再生可能エネルギー利用設備について、書面を交付して説明しなければならないこととされました。
〈10〉建築士は、〈9〉の規定による書面の交付に代えて、当該建築主の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとされました。
〈11〉促進計画が〈6〉等の規定により公表されたときは、当該公表の日以後は、建築物再生可能エネルギー利用促進区域内の建築物に対する特例対象規定の適用については、〈3〉の〈ウ〉に掲げる事項に適合する建築物を、特例対象規定による許可の対象とすることとされました。