所得税2022年04月08日 賃上げ促進税制が拡充されました! 所得税法等の一部を改正する法律 (令和4年3月31日法律4号)

概要
賃上げに係る税制措置を抜本的に強化するとともに、景気回復に万全を期す観点から、個人所得課税、法人課税等について所要の改正が行われました。
施行
令和4年4月1日(一部の規定を除く。)
個人所得課税
1)住宅ローン控除制度の見直し
〈1〉住宅ローン控除の適用期限が4年延長され、令和7年12月31日までの入居者が対象とされるとともに、カーボンニュートラルの実現の観点から、省エネ性能等の高い認定住宅等につき、新築住宅等・既存住宅ともに、借入限度額の上乗せが行われました。
〈2〉控除率が0.7%とされるとともに、所得要件が2,000万円とされました。〈3〉新築住宅等について控除期間が13年とされるほか、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り、40㎡以上の住宅が控除対象とされました。
資産課税
1)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し
格差の固定化防止等の観点を踏まえ、限度額が見直された上で、適用期限が令和5年12月31日まで2年延長されました。
2)登録免許税におけるキャッシュレス納付制度の創設
登録免許税をクレジットカード等により納付することを可能とする制度が創設されました。
法人課税
1)積極的な賃上げ等を促すための措置
ア)大企業等
〈1〉令和5年度末を期限として、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が3%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除を行うとともに、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が4%以上である場合には、税額控除率に10%を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が20%以上である場合には、税額控除率に5%を加算する措置が講じられました。
〈2〉一定規模以上の大企業に対しては、給与の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針等を公表していることが要件とされました。
イ)中小企業 雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が1.5%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除を行うとともに、税額控除の上乗せ措置として、雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が2.5%以上である場合には、税額控除率に15%を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が10%以上である場合には、税額控除率に10%を加算する措置が講じられました。
2)オープンイノベーション促進税制の拡充
出資の対象会社に、設立10年以上15年未満の売上高に占める研究開発費の割合が10%以上の赤字会社を追加する等の見直しが行われました。
3)5G導入促進税制の見直し
地方でのネットワーク整備を加速する等の観点から、対象設備の要件や税額控除率等の見直しが行われました。
消費課税
1)自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設
自動車重量税をクレジットカード等により納付することを可能とする制度が創設されました。
2)航空機燃料税の税率の見直し
航空機燃料税の税率の特例措置について、税率が見直された上で、適用期限が1年延長されました。
納税環境整備
1) 税理士制度の見直し
〈1〉税理士は、業務のICT化等を通じて納税義務者の利便の向上等を図るよう努めるものとする旨の規定が創設されました。
〈2〉若年層の税理士試験の受験を容易にし、多様な人材確保を図るため、受験資格要件の緩和が実施されました(令和5年4月1日から施行)。
2) 記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応
〈1〉記帳義務を適正に履行しない納税者への過少申告加算税等の加重措置が整備されました(令和6年1月1日から施行)。
〈2〉証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置が創設されました(令和5年1月1日から施行)。
3)財産債務調書制度の見直し
提出期限を後倒しするなど提出義務者の事務負担の軽減が図られるとともに、適正な課税を確保する観点から、改正前の提出義務者に加えて、特に高額な資産保有者については所得基準によらずに本調書の提出義務者とする措置が講じられました(令和5年1月1日から施行)。
新日本法規出版株式会社
(2022年4月)
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