企業法務2020年06月29日 事業者の不祥事を早期に是正し、被害の防止を図るために! 公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年6月12日法律51号)

概要
公益通報者及び通報対象事実の範囲の拡大並びに公益通報者の保護の強化、事業者に対して公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備等を義務付ける等の措置が講じられました。
施行
公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)
総則
〈1〉公益通報者の範囲に、労働者であった者、派遣労働者であった者及び役員(法人の取締役、執行役、
会計参与、監査役、理事、監事及び清算人等)が追加されました。
〈2〉通報対象事実の範囲に、公益通報者保護法及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、
環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律に
規定する過料の理由とされている事実が追加されました。
公益通報を理由とする解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等
〈1〉公益通報者の解雇を無効とする場合に、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料し、
かつ、氏名等を記載した書面を提出する場合が追加されました。
〈2〉公益通報者の解雇を無効とする場合に、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに
足りる相当の理由があり、かつ、財産に対する損害の発生又は恐れがある場合等が追加されました。
〈3〉役員である公益通報者が公益通報をしたことを理由として解任された場合には、解任によって生じた損害
の賠償を請求することができるものとされました。
〈4〉事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者に対して、賠償を請求すること
ができないものとされました。
事業者が取るべき措置
〈1〉事業者は、公益通報対応業務従事者を定めなければならないものとされました(常時使用する労働者の数
が300人以下の事業者については努力義務)。
〈2〉 事業者は、〈1〉に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報に応じ、適切に対応
するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならないものとされました(常時使用する
労働者の数が300人以下の事業者については努力義務)。
公益通報対応業務従事者の義務
公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならないものとされました。
行政機関がとるべき措置
通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関は、公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならないものとされました。
報告の徴収並びに助言、指導及び勧告・公表
〈1〉事業者が取るべき措置の規定の施行に際して、必要があると認めるときは、事業者に対して、報告を
求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされました。
〈2〉〈1〉の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、
その旨を公表することができるものとされました。
罰則
公益通報対応業務従事者の義務に違反した者は30万以下の罰金、事業者に対しての報告の求めに応じなかった又は虚偽の報告をした者には20万円以下の過料が処せられることとされました。
以上
新日本法規出版株式会社
(2020年6月)
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.