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教育2025年05月14日 児童虐待防止と保育現場の人材確保・体制強化! 児童福祉法等の一部を改正する法律 (令和7年4月25日法律29号)

概 要

 保育人材の確保等に関する体制の整備及び虐待を受けた児童等への対応の強化を図るため、保育士・保育所支援センターの法定化、国家戦略特別区域における関係する特例の一般制度化を行うほか、保育所等の職員による虐待に関する通報義務等の創設、一時保護委託の登録制度の創設及び児童虐待を行った疑いのある保護者に対する一時保護中の児童との面会制限等に関する規定の整備等、所要の改正が行われました。

施 行

 令和7年10月1日(一部の規定を除く。)

保育士・保育所支援センターの法定化

1) 都道府県は、次に掲げる業務を行う拠点としての機能(以下「保育士・保育所支援センター」といいます。)を担う体制を整備しなければならないものとされました。
〈1〉 保育に関する業務への関心を高めるための広報を行うこと
〈2〉 保育に関する業務に従事することを希望する保育士に対し、職業紹介、保育に関する最新の知識及び技能に関する研修の実施その他の保育に関する業務に円滑に従事することができるようにするための支援を行うこと
〈3〉 保育所の設置者に対し、保育士が就業を継続することができるような勤労環境を整備するために必要な助言その他の援助を行うこと
〈4〉 〈1〉から〈3〉までに掲げるもののほか、保育に関する業務に従事することを希望する保育士の就業及び保育所における保育士の就業の継続を促進するために必要な業務を行うこと
2) 保育士・保育所支援センター、国、地方公共団体等の連携・協力に関する努力義務規定が設けられました。

地域限定保育士の一般制度化

1) 国家戦略特別区域法に基づく特例措置である「地域限定保育士制度」を一般制度化し、特定の都道府県又は指定都市においてのみ保育士と同様に業務を行うことができる資格制度が児童福祉法上に創設されました。
2) 都道府県又は指定都市が地域限定保育士制度を活用しようとするときは、保育士の確保のための措置を講じてもなおその区域内において保育士が不足するおそれが特に大きいことを証する書類等を添付して、「試験実施方法書」により内閣総理大臣に申請することとされました。
3) 地域限定保育士の登録後3年を経過した者のうち、地域限定保育士として一定の勤務経験(1年間の勤務経験とすることを想定)がある者は、申請によって、全国で働くことのできる通常の保育士の登録が受けられるようになりました。

3~5歳のこどものみを対象とする小規模保育事業の創設

 全国において、3~5歳のこどものみを対象とする小規模保育事業の実施が可能とされました。

保育所等の職員による虐待に関する通報義務等の仕組みの設計

1) 保育所等の職員による虐待について、児童福祉法等が改正され、児童養護施設等の職員による虐待と同様、次の規定が設けられました。
〈1〉 虐待を受けたと思われる児童を発見した者の通報義務
〈2〉 都道府県等による事実確認や児童の安全な生活環境を確保するために必要な措置
〈3〉 都道府県等が行った措置に対する児童福祉審議会等による意見
〈4〉 都道府県による虐待の状況等の公表
〈5〉 国による調査研究 等
2) もっぱら保護者と離れた環境下において、児童に保育や居場所の提供等の支援を行う以下の施設・事業が、通報義務等の対象として追加されました。
【対象施設・事業】

保育所、幼保連携型認定こども園、幼稚園、特別支援学校幼稚部、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、認可外保育施設、一時預かり事業、病児保育事業、乳児等通園支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、意見表明等支援事業、妊産婦等生活援助事業、児童育成支援拠点事業、母子生活支援施設、児童館

一時保護委託の登録制度の創設について

1) 一時保護委託については、次の者に対してのみ行うことができることとされました。
〈1〉 一時保護を適正に行うことができる者として都道府県知事の登録を受けた者(以下「登録一時保護委託者」といいます。)
〈2〉法律の規定に基づき、児童の福祉に関する業務や事業を行い、若しくは施設を設置する者で一時保護を適正に行うことができる者(児童養護施設や里親等)
2) 上記の都道府県知事の登録については、一時保護委託先の質を担保するため、都道府県知事が条例で定める基準に適合しているときに登録できるものとするとともに、欠格要件を設けることとされました。併せて、登録一時保護委託者に対する報告徴収や基準への適合命令、登録の取消し等の監督規定等を整備することとされました。
3) ただし、児童相談所長等が自ら一時保護を行うことができず、登録一時保護委託者等に一時保護委託をすることができない場合で、直ちに一時保護を行うことが必要なときは、2週間以内に限り、一時保護委託を行わせることができるものとされ、併せて、これらの者に対して委託した児童の保護について必要な指示や報告を求める監督規定を設けることとされました。

一時保護中の児童の面会通信等制限

1) 児童虐待防止法12条において、一時保護中の児童に対して児童虐待が行われた疑いがある場合については、児童相談所長が児童の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認めるときに面会通信制限を行えるものとすると規定すること等により、保護者の同意なく面会通信制限が行うことができる場合を明確にし、適切な運用が図られることになりました。
2) また、一時保護中の児童に対して児童虐待が行われた疑いがある場合について、当該児童の保護者に対し児童の住所等を明らかにしたとすれば児童の保護に著しい支障をきたすと認めるときは、児童の住所等を明らかにしないものとされました。
3) さらに、児童への意見聴取等措置の対象に、児童虐待防止法12条に基づく面会等制限を行う場合や行わないこととする場合を加えることとされました。
以 上
新日本法規出版株式会社
(2025年5月)

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