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一般2020年07月16日 特別企画:SDGsに関する企業の意識調査 出典:帝国データバンク

企業の24.4%がSDGsに積極的
~力を入れて取り組む目標は『8.働きがいも経済成長も』がトップ~

はじめに
 SDGs(SustainableDevelopmentGoals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットにおいて、世界193カ国が産官学民などのステークホルダーとともに同意した「2030年アジェンダ」に掲載されている世界共通の目標である。採択から5年が経過しようとするなか、政府や行政機関のみならず民間企業の経営指針としても急速に注目を集めている。
 そこで、帝国データバンクは、SDGsに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年6月調査とともに行った。
※調査期間は2020年6月17日~30日、調査対象は全国2万3,681社で、有効回答企業数は1万1,275社(回答率47.6%)
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は8.0%となった。「意味もしくは重要性を理解し、取り組んでいる」(16.4%)と合わせて、企業の24.4%がSDGsに積極的だった。他方、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」(32.9%)が3割超となり、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」(14.8%)も含めると、半数近くがSDGsを知りつつも取り組んでいないという結果となった
2.SDGsの17目標のうち現在力を入れている項目は、目標8の「働きがいも経済成長も」が27.1%でトップとなった(複数回答)。次いで「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(15.9%)、「つくる責任つかう責任」(14.8%)が続いた。また、今後最も取り組みたい項目においても「働きがいも経済成長も」(14.8%)が最も高かった(単一回答)
3.SDGsの達成への貢献によって向上される企業価値では、「企業好感度」が53.3%(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)でトップだった。「社会的評価」も50.4%で半数超となり、SDGsによって社外からの見られ方に好影響があるとの意見が強い
4.SDGsの達成に向けて付加価値を生むために取り組みたいテーマでは、「顧客・人財確保」(33.8%)、「適正な労働時間・環境・内容」(30.0%)といったヒトに関連する項目が上位となった。また、原材料や生産工程への配慮といった環境面に関する項目も続いている
5.企業経営上大切にしていることを1位~3位まで尋ねたところ、「顧客・従業員満足度」が最も高く、「自社事業拡大」、「社会貢献」が続いた
1.SDGsに積極的な企業は24.4%、一方で半数近くは認知しつつも取り組んでいない
 自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は8.0%となった。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は16.4%で、合計するとSDGsに積極的な企業は24.4%で4社に1社という結果となった。また、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」(32.9%)が3割超となり、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」(14.8%)といった、SDGsの存在は認知しているものの取り組んでいない企業が半数近くにのぼった。
 SDGsに積極的な企業を規模別でみると「大企業」は34.9%で全体(24.4%)を10.5ポイント上回っている。しかし、「中小企業」は22.1%、「小規模企業」は19.0%となっており、大企業と比べて大きく下回っている。
 業界別では、『金融』が41.5%で4割を上回ってトップとなったものの、その他の8業界は2割台となっている。
 SDGsに取り組んでいる企業からは、「SDGsに取り上げられている項目は全て未来に私たち世代が引き継ぐべき目標。地球のためにという大目的で中小企業も含めて取り組むべきものだと感じる」(電力制御装置製造、千葉県)や「まずは男女平等で働きがいのある職場など、足元の環境づくりからはじめたい」(その他の卸売、福井県)といった前向きな声があがっている。一方で、SDGsに取り組んでいない企業からは、「SDGsは大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」(金属工作機械製造、岡山県)、「環境等を守るためには普通の設備よりも性能の高い機材の導入や材料のコストも高くなる。そうしたことは資金力のある大企業と同じようにはできない」(不動産代理・仲介、埼玉県)といった意見が、中小企業を中心に多くあげられていた。
2.SDGsの17目標のうち、「働きがいも経済成長も」が最も関心が高い
 SDGsで掲げられている17目標のうち、現在力を入れて取り組んでいる項目を尋ねたところ、目標の8つ目に掲げられている「働きがいも経済成長も」が27.1%で最も高かった(複数回答、以下同)。働き方改革など、既に注目されているテーマを含んでいることが一因とみられる。次いで、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(15.9%)、「つくる責任つかう責任」(14.8%)、「気候変動に具体的な対策を」(14.7%)などが続いた。企業活動に結びつきやすい項目では取り組む企業も多いが、一方で「貧困をなくそう」(5.5%)や「飢餓をゼロに」(3.1%)は低位にとどまった。
 また、今後最も取り組みたい項目について尋ねたところ、「働きがいも経済成長も」が14.8%でトップとなった(単一回答、以下同)。次いで、「パートナーシップで目標を達成しよう」(6.0%)、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(5.6%)が続いた。
 ただし、現在と今後のいずれにおいても「分からない」とする割合が高く、企業からは「具体的にどのあたりから目標として掲げるべきか分からない部分が多い」(コンクリート工事、長崎県)といった意見があげられている。
3.SDGsの達成への貢献による企業価値の向上、「企業好感度」と「社会的評価」が上位に
 SDGsの達成に貢献することによって、どのような企業価値の向上に役立つと思うか尋ねたところ、「企業好感度」に関して企業の53.3%が『そう思う』(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)と考えていた。さらに、「社会的評価」が50.4%で5割を上回るなど、SDGsに取り組むことで社外からの見られ方に好影響があるとする意見が強い結果となった。
 一方で、「世界ブランド」や「地域ブランド」では「どちらともいえない」「あまり思わない」とする割合が高い。また「株価等」に関しては、SDGsの達成で向上すると考えている企業は12.7%だった一方、企業の4割が「分からない」としている。
4.付加価値を生むために取り組むテーマ、ヒトに関連する内容と環境への配慮が目立つ
 SDGsの達成に向けて地域や国際社会に付加価値を生むテーマについて、インパクトの大きいと考えるものを尋ねたところ、異能な地域人財の活用など「顧客・人財確保」が33.8%でトップとなった(複数回答3つまで、以下同)。次いで地域ワーク・シェアリング(複業化)などを含む「適正な労働時間・環境・内容」(30.0%)が3割台で続き、ヒトに関連する項目が上位にあげられている。企業からは、「従業員の『働きやすさ』と『やりがい』が業績や社員の収入にきちんとリンクして経営させる」(広告制作、大阪府)や「地域雇用を創出し、生活・経済の活性化を図る」(回転電気機械製造、千葉県)などの声がみられる。
 SDGsに取り組んでいる企業からは、「SDGsに取り上げられている項目は全て未来に私たち世代が引き継ぐべき目標。地球のためにという大目的で中小企業も含めて取り組むべきものだと感じる」(電力制御装置製造、千葉県)や「まずは男女平等で働きがいのある職場など、足元の環境づくりからはじめたい」(その他の卸売、福井県)といった前向きな声があがっている。一方で、SDGsに取り組んでいない企業からは、「SDGsは大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」(金属工作機械製造、岡山県)、「環境等を守るためには普通の設備よりも性能の高い機材の導入や材料のコストも高くなる。そうしたことは資金力のある大企業と同じようにはできない」(不動産代理・仲介、埼玉県)といった意見が、中小企業を中心に多くあげられていた。
5.企業経営上最も大切にしていること、「顧客・従業員満足度」がトップ
 ビジネスの目的や企業理念など、企業経営上大切にしていることを1位から3位まで尋ねたところ、総合順位1では「顧客・従業員満足度」が総合ポイント3.32点となり、企業経営を行う上で最も大切にしている結果となった。「顧客・従業員満足度」は1位にあげた企業が45.6%、2位にあげた企業も32.1%でともに各順位で最も高い割合となり、3位も含めると企業の85.4%が企業経営上大切であるとしていた。また、「自社事業拡大」は総合ポイントが2.22点で2番目に高く、企業の約3割が1位と選択していた。「社会貢献」は総合ポイントが1.49点となっており、企業の27.6%が3位としてあげていた。
 企業からは、「小さな会社ということもあり、持続的な成長として顧客、従業員満足度を高めることを第一に考えている」(紙製品卸売、群馬県)や、「従業員満足度を上げることで、従業員が地域で貢献し、地球環境にも貢献できるように繋がっていければいい」(事業サービス、石川県)といった、「ヒト」への注力に関する意見があげられている。
まとめ
 SDGsは政府や自治体を中心に展開されていたが、近年は民間企業においても積極的に関与する機運が高まっている。また、SDGsの目標達成への貢献によって新たなビジネスチャンスへのつながりや企業の魅力向上、それにともなう新たな人材の獲得など、さまざまな効果も期待されている。さらに、新型コロナウイルスにともなう社会・経済活動や新しい生活様式において、SDGsは感染拡大防止対策や企業の持続可能性に対する考え方としても有効と考えられている。
 本調査では、SDGsに積極的である企業は24.4%となり、4社に1社という結果となった。一方で、SDGsという言葉を知りつつ取り組んでいない企業は半数近くにのぼった。「機械化による労働者の負担軽減や、お客さまの負担軽減とともにコストの低減に努めている」(不動産管理、兵庫県)や、「取り組みたいのはやまやまであるが、現状では全く余裕がない」(旅館、大阪府)などさまざまな意見がみられる。また、企業規模でも取り組みに差が表れていた。
 SDGsの17目標のうち、現在力を入れている項目と今後最も力を入れる項目では、それぞれで「働きがいも経済成長も」の割合が最も高い結果となった。既に取り組みが進められている「働き方改革」に関連した目標であることが一因になっていると考えられる。さらに、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」も割合が高い。これはSDGsの達成に向けて付加価値を生むインパクトの大きいテーマに関して尋ねた際にも同様の傾向がみられ、顧客・人財確保や適正な労働時間のようなヒトに関する項目や、原材料・生産工程への配慮といった環境面があげられている。
 また、企業からは「SDGsが認知されるようになってきたが、公共事業などのさまざまな事業や取り組みが、17目標に対してどのように貢献できるのかを明示してほしい」(土木工事、東京都)や「政府や県、市町村が取り組みを拡大していることは認識しているが、まだまだ周知度が薄いように感じる」(一般管工事、石川県)といった指摘もあった。今後SDGsに取り組む企業を増やすためには、SDGsと企業活動とのつながりを示すなど、企業が取り組みに前向きになるような働きかけやきっかけの提供が必要となろう。

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