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一般2020年08月14日 特別企画:新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年7月) 出典:帝国データバンク

7割近くの企業で既に業績にマイナスの影響
~外出自粛の影響が色濃い業種で売り上げ確保が厳しい状態続く~

はじめに
 2020年5月25日に緊急事態宣言、6月19日には県境を跨ぐ移動制限が解除され、日本の社会・経済は段階的に動き始めた。しかし、新規感染者数の最多更新など新型コロナウイルスの感染再拡大による経済活動の停滞が懸念されている。また、政府は、雇用の維持や事業継続、地域の活性化に資する需要喚起策など緊急経済対策を進めている。
 そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年7月調査とともに行った。
※調査期間は2020年7月16日~31日、調査対象は全国2万3,680社で、有効回答企業数は1万1,732社(回答率49.5%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で6回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は82.7%となり、3カ月連続で減少した。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」(68.4%)が前月から1.8ポイント増加し7割近くにのぼった。一方、「今後マイナスの影響がある」(14.3%)は3.6ポイント減少し2カ月連続で1割台となった
2.『マイナスの影響がある』を業界別にみると、『運輸・倉庫』が87.5%で最も高い。次いで、『製造』(85.7%)、『不動産』(85.0%)となった。業種別では、「旅館・ホテル」が97.0%で最も高く、5カ月連続で95%以上の企業がマイナスの影響を見込んでいた。以下、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(94.1%)が続く
3.『プラスの影響がある』は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が38.1%で最も高く、4割近くにのぼった。次いで、「飲食料品小売」(17.1%)、「家具類小売」(13.3%)が続いた
4.2020年7月の売り上げ見込み、前年同月比で平均85.4%となった。減少を見込む企業は約3社に2社となり、特に前年同月比で1~20%の減少とみる企業が3割超で集中した。他方、増加を見込む企業は1割程度となり、横ばいは17.4%であった
1.今後、業績へマイナスを見込む企業は2カ月連続で1割台に
 新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は82.7%となった。6月から1.8ポイント減となり、3カ月連続で減少した。
 内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が68.4%となり、既に7割近くの企業で業績へマイナスの影響を実感している。 また、「今後マイナスの影響がある」(14.3%)は2カ月連続で1割台となり、7月調査時点では、徐々に先行きに対する不安が薄らいでいる様子がうかがえた。他方、「影響はない」とする企業は10.2%だったほか、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は3.1%となり、毎月微増が続いている。
 『マイナスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『運輸・倉庫』が87.5%でトップ。以下、『製造』(85.7%)、『不動産』(85.0%)、『卸売』(84.5%)が続いた。『建設』においては、既にマイナスの影響を受けている企業が唯一5割台にとどまっており、「景気後退時には公共工事の下支えが期待でき、既に案件化されている業務の中止はないと考えられる」(職別工事、愛知県)といった声が聞かれた。しかし、今後マイナスの影響を見込む企業は24.7%と、他の業界に比べ先行きに対して厳しい見方をしている。
 さらに、業種別にみると、「旅館・ホテル」が97.0%で最も高く、次いで、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(94.1%)、「広告関連」(93.5%)、「出版・印刷」(93.3%)が続いた。
 企業からも「イベントの開催が困難。たとえ開催してもソーシャルディスタンスを守りながら収益を上げることは難しい」(広告代理、長野県)や「従業員1名の感染で業務のバックアップが厳しく、風評被害も懸念される。また、2名以上の感染で業務に支障が起き、事業の継続が困難」(旅館、宮城県)といった意見が聞かれた。
2.スーパーマーケットなどの「各種商品小売」では4割近くの企業で業績にプラスの影響
 『プラスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『小売』が9.1%で最も高く、そのうち6.4%は既に業績へプラスの影響が表れている。次いで、『金融』(3.9%)、『卸売』(3.7%)、『製造』(3.2%)が続く。
 さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が38.1%で最も高く、4割近くにのぼった。次いで、「飲食料品小売」(17.1%)、「家具類小売」(13.3%)、「飲食料品・飼料製造」(11.1%)、インターネット接続業などの「電気通信」(10.0%)が上位に並んだ。
 また、従業員数別にみると、従業員数が6人~50人および301人以上の企業で全体(3.1%)を上回った。
 企業からは、「現在は家庭菜園などが外出自粛の影響でプラスに働いている」(有機質肥料製造、岡山県)というように、外出自粛にともなう需要の拡大を実感する声があげられていた。加えて、「海外に工場を持つ客先が、サプライチェーン維持のため国内生産に切り替えており、その恩恵がある」(自動車部分品・付属品製造、大分県)や「売り上げは多少ダウンしたが、同時に患者数も減少し診療にゆとりが生じた。かねてからの課題であった密度の高い診療により、患者平均単価が上昇した」(一般病院、熊本県)など、国内回帰による需要増加や業務内容の改善により、図らずも好影響がもたらされたといった声もみられた。
3.7月の売り上げ、企業の3社に2社が前年同月比で減収を見込む
 2020年7月の売り上げ見込みおよび同年4月~6月各月の売り上げについて前年同月を100として尋ねた1ところ、7月の売り上げ見込みは、前年同月比で平均285.4%となった。減少を見込む企業は約3社に2社となり、特に前年同月比で80~99%(1~20%減)とみる企業が3割超で集中していた。
 また、前年同月比で50%を下回ると見込む企業は7.2%となった。他方、増加を見込む企業は1割程度となり、横ばいは17.4%であった。
 業種別に前年同月比からの増減を平均してみると、「電気・ガス・水道・熱供給」(100.0%)や「電気通信」(99.8%)、「家具類小売」(97.1%)、「医薬品・日用雑貨品小売」(95.3%)、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」(94.2%)を含む12業種で減少が1割未満となった。特に、社会インフラに関わる業種で売り上げの変化が小幅にとどまっている様子がうかがえる。
 他方、「旅館・ホテル」では、前年同月比で平均48.5%となり、売り上げが半分以下に落ち込むとみている。「娯楽サービス」や「飲食店」、「広告関連」でも、平均60%台と厳しい見込みとなっている。
 また、4月から6月における前年同月比の平均をみると、4月は86.7%、5月は82.1%、6月は87.1%となった。7月の見込みを含め直近4カ月間では緊急事態宣言下の5月が最も減収となった。6月で若干持ち直しがみられたものの、7月は再度減少に転じた。
 とりわけ、売り上げの減少幅が大きい「旅館・ホテル」と「娯楽サービス」、「飲食店」の3業種について4月から7月までの推移をみると、「旅館・ホテル」では4月、5月の売り上げは前年同月比で50%を下回るとする企業が8割を超えていた。特に、5月では売り上げが前年の10%未満となる企業が48.5%、うち売り上げがゼロの企業が21.2%で5社に1社となっていた。他の業種と比べ「旅館・ホテル」の極めて厳しい実態が表れている。また、「娯楽サービス」「飲食店」でも、4月、5月の売り上げは50%を下回った企業が半数を超えていた。7月はともに企業の2割程度へと低下したが、外出自粛の影響を最も大きく受けた業種では長期にわたり売り上げ確保の難しい状態が続いている。

1各月前年同月比を100として、「200以上」「190~199」「180~189」「170~179」「160~169」「150~159」「140~149」「130~139」「120~129」「110~119」「101~109」「100(横ばい)」「90~99」「80~89」「70~79」「60~69」「50~59」「40~49」「30~39」「20~29」「10~19」「1~9」「0」と「分からない」の24選択肢で調査
2平均は、各選択肢の中央値に選択肢の回答社数を乗じて、加算したものから全回答社数で除したもの(ただし、「分からない」は除く)で算出
まとめ
 本調査の結果、企業の8割超で新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込んでいたものの、4月調査をピークに3カ月連続で減少となり、徐々に先行きに対する不安が薄らいでいる様子もうかがえた。しかしながら、「テレワークやWeb会議の活用に努めてきたが、緊急事態宣言の解除以降、緩みつつある。再度徹底したいが立て直すのは難しい」(内燃機関電装品製造、北海道)というように、緊急事態宣言解除後の行動の変化を指摘する声も聞こえている。
 一方で、プラスの影響を見込む企業は緩やかであるが増加している。在宅時間の増加にともなう需要の拡大以外にも、生産の国内回帰による需要増加や業務内容の改善による好影響がもたらされていた。
 7月の売り上げでは、約3社に1社が前年同月比で1~20%の減少を見込んでいる。とりわけ、「旅館・ホテル」など外出自粛の影響を最も大きく受けた業種では非常に厳しい様子が明らかとなった。「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「飲食店」のほか、4月、5月においては「繊維・繊維製品・服飾品小売」と「広告関連」が、6月は「広告関連」と「輸送用機械・器具製造」が深刻な影響を受けていた。他方、社会インフラに関わる業種においては、比較的売り上げへの影響は小さくなっていた。
 2020年5月25日に緊急事態宣言が解除された以降、移動やイベント開催に関する規制などが徐々に緩和され、日本の社会・経済は再び動き出した。しかしながら、国内の新規感染者数が最多を更新したほか、一部の都道府県で再び外出自粛要請を行うなど不安や混乱が広がっている。
 政府や自治体は、経済再生と感染拡大防止の両立について、丁寧かつ具体的な説明とともに、速やかに施策を実行することが重要となろう。

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