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経営・総務2020年08月12日 特別企画:国内タクシー業者3327社の経営実態調査(2019年) 出典:帝国データバンク

インバウンド需要継続も年収入高合計は微減
~増収企業比率トップは京都府~

はじめに
 2020年2月から25都道府県、48地域で良質なタクシーサービスを維持する、タクシー運転者の労働条件を改善することを目的にタクシー料金が変更された。タクシー業界は初乗り運賃の定額化やスマホアプリを活用した配車サービスの施策により利用者拡大を図っているが、乗務員不足、高齢化、無許可タクシーの増加など業界として抱える課題は依然として多い。また、2020年は新型コロナウイルスの影響により従業員を解雇する企業があらわれるなど業界にとって厳しい年となっている。
 帝国データバンクは、2020年7月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)の中から、2019年(2019年1月期~12月期)決算の年収入高が判明した国内タクシー業者3327社(法人・個人事業主)を抽出し、年収入高合計・年収入高推移、地域別、業歴別、従業員規模別について分析した。
 同様の調査は2017年4月24日に続き3回目。
調査結果(要旨)
1.国内タクシー業者3327社のうち、2017年および2018年、2019年の3期連続で年収入高が判明した3225社を対象に年収入高合計を比較すると、2019年は1兆1634億1600万円となり、前年比8979万円(0.8%減)の微減となった
2.3098社の動向をみると、2019年は「増収」企業が435社(構成比14.0%)で、「減収」企業が806社(同26.0%)となり、「横ばい」企業が1857社(同59.9%)と全体の半数以上を占めた
3.2018年および2019年の年収入高の業績比較が可能な3242社を都道府県別でみると、増収企業の割合が最も高かったのは「京都府」(16社、構成比40.0%)となった
4.業歴別では、「50~100年未満」(2332社、構成比70.1%)が最多
5.従業員数別では、「10~100人未満」が1987社(構成比61.6%)と最も多く、従業員数が100人未満の中小企業が全体の約8割を占めた
1.年収入高状況―2019年の年収入高、前年比微減―
 国内タクシー業者3327社のうち、2017年および2018年、2019年の3期連続で年収入高が判明した3225社を対象に各年の年収入高合計をみると、2019年は1兆1634億1600万円となり、前年比8979万円(0.8%減)の微減となった。
 3225社のうち、年商増減が比較可能な3098社の業績動向をみると、2019年は「増収」企業が435社(構成比14.0%)で、「減収」企業が806社(同26.0%)となった。「横ばい」企業は1857社(同59.9%)と全体の半数以上を占めた。加えて、2018年、2019年「2期連続増収」企業は152社(構成比4.9%)となる一方、「2期連続減収」企業は313社(同10.1%)となった。
2.地域別―観光客数が多い京都で需要高まる―
 国内タクシー業者3327社のうち本店所在地を都道府県別でみると、「東京都」が308社(構成比9.3%)で最多となった。次いで「北海道」(195社、同5.9%)、「福岡県」(182社、同5.5%)となった。
 3327社のうち、2018年および2019年の年収入高の業績比較が可能な3242社を都道府県別でみると、増収企業の割合が最も高かったのは「京都府」(16社、構成比40.0%)となった。外国人を含めた京都市内の観光客が多く、春・秋シーズンの修学旅行などの団体客需要も旺盛だった。同業他社との競合が激化するなか、大型車の導入増加や英会話など従業員のサービス強化で差別化を図った企業もみられた。3位の「東京都」(78社、同28.0%)は、都内への観光客の増加に加え、2017年に初乗り運賃が410円に引き下げられたことにより、高齢者を中心に近場へ移動するいわゆる「ちょい乗り」需要があり、回転率を向上させる動きがみられた。

 一方、減収企業の割合が高かったのは「長崎県」(25社、構成比39.7%)となった。訪日外国人観光客の来日ルートが福岡県など他県からのルートが本格化し、需要が伸び悩んだことに加え、人口減少、高齢化などで病院や社会福祉法人による送迎サービスの普及で、タクシー利用が落ち込んだ。
3.業歴別―業歴30年以上が82.7%―
 国内タクシー業者3327社のうち、業歴が判明した3326社をみると、「50~100年未満」(2332社、構成比70.1%)が最多となり、次いで「10~30年未満」が405社(同12.2%)となった。全体でみると、業歴30年以上が82.7%を占めた。
 業歴が判明している3326社のうち、2018年および2019年の年収入高が判明した3241社をみると、増収企業の割合が多かったのは「10年未満」(51社、構成比32.7%)となった。一方で、減収企業は「50~100年未満」(642社、同28.2%)がトップとなった。
4.従業員数別―100人未満が約8割占める―
 従業員数が判明した国内タクシー業者3227社を従業員数別にみると、「10~100人未満」が1987社(構成比61.6%)と最も多く、次いで「100~1000人未満」が689社(同21.4%)となった。従業員数100人未満が全体の約8割を占めている。保有車両の台数、従業員数ともに変化がみられない業者が多い一方、依然として乗務員不足、乗務員の高齢化は業界としての課題となっている。差別化のため訪日外国人向けに英会話ができる社員の採用や、教育制度など人材に投資する企業のほか、電子マネー決済を導入する企業がみられるなど、大手と中小・零細企業との間で、格差の広がりもみられた。
5.今後の見通し
 2019年は訪日外国人数の増加や、初乗り運賃の改定、乗務員の英会話といったサービスの質向上を図り、新たな需要獲得に努めたが、乗務員不足に伴う稼働率の低下などにより年収入高合計は前年比微減となった。
 2020年上半期は新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛要請などでタクシーの利用客が減ったことに加え、訪日外国人の減少によりインバウンド需要の取り込みが出来なかった。緊急事態宣言の解除、GoToトラベルキャンペーンの利用など人々の外出の動きが段階的に見られるが、都内の乗務員からは「長時間、車を走らせて顧客を獲得するいわゆる“流し”を行っているが、需要と供給のバランスが取れず、供給過多となっている」と話す。
 タクシー・バス運行業者の新型コロナウイルス関連倒産は7月30日時点で8件発生している。感染拡大による再び外出の自粛要請がでることになれば今後、業績に大きな打撃を与えてしまうことになる。
 生き残りのため、一部企業では飲食物の宅配サービスに着手するなど差別化を図っている企業もみられるが、業界全体として先行きは厳しい状況が続くだろう。

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