一般2012年04月02日 固定観念を打破し、異質を結びあわす閃きと気概 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:加藤洪太郎
(社)日中法務交流・協力日本機構では、この2月、あらたに無錫の中国弁護士と協力協定を結びました。その調印式のため、無錫を訪問したのですが、あわせて、観光も。
というわけで、名物となっている大仏様に拝顔すべく無錫郊外を訪れました。行くとそこは山あり平野ありで、見晴らす広大な山野一帯に参道から広場そして巨大な幾つかの大きな礼拝施設が点在し、正面奥の山頂に大仏の立像がたっている。その足下に寄るには南京の中山陵を想わせる大規模な階段を昇る。そのトップに立つ大仏様は足元から頭までで何と88メートルとか。
聴けば、まだ僅か10数年前のこと。山野ばかりの村、その村おこしを発起し、アレコレのアイデアを練りに練った結果、この一大仏教テーマパークの開発となったとのこと。
☆ ところで、何で仏教?
彼の国では「宗教は何とか・・・」ではなかったのか?それが何故に推奨?
見ている内に気づく。ここは観光施設なのだ。大仏様は信仰の対象ではなく、大きさを誇るめずらしき文物なのだ。仏教さえもアミューズメントの種にしてしまう、その着想の大胆さに先ずは感心してしまいました。
そこで、「まてよ、日本でも神社仏閣に信仰心で訪れる人と、観光で訪れる人とどっちが多いかな?」「実は・・・・・」。
☆ どこが違うか?
日本の寺社は奈良・平安・鎌倉そしてくだって江戸期から。
無錫のは、このテーマパークを現代の今、開発。
そうだ、今、これを新造するところが違う点だと気づく。
☆ これはバチカン大聖堂のドーム?
一つの建物に入る。見上げれば壮大な高さの丸天井ドーム。まるでバチカン大聖堂である。で、列柱に飾られた彫刻はさぞや聖人や天使たちか?・・・・・・・と頭をめぐらせて注視すると、さに非ず。それは天女であったり仁王であったりなのだ。
ヨーロッパの巨大な大聖堂のドームを見て感動した中国の設計士たちが、これを現代に創ってみたいと意欲を燃やしたその心がひしひしと伝わってくる。宗教的関心によるのではないので、そこにキリスト像や聖人の彫像がつきものなどとは全然思わない。そういう先入観や固定観念などさらさらないのだ。
テーマは「仏教」。大聖堂に仁王像や天女の彫刻をしつらえればそれでよいのだ。それが破天荒に見えてしまうのは、固定観念のなせるものに過ぎなかったのだ。
☆ ここに現代中国の質を垣間見る想いがしました。
未来を拓くことのできる社会は、固定観念を打破し、異質を結びあわす閃きと気概ある者をも、今、大胆に起用する。
以て学ぶべし。
(2012年3月執筆)
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