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経営・総務2020年11月16日 特別企画:「日産自動車」グループの全国下請企業実態調査 出典:帝国データバンク

日産自動車グループ下請先は全国に1万6458社
~このうち、過半数が直近決算で「減収」~

はじめに
 コロナ禍の影響もあり、日産自動車の業績悪化が続いている。7月28日発表の2021年3月期第1四半期の連結業績を見ると、売上高(累計)は前年同期比50.5%減の1兆1741億円、四半期純損失は2855億円と厳しい決算内容となっており、日産グループと取引関係のある下請企業にも今後、一定の影響が及ぶ可能性がある。
 帝国データバンク横浜支店は、企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)の中から、日産自動車グループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請先、二次下請先)を抽出し、社数・従業員数(非正規社員を除く)合計、都道府県別、業種別、年商規模別等に集計した。
◇調査対象は、日産自動車のほか、同社の2019年度・有価証券報告書に記載がある連結子会社で、自動車および自動車部品の製造・開発に関わる子会社7社(日産車体、日産自動車九州、愛知機械工業、ジヤトコ、日産工機、日産トレーデイング、オーテックジャパン)の計8社とした
◇抽出条件は、製造業、卸売業、サービス業の3業種<食品など日産自動車グループの本業と関連の薄い業態は除く>で、資本金3億円以下の企業(個人含む)を「下請先」とした
◇日産自動車グループの複数社と取引関係がある企業については「1社」としてカウントした
◇取引の有無、売上高、所在地は最新のものとしたが、変動している可能性もある
調査結果(要旨)
1.日産自動車グループの「一次下請先」は1870社、さらに一次下請先と取引を行う「二次下請先」は1万4588社。直接、間接に取引がある下請企業の合計は全国で1万6458社。一次下請先、二次下請先の総従業員数(非正規社員を除く)は91万8695人
2.都道府県別に見ると、「東京都」が3864社(構成比23.5%)でトップ。以下、「大阪府」1765社(同10.7%)、「愛知県」1704社(同10.4%)、「神奈川県」1604社(同9.7%)が続いた
3.業種別に見ると、一次下請先は「自動車部品・付属品製造業」「電気機械器具卸売業」が各75社(構成比4.0%)。二次下請先は「受託開発ソフトウェア業」が631社(同4.3%)でトップ
4.年商規模別に見ると、一次下請先、二次下請先ともに「1億~10億円未満」が最も多く、合計で8706社となり、構成比52.9%と過半数を占める
5.直近決算における売上増減が判明した1万3533社の売上推移は、「減収」が7438社(55.0%)
1.概況
 日産自動車グループの「一次下請先」は1870社、さらに一次下請先と取引を行う「二次下請先」は1万4588社を数えた。この結果、直接、間接に取引がある下請企業の合計は全国で1万6458社にのぼった。これら一次下請先、二次下請先の総従業員数(非正規社員を除く)は計91万8695人に達した。一次、二次下請先の合計を都道府県別に見ると、「東京都」が3864社(構成比23.5%)でトップ。以下、「大阪府」1765社(同10.7%)、「愛知県」1704社(同10.4%)が続いた。本社のほか、横浜工場(横浜市)や追浜工場(横須賀市)がある「神奈川県」は1604社(同9.7%)で4位となった。
 このほか、子会社のジヤトコ(株)富士事業所がある「静岡県」が918社(構成比5.6%、5位)、同じく子会社の日産自動車九州(株)がある「福岡県」が446社(同2.7%、8位)、栃木工場(栃木県上三川町)がある「栃木県」が298社(同1.8%、13位)となった。
2.業種別
 業種別に見ると、一次下請先では「自動車部品・付属品製造業」と「電気機械器具卸売業」が各75社(構成比4.0%)で最も多い。以下、「受託開発ソフトウェア業」(74社、同4.0%)、「労働者派遣業」(64社、同3.4%)の順となった。
 二次下請先では、「受託開発ソフトウェア業」が631社(構成比4.3%)でトップ。以下、「電気機械器具卸売業」(540社、同3.7%)、「一般機械器具卸売業」(419社、同2.9%)、「機械工具卸売業」(400社、同2.7%)などが上位に名を連ねた。
3.年商規模別
 年商規模別に見ると、一次下請先、二次下請先ともに「1億~10億円未満」が最も多く、合計で8706社となり、構成比52.9%と過半数を占めた。以下、「10億~100億円未満」(4646社、構成比28.2%)、「1億円未満」(2244社、同13.6%)の順となった。
4.直近決算の売上推移
 日産自動車グループと直接、間接に取引がある下請企業1万6458社のうち、直近決算における売上増減が判明した1万3533社について売上推移を見ると、「減収」が7438社(構成比55.0%)を数え、過半数を占めることが分かった。他方、「増収」は6095社(同45.0%)を数えた。
5.今後の見通し
 日産自動車を取り巻く経営環境は厳しさを増している。7月28日には今期業績予想を発表し、新型コロナウイルス感染拡大の影響ですべての市場で全体需要が前年を下回ることを受け、連結売上高は7兆8000億円に落ち込むと予想している(前期実績は9兆8788億円)。
 日産自動車グループの業績悪化が続けば、今回の調査で明らかとなった1万6400社を超える下請先を含む、国内サプライチェーンへの影響は不可避となる。とくに、本社や複数の工場を抱える神奈川県を含め、主な生産拠点のある県の下請企業を中心に、一定の影響を受ける企業も出てくるだろう。なかでも、日産グループへの取引依存度が高い中小企業にとっては、業績面に大きな打撃を受ける事態になりかねず、中長期的に影響を注視していく必要がある。

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