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一般2020年10月30日 特別企画:上場企業のコミットメントライン契約動向調査(2020年1月~9月) 出典:帝国データバンク

コミットメントライン契約締結165社
~新型コロナ背景に件数4.7倍、契約額9.5倍に~

はじめに
 コロナ禍を背景に、上場企業の資金調達に関連した情報開示が増えている。上場企業では、現時点において新型コロナによる重大な影響を受けていなくても、今後の業績見通しの判断が難しい状況に置かれ、手元資金を厚めに確保しようとする動きが多くなっているようだ。資金調達の手段は様々だが、近頃上場企業の適時開示情報でよく目につくのが「コミットメントライン契約」の締結。同契約の特徴は、企業が金融機関と契約を結び「あらかじめ設定された期間」かつ「融資枠内」であれば審査なしで融資を受けられる約束(コミット)をする契約で、金利とは別に手数料がかかるものの、必要に応じたスムーズな資金調達が可能になるとともに、金融機関と当該企業の関係性を判断するひとつの指標となる。
 帝国データバンクでは2020年1月1日から9月30日までの適時開示情報から、コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業を集計した。
 同様の調査は2020年8月26日に続き今回が2回目。
※コミットメントライン…一定期間において貸出極度を設定し、その範囲内であれば何度でも資金の借入・返済ができる融資形態
調査結果(要旨)
1.コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業は、2020年1月1日から9月30日までに累計165社あることが判明。前年同期(35社)比4.7倍と急増している。また、165社のうち新型コロナの影響への備えが理由であると公表しているのは103社。公表月別に社数をみると、5月が最多。
2.165社のコミットメントライン契約の総額は3兆1464億円で前年同期(3312億円)比9.5倍となった。新型コロナへの影響に備えるとした103社の契約金額は1兆6400億円
3.業種別に社数をみると、「サービス業」が43社(構成比26.1%)で最多。次いで「その他」38社(同23.0%)となった。契約金額は「製造業」(1兆4008億円)が最大となり、次いで「その他」(6666億円)となった
1.契約件数
 2020年1月1日~9月30日にコミットメントライン契約の締結を発表した上場企業は165社となり、前年同期(35社)比で4.7倍に急増している。
 また、165社のうち、新型コロナによる事業環境の変化や、不測の事態に備えるための財務基盤の安定化が契約の主たる目的であるとした会社は103社確認され、全体の約62.4%を占めた。
2.月別
 公表月別に社数をみると、「5月」が48社で最多。次いで「6月」39社、「4月」19社と続いた。
 5月、6月はコロナに関する表記も急増した。
3.契約金額
 165社の契約金額の合計は3兆1464億円となり、前年同期(3312億円)比で9.5倍となった。
 また、3兆1464億円のうち、新型コロナへの備えを理由とした103社の契約金額は1兆6400億円となり、全体の約52.1%を占めた。
4.業種別
 業種別に社数をみると、「サービス業」が43社(構成比26.1%)で最多となり、以下、「その他」38社(同23.0%、うち37社が持ち株会社)、「製造業」(34社、同20.6%)、「卸売業」(19社、同11.5%)、「小売業」(18社、同10.9%)、と続いた。
 契約金額では「製造業」(1兆4008億円)が最多となり、「その他」(6666億円)、「サービス業」(4290億円)、「運輸・通信業」(3083億円)と続いた。
まとめ
 2020年は新型コロナに伴う資金確保の動きが高まったことで、3月以降、上場企業のコミットメントライン契約社数、契約金額がともに急増した。公表された資料の中で新型コロナに言及する会社が全体の6割以上あり、前回調査時と同様、新型コロナに起因する経済の不確実性が高まっている情勢に鑑み、手元の資金を確保しようとする動きが目立つ。
 業種別でみると、社数ではサービス業が最多となった。一方、契約金額では「製造業」が最大となった。「サービス業」は観光関連事業やレジャー・娯楽業、ブライダル業などBtoCの企業が数多く、外出自粛要請や緊急事態宣言によって消費者の動きが止まった影響を大きく受けた。「製造業」はもともと工場など製造拠点に巨額の投資を行ってきたうえ、同設備の維持費やそこで働く多数の従業員の給与などが重荷となるケースが増えた。
 今後も事業環境の変化、影響が一定程度長期化するリスクがあり、見通しは不透明である。コロナ禍の長期化に備え、コミットメントライン契約をはじめとした機動的かつ安定的な資金調達手段を確保する動きは今後も続くとみられる。

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