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一般2021年01月22日 特別企画:全国企業「休廃業・解散」動向調査(2020年) 出典:帝国データバンク

企業の休廃業・解散、全国5万6千件2年ぶり減少、抑制傾向で推移
~“黒字”での休廃業・解散、過去最高の6割に迫る21年は先行き難の企業中心に急増も懸念~

はじめに
 2020年の日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により、幅広い業界・企業がかつてない打撃を受けた。帝国データバンクの調査では、景気が悪化したと捉えた企業の割合が東日本大震災発生直後の2012年以来8年ぶりに5割超の水準に達するなど、多くの企業にとって厳しい1年だったと言える。
 他方で、日本経済が急激に収縮するなかでも、2020年の企業倒産はコロナ禍以前を大きく下回る7800件台となり、記録的な低水準で推移した。これまで景況感に概ね連動してきた企業の休廃業・解散件数も、当初は急激な景気悪化に耐え切れず市場退出を強いられる企業が急増するとみられたものの、官民一体の手厚い経済支援が奏功してその発生が大きく抑制されたとみられる。
■ 帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計
■ 「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(但し「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称
■ 調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する事もある
2020年より一部集計対象・基準を変更し、16年までの推移について遡り集計した
調査結果(要旨)
1.2020年に全国で休業や廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は5万6103件(前年比5.3%減)を数えた。2016年以降、休廃業・解散件数は倒産件数(法的整理)の約7倍の水準で推移し、2019年は6万件に迫ったものの、2020年は一転して2年ぶりの減少となった
2.代表者年齢別では、2020年は72歳での休廃業・解散が最も多く、全体の5.4%を占めた。業歴別では、最も割合が高いのは「10年以下」の31.1%となった
3.都道府県別では、38都道府県で前年を下回った。最も多いのは「東京都」の1万2106件で、全国で唯一1万件を超えた
4.業種別では「建設業」(7037件)が最も多く、「サービス業」(6735件)、「卸売業」(3674件)が続いた。その他を除く7業種中6業種では前年から減少したが、「運輸・通信業」(664件)は唯一前年から1割超増加したほか、2016年以降で最多となった
1.2020年の動向~休廃業・解散は全国で約5万6千件、2年ぶりに減少~
 2020年に全国で休業や廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は5万6103件(前年比5.3%減)を数えた。2016年以降、休廃業・解散件数は倒産件数(法的整理)の約7倍の水準で推移し、2019年は6万件に迫ったものの、2020年は一転して2年ぶりの減少となった。倒産件数比では7.2倍となり、前年から拡大した。
 休廃業・解散率では2020年は3.83%にとどまり、2016年以降で最も低かった。休廃業・解散により消失した雇用は延べ8万7366人(正規雇用)となり、前年から減少。売上高は2兆5499億円に達し、前年から減少となったものの、減少率は過去5年で最も小さかった。
 2020年は新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の発出などで国内外の経済活動が急激に収縮した。特に飲食店や宿泊業などサービス業では経営環境が極度に悪化したため、当初はこうした事業者を中心に廃業などの淘汰が加速度的に進むと考えられた。しかし、持続化給付金事業やGoTo事業といった政府による経済対策、特例融資や弁済リスケジュールの柔軟な運用など金融機関による手厚い支援が中小企業の経営を強力に下支えした。そのため、企業の景況感がリーマン・ショック発生時(2008-09年)並みの記録的な低水準にまで急落するなど経営環境が大幅に悪化していたにも関わらず、事業を自主的に畳む企業の休廃業・解散については倒産と同様、例年に比べてその発生が大きく抑制された
 ただ、休廃業・解散した企業の業績をみると2020年は全体の57.1%で当期純利益が黒字だった。前年を1.7ポイント上回ったほか、これまで最も高かった2018年(56.0%)をも上回って推移しており、黒字での休廃業・解散の割合が過去最高を更新した。新型コロナにより先行きが見えないなか、赤字などで経営体力に乏しい企業ではなく、財務内容やキャッシュに余裕のある企業から自主的な廃業や解散を選択している可能性がある。
2.代表者年齢別~ピーク年齢、過去最高の72歳休廃業・解散企業の「代表者高齢化」進む~
 代表者年齢別では、2020年は72歳での休廃業・解散が最も多く、全体の5.4%を占めた。平均年齢は69.5歳となり70歳に迫るほか、集計開始以降で過去最高を更新した。休廃業・解散を行った代表者のピーク年齢は、10年前の2010年では63歳が最も割合が高かったものの、2017年には初めて70歳台に到達。休廃業・解散を行うピーク年代も「60代」から「70代」へ移行しているほか、「70代」「80代以上」は2016年以降一貫して割合が高まるなど、休廃業・解散企業における経営者の高齢化が進んでいる。
3.業歴別~創業間もない「10年以下」の割合、過去最高の31.1%を占める~
 業歴別では、最も割合が高いのは「10年以下」の31.1%となった。業歴10年以下では、創業から間もなく経営が不安定になりやすくなるが、2018年には全体の28.6%まで低下するなど、総じて減少傾向にあった。しかし、2019年以降は再び増加傾向に転換、2020年は前年を0.6ポイント上回って推移したほか、過去5年間で最も高かった2016年(30.6%)を上回り過去最高となった。以下、「11~20年」(15.7%)、「21~30年」(14.6%)と続いた。
4.都道府県別~多くで前年を下回るも、岩手や徳島など8県で前年比増加~
 都道府県別では、38都道府県で前年を下回った。最も多いのは「東京都」の1万2106件で、全国で唯一1万件を超えた。次いで「大阪府」(3649件)、「愛知県」(3453件)、「神奈川県」(3315件)が続き、全国で1000件を超えたのは合わせて14都道府県に上る。最も少ないのは「鳥取県」(224件)だった。
 一方、「岩手県」や「徳島県」、「沖縄県」など8県では前年を上回って推移した。なかでも徳島県(258件)は前年を9.3%上回り、前年からの増加率は全都道府県で最大。沖縄県(461件)も前年から8.2%増加し、徳島県に次いで2番目に増加率が高い。総じて、中国以西の西日本地域で前年から増加した県が多い。
 発生率を表す「休廃業・解散率」では、最も高いのが「東京都」の5.98%で、全国で唯一5%台となった。以下、「神奈川県」「愛知県」(4.60%)と続き、「岐阜県」(4.10%)は政令指定都市を有しない県としては最も高い。最も低いのは「佐賀県」の2.48%だった。休廃業・解散率が前年から最も増加したのは「徳島県」で、前年から0.23pt増加。「沖縄県」「長野県」(+0.19pt)、「岩手県」(+0.17pt)が続く。最も減少したのは「静岡県」で、前年から0.82pt減少した。
5.業種別~6業種で前年から件数減少も、BtoC業種は休廃業・解散率で上位~
 業種別では「建設業」(7037件)が最も多く、「サービス業」(6735件)、「卸売業」(3674件)が続いた。その他を除く7業種中6業種では前年から減少したが、「運輸・通信業」(664件)は唯一前年から1割超増加したほか、2016年以降で最多となった。発生率を表す休廃業・解散率では、最も高いのは「小売業」で2.48%となり、次いで高い「卸売業」(2.11%)を0.37pt上回った。全業種で最も低いのは「運輸・通信業」で1.37%だった。
 業種を詳細にみると(業種細分類)、件数で最も多いのはNPOなど「非営利団体」の1254件だった。以下、「木造建築工事業」(1194件)、「土木工事業」(672件)、「不動産代理業・仲介業」(576件)となり、上位は総じて建築・不動産系の業種が多くを占めた。
 休廃業・解散率では、最も高いのが新聞配達などを手掛ける「新聞小売業」で5.24%だった。前年から0.80pt増加し、上位15業種の中では唯一5%を超えた。以下、「バー、キャバクラ」(4.87%)、技術開発型のスタートアップなどを含む「技術提供業」(4.62%)、「かばん・袋物小売業」(4.37%)、「米穀類小売業」(4.25%)などが上位となった。総じてBtoC業種となる小売業やサービス業で、休廃業・解散率が高い傾向に変化はなかった。
6.今後の見通し~感染拡大が「最後の一押し」となる休廃業・解散件数の急増懸念~
 2020年の休廃業・解散件数は2年ぶりの減少となる5万6千件となった。企業の休廃業・解散動向はもともと、経営者の高齢化や後継者問題、消費税率の引き上げなどによる経営環境の厳しさにより、2019年には前年から一転して増加に転じるなど潮目の変化もみられていた。2020年はコロナ禍により、特にサービス業を中心に企業経営に大打撃があった一方で、緊急の資金繰り支援策として交付型の補助金や助成金の支給がされたことで、店舗閉鎖や人員削減、売上減少を余儀なくされる中でも事業の延命が図れた企業が多かった。また、昨年5月に緊急事態宣言が解除されて以降は景況感の回復に明るい材料が出てきたこともあって、事業の継続・再開に前向きになれる環境が一時的でも整ったことが要因として大きい。
 ただ、政府は持続化給付金や家賃支援給付金など、新型コロナにより打撃を受けた中小企業への交付型支援について2月まで申請期限を延長するものの、今後の支援の多くは主に金融機関等による無利子・無担保融資や返済リスケジュールなどに順次委ねられることとなる。一方で、早ければ2020年内にも交付型支援による効果が薄まる企業も出始めているなか、首都圏などで再度の緊急事態宣言の発出をはじめ、新型コロナの感染再拡大などで厳しい経営環境に終わりの見えない状態が続いている。こうしたなか、2020年は黒字でありながら休廃業・解散した企業の割合が過去最高となるなど、財務内容が比較的健全で機動的に決断可能な企業から、事業整理や市場退出を選択する動きも強まってきている。
 帝国データバンクの調査では、新型コロナにより既に約8割の企業で業績に悪影響が及んでいるほか、新型コロナの影響による経営破綻も判明分だけで1000件に迫っている。こうしたなか、これ以上の経営改善が見込めないとして、新型コロナの感染再拡大、緊急事態宣言の再発出などが「最後の一押し」となって事業継続を断念するケースが年末年始以降、各地で相次ぎ発生し始めている。コロナ禍による経済への影響が長期化することが見込まれるなか、21年は業績改善の見通しが立たない企業を中心に休廃業・解散を選択せざるを得ないケースが増加するとみられる。

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