相続・遺言2024年04月10日 相続問題に効く100の処方箋 発刊によせて執筆者より 執筆者:中村規代実、井﨑淳二、横山宗祐
この度、新日本法規出版株式会社より、『非典型財産の相続実務ー金融商品、デジタル財産、知的財産、地位・権利、特殊な不動産・動産等ー』という本を出版させていただくこととなりました。今回の表題に応える形で、帯にて「相続問題に効く100の処方箋」と謳わせていただいております。編者ながら、大きく出たな と、ドキドキしております。
内容としては、近時の相続において出くわすことが増えたデジタル財産等を相続した場合、相談・事件を受任した実務家として、どのような対応を行うことが好ましいか、相続手続をスムースに進められるよう、調査・評価・換価のポイントを端的にお示しし、業務のお手伝いをする目的で作成させていただきました。
本書を企画したきっかけと致しましては、相続実務の経験豊富な弁護士が集まった際、近年、デジタル財産など、これまで相続で扱ってくることが少なかった類型の財産が遺産のなかに含まれることが増えてきたということが話題に上がり、各弁護士がそれぞれの手探りで調査・評価等の方法を検討・分析した結果を書籍の形でまとめることで、本書を手に取った実務家の皆様の業務の効率化を図ることができるだろうと考え、本書を企画・執筆いたしました。本書では、「相談された非典型財産がそもそも遺産となるのか(規約等で、一身専属的な権利とされている場合が多いかどうか)」、「当該財産が存在している可能性があるとしたら、その存在をどのようにして調査するか(どこにどのような問い合わせを行うことが可能か)」、「許認可や届出が絡んでいる遺産について、相続開始後、どのような手続きが必要か」などが、わかりやすいようcaseごとに細かく掲載しております。
日本の年間死亡数は、増加傾向にあります。近年の死亡者数の増加傾向等を受け、一部のマスコミ等では、「大相続時代」の到来などとも叫ばれております。そのようななか、相続事件を円満に解決できるよう、日々、現場で奮闘している実務家が執筆・編集している本です。そのため、本書は、あくまでも、実務家の皆様向けに、相続財産の中に、「非典型財産」が存在している可能性のある事件に直面した実務家の仲間に対して、その調査方法・解決方法の処方箋を提供すべく、書かれたものです。
そこで、非典型財産を遺産に含む相続事件を円滑・適正に解決すべく、以下の視点をもって、本書を作成させていただきました。
・被相続人の相続調査において、どのような端緒があったら、非典型財産の調査を実施するかどうかを検討すべきかの判断ができる手助けをしたい。
・被相続人が非典型財産を保有していた可能性がある場合、どのような調査を実施して非典型財産の有無を検討できるよう、具体的な調査方法を盛り込みたい。
・被相続人が非典型財産を保有していた場合、相続財産の把握に必要な手続きをスムーズに進められるよう、連絡先や資料提供の根拠を充実させたい。
・被相続人が保有している非典型財産を把握できた場合、その評価や換価方法について、注意点も含めて、具体的に解説したい。
・非典型財産が遺産に含まれている可能性がある相続人から、相続に関する法律相談を受けた専門家が、調査方法などの具体的な手続きを説明できるよう、勘どころや悩みを共有できる書籍を作成したい。
本書では、デジタル財産などのこれまでの相続事件ではあまり馴染みのなかった非典型財産を重点的に取り上げ、100ものcaseを挙げて、様々な非典型財産の調査方法や換価方法・名義変更手続きなどを検討・解説させていただいております。本書を手に取っていただいた皆様が、非典型財産が遺産に含まれていたとしても、「おっ!先日、購入した本に、調査方法が書いてあった」と発見でき、相続財産調査や相談者へのアドバイスを淀みなくできる一助となることを編者・筆者一同祈念しております。
(2024年4月執筆)
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