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行政2018年06月15日 農地相談についての雑感 発刊によせて執筆者より 執筆者:宮﨑直己

 私は、これまで農地法に関する解説書を多く出している関係上、農地に関する法律問題について、地元のみならず全国から相談が寄せられます。
 相談内容は多様です。例えば、「自分の先代が借りた農地について、地主の方から返還を求められているが、どう対処したらよいか」。これは賃借人からの相談です。あるいは逆に、「農地を貸しているが、賃借人にはそろそろ返還して欲しいと言いたい。この場合、離作料を払う必要があるのか」。これは賃貸人の側からの相談となります。他にも、 「中山間地に農地を所有しているが、自分も高齢であり、これ以上は農地の管理ができない。しかし、地元では誰もその農地を買いたいと言わない。本当に困った」という相談もあります。
 農地がからむ法律問題は、単に、弁護士資格を持っていれば誰でも正解が出せる問題ではなく、農地法という基本法について一定の理解が前提となります。弁護士という仕事は、自分がよく依頼を受ける分野にあっては、専門知識も自然と蓄積されますが、そうでない分野については、意識的に自分で勉強しないと知識は身に付きません。
 農地法について言えば、専門家と呼べる弁護士は少ないというのが実情でしょう。それは、農地に関する法的なトラブルは、仮に仕事として依頼があっても、ほとんど儲けが出ないため、誰も積極的にやりたがらない、ということではないでしょうか。そのため、いわば「斜陽産業」のような立場にある農地の法律については、弁護士の心中において、誰も積極的に勉強しようとする動機が生まれないということです。

 話題は変わりますが、最近は、新聞報道などでも、所有者が不明の土地が全国的に増加している、あるいは耕作放棄地が増えている、などという話を耳にします。人口が減少する傾向にある我が国においては、昔のように「土地を持っておれば、自然と値段が上がって儲かる」という時代は過ぎ去り、今では、使い物にならない土地など要らないという時代になっています。
 しかし、農地は、人間の生存にとって必要不可欠な作物を生む基盤であり、極めて重要なものです。その農地をどのように活用するかという問題は、農業政策に直結する重要な問題と言えます。私としては、国は、農地をもっと活用できるような政策を考えるべきであると思います。
 具体的には、第1に、高齢者が中心となって行う零細農業ではなく、組織化された法人を中心とした農業経営が望ましいと考えます。
 第2に、農業予算の使い途については、農業所得の足らない部分を補填するというような消極的な目的を持つ分野に多くを充てるのではなく、農業技術の開発・研究に対する補助金や農業分野への参入を志す若者に対する補助金を手厚くするべきであると考えます。
 第3に、日本の農産物を海外に輸出しやすくする努力が必要です。また、我が国で開発された農産物についての知的財産権についての保護も重要と考えます。せっかく日本で、おいしい農産物を作る技術を開発しても、他国が勝手にそれを真似て、コピー商品のような農産物を発売するようなことを許すわけには参りません。
 以上、いろいろと勝手な感想を述べましたが、私としては、我が国の農業が今後ますます発展してゆくことを望むだけです。

(2018年8月執筆)

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