税務・会計2024年06月05日 税理士事務所経営のささやかな羅針盤となるように 発刊によせて執筆者より 執筆者:坂部達夫
皆さんは、税理士業界の一部で「事務所見学会」というイベントが行われていることをご存じですか。某会計システムのユーザー会で行われているものですが、とりわけ開業間もない税理士に対して先輩税理士が事務所経営の一部を公開するというものです。筆者が開業した30数年前、当時先進的といわれている事務所を訪問し、事務所の内部文書を公開していただき、主催税理士の苦労話や自慢?話に聞き入ったことを覚えています。
とはいえ税理士どうしの交流は広く行われているものの、事務所の経営の踏み込んだところまで、心を開いて情報交換する機会は稀のように思います。
その状況を示すように、本書のような事務所の経営に関わる切実な要求に応える類書は見当たりませんでした。
一つには、失敗を公開するのは気恥ずかしい、またそのようなノウハウ的なものは伝え(表現)づらいなどいくつかの理由があるのでしょう。
本書の特徴は、①業法である税理士法を遵守していること(第1章において総論という形でまとめています。)、②具体的なカテゴリーを3つとしました(第2章契約、第3章税理士業務、第4章周辺業務)。そのうえで、各章にクライアントからの要求を具体的な事例形式にまとめています。③契約や周辺業務等で、税理士事務所の新しい収益構造としての認定支援業務その他のコンサルティング業務をご紹介しています。④すべての項目に弁護士からの視点でのチェックをお願いしています。顧客と税理士との関係性は行きつくところ法律問題であることを前提としています。
以下、各章のダイジェストを掲げてみます。
第1章(総則) 税理士の職務と責任を、税理士法その他関連諸法規により明らかにしています。そのうえで、契約や責任の分析を行い、税理士の本来業務や周辺業務への取組み方に言及しています。
第2章(契約) 税理士業務について、税理士法に準拠して契約上の諸問題を明らかにしています。また周辺業務の契約についても実務上の便宜を測るよう書式を掲載しました。
第3章(税理士業務) 税理士法でいう税理士の本来業務に即して事例を作っています。顧問料の引き下げ圧力と業務品質の確保とのバランスのとり方は参考になると思います。
第4章(周辺業務等) 税理士の業務を取り巻く仕事、すなわち周辺業務の事例を用意いたしました。資金調達・補助金取得、経営革新等支援業務などの手順や請求の在り方まで可能な限り実務に即して説明しています。
最後に、本書の最大の特徴は、税理士・弁護士が協調して執筆していることです。いい換えれば、税務リスク・法務リスクに目配り・気配り・心配りがされています。
(2024年5月執筆)
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執筆者
坂部 達夫さかべ たつお
税理士
略歴・経歴
明治大学経営学部卒業後、会計事務所勤務。
税理士資格を取得し、1989年1月税理士事務所開業。
同時に経営とファイナンスのコンサルティング会社として(株)アサヒ・ビジネスセンター設立、代表取締役就任。
1997年筑波大学大学院修士課程 経営・政策科学研究科 企業法学修了。
日本税務会計学会 相談役
東京税理士会会員相談室 相談委員
執筆者の記事
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開催日/エリア | 講師 | セミナータイトル | 定員 | 受講料 |
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2024年10月16日[] | ■坂部 達夫(税理士法人 坂部綜合会計 社員税理士(会長)) | 【オンライン録画配信】「税理士事務所が取り組む 相続診断・設計/事業承継のコンサル手法」 ~趣旨・受注・提案から報告まで~ 主催:新日本法規出版株式会社 |
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