一般2007年01月10日 中国を見る眼 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:川口創
1.既に何度も触れているところであるが、私が所属する名古屋第一法律事務所は、他の東京、大阪の法律事務所と共同で大連に法律事務所を設けている。
2006年9月に、愛知県弁護士会の20人程度の弁護士が大連に旅行に来られ、大連事務所にもお立ち寄りいただき、大連事務所の弁護士や大連の弁護士らと親睦を図る機会があった。
愛知県弁護士会のご一行は、はじめて大連に来られたという弁護士がほとんどであったが、「大連に初めて来てカルチャーショックを受けた」と仰っていた方が多かった。
いまだに、多くの日本人は、かつてNHKで放送されていた「シルクロード」当時の中国を思い描いているようだ。
しかし、北京、上海、大連など大都市については全く違う。大連は超高層ビルが建ち並び、街の中心部には高級デパートが林立している。大型スーパーも多く、日本のスーパーの規模の比ではない。沢山の品物があふれかえっており、それを多くの市民が購入していく。また、市内には車が溢れており、しかもベンツなどの高級車も非常に多い。
初めて中国の大都市(特に沿岸部)に来られる方はその発展ぶりにショックを受けるようである。
2.もっとも、他方で、やはり貧しい生活をしている市民もかなりおり、格差化がかなり進行していることは間違いない。日本国内では、この点が中国の問題点としてクローズアップされることがしばしばある。
日本でも「格差社会」と言われる状況が進行している。経済新聞では好景気といいながら、日本の中小企業や普通の労働者のほとんどは、売り上げや給料がどんどん下がっていく中で、希望を失ってしまっている。
しかし、中国では、経済全体が上向きなため、貧しくとも将来に希望を持って生活をしているという点で日本の格差とは本質的に異なっている。また、中国政府も格差に対する対応をしようと積極的に努力をしており、その点で格差を助長している日本政府と根本的に異なる。
3.私たちは中国と付き合う際に、どうしても日本国内の日本人からの情報だけに依拠して、過度な脅威論や危険論に踊らされがちである。
しかし、出来る限り中国の現地を直接訪れ、現地の状況を肌で感じ、現地の人達と交流し、そして中国政府の経済戦略をしっかり分析していく必要があろう。常に最新の情報を取り入れて分析していくことは当然であろう。
短期間で大きく変わっていく中国国内の情勢を冷静に見極めながら、建設的に共存共栄を図っていく方向を常に探求していきたい。
(2006年12月執筆)
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