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一般2008年10月15日 循環型経済促進法の制定 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:稲田堅太郎

 中国では去る8月29日に閉幕した第11期全国人民代表大会常務委員会第4回会議で「中華人民共和国循環型経済促進法」が可決採択されて公布され、来る1月1日より施行されることとなりました。
 その目的とするところは「循環型経済の発展を促進し、資源の利用効率を高め、環境を保護・改善し、持続的発展を実現するため」(第1条)とされています。
 会議終了後のあいさつの中で、呉邦国委員長は同法について国内外の循環型経済の有益な経験を総括し、減量化、再利用、資源化奨励のための政策措置を法律の形で固定しており、中国の循環型経済の発展、社会全体の環境意識の増強、資源節約型の環境にやさしい社会作りに積極的な影響を及ぼすに違いないと述べています。
 国際社会の中では資源・エネルギーの供給がTIGHTになっている状況の中で中国政府が本格的に省資源・省エネに取り組んでいこうとする政策の具体化として積極的評価が与えられるものと思われます。
 新たに制定された循環型経済促進法は総則、基本管理制度、減量化、再利用及び資源化、奨励措置、法律責任、付則の計7章59条からなっています。
 同法によると(1)工程・設備・製品及び包装物の設計に携わるときは資源の消費と廃棄物の発生を減らすという要請に従って回収しやすく、解体しやすく、分解しやすい無毒・無害又は低毒低害の材料と設計案を優先的に選択・採用しなければならず、また関係国家規格の強制的基準に適合させなければならない、(2)工業企業は先進的又は適正な節水技術、工程及び設備を採用し、節水計画を策定して実施し、節水管理を強化し、生産用水について全過程制御を行わなければならない、(3)国は企業が高効率・石油節約製品を使用することを奨励し支持する、(4)企業は国の規定に従い、生産過程で生じる粉炭灰、ぼた、尾鉱、廃石、くず、廃ガスなどの工業廃棄物を総合的に利用しなければならない、(5)企業は多段階用水システムと循環用水システムを拡大し、水の重複利用率を高めるとともに先進的技術・工程と設備を採用し、生産過程で生ずる廃水を再生利用しなければならない、(6)企業は先進的又は適正な回収技術・工程・設備を採用し、生産過程で生じる余熱・余圧などを総合的に利用しなければならないと規定しています。
 さらに循環型経済を発展させる産業活動を税制面で優遇するとともに先進的省エネ・節水・材料節約型の技術・設備・製品の輸入奨励、あるいは循環型経済の経営管理、科学技術研究、製品開発、モデル普及活動で顕著な成績をあげた事業所と個人に対する表彰をしなければならないとしています。
 本格的に省エネ・省資源に取り組もうとする中国の今後の経済活動に変化が現れるか注目していきたいものです。

(2008年10月執筆)

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