一般2013年05月01日 両国の震災支援を両国民の友好につなげたい 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:川口創
2013年4月20日、中国四川省でマグニチュード7.0の大地震が発生した。
中国地震局は4月24日、死者が196人、行方不明者が21人、負傷者が1万1,470人に上ったと発表した。なお、今回の地震では、中国政府は、現地の交通事情などから各国からの支援は現時点で受け付けないとしている。
中国四川省では、2008年5月にも巨大地震が発生し、その時には被災者は1,000万人、被災地域は6万5,000平米(日本の国土の6分の1に相当)という甚大な被害が生じた。
当時日本政府は、救護人員を派遣するなど様々な支援を行った。自治体の中でも、たとえば四川省と友好提携をしている広島県は、地震の翌日の5月13日に早速見舞い状を送り、15日には見舞金500万円を贈呈、6月にはブルーシート1,500枚、毛布1,000枚、テント30張など(合計1,000万円相当)を提供するなどの支援も積極的に行った。
これに対し、四川省から広島県に対して「両省県が引き続き友好交流を深め、協力の成果を不断に拡大することを希望しています」などと書かれた感謝状が贈られた。
また、各NGOも被災地に入り、中にはかなり長期的に支援を行ったNGOもあった。
政府同士の支援もさることながら、自治体を主体とした機敏な支援や、あるいはNGOを主体とした長期的なきめ細かい支援が、両国の国民、人民の交流を進めていくことにつながったと、私達は学んだ。
我が国の東日本大震災の時にも、温家宝首相が福島の避難所を訪れるなど、大いに励まされたのも記憶に新しいが、当時、私の知人の間でも「四川の時にお世話になった恩返しを」という反応が多かった。四川の時の日本国民の支援が、中国国民の心に刻まれていたのである。
日中両政府間には、政治的に様々な軋轢が生じている現状はある。
しかし、それぞれの国民が困難に直面したときには、自治体やNGOなどの市民レベルが主体となって支援し合いながら、お互いの国民の友好交流を深めていきたいものである。
(2013年4月執筆)
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