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一般2011年01月05日 商業賄賂で処罰 日本人弁護士が見た中国) 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:稲田堅太郎

 「人治から法治」への徹底をめざしている中国政府ですが、中国内取引においては未だにリベートやバックマージンが横行しているのが実態です。
 ところで、日本ではほとんど報道されていませんが、トヨタ自動車の全額出資子会社である豊田汽車金融(中国)有限公司(トヨタモーター・ファイナンス・チャイナ)が自動車ディーラーのローン業務を独占し、高い利息をとってディーラーにリベートを支払っていたとして、2010年9月20日に商業賄賂を理由に淅江省杭州市工商管理局江干分局から行政処罰公聴告知書を受取りました。同社は寧波などにおいても多くのディーラーに対する商業賄賂の疑いで立件調査を受けているとのことです。
 当局の調査によると2008年8月からトヨタ車のディーラーである杭州金豊豊田汽車銷售服務有限公司、淅江広豊通田汽車有限公司、杭州東昌汽車銷售服務有限公司の3社が個人向け自動車ローンの取扱い業務を始めてトヨタファイナンスのローンを優先的に推薦する一方トヨタファイナンスは3社に対して「手数料」または「サービス料」などの名目で金品を贈り、ローン業務を獲得していたものであるとされています。
 トヨタファイナンスの1年物ローンの金利は10%~13%、これに対して中国の4大国有銀行は7%足らずであり、中クラスの15万元の車を購入した場合、頭金として5万元を支払い残り10万元を1年ローンにすると4大国有銀行なら7000元前後の金利で済むがトヨタファイナンスの場合は利息が1万元から1万3000元となり、利息の4.5%がリベートとしてディーラーに支払われることになります。
 トヨタファイナンスでは2008年8月から2010年4月までの間にディーラー3社に対して「手数料」又は「サービス料」として70640元を支払っており、消費者が実際に支払った利息は75万7609元であり営業税などを差引いた42万6352元をトヨタファイナンスが得たものであるとされています。
 当局の調査によるとトヨタファイナンスのこれらの違法所得はトヨタ車を購入した49人の消費者が支払ったローンの利息から得たものであるとされていますが、当局は「中華人民共和国不正競争防止法」などの法律法規に基づき、トヨタファイナンスの行為は商業賄賂にあたるとして42万元余りの違法所得を没収し、罰金14万元の行政処罰の決定をしたものです。
 法治国家への発展をめざす中国政府の方針とはいえ、充分に注意する必要がありますネ。

(2010年12月執筆)

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