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一般2008年06月04日 東アジア共同体 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:加藤洪太郎

EUに学ぶ

 先頃、EUを知るためにブリュッセルを訪れる機会があった。2002年に続いて二度目の視察・交流訪問である。基本テーマは前回に引き続く「EUに於ける中小企業支援政策」であったが、根底にある欧州連合の歴史に触れる場面があった。

欧州石炭・鉄鋼共同体が画期

 欧州の連合への歩みの中で画期となったのは、第二次世界大戦後の1952年に発足した『欧州石炭・鉄鋼共同体 』の結成だとのこと。小国のベネルクス三国を基軸に大国のフランスと西ドイツが参加。奪ったり奪われたりの度重なる戦乱での焦点となった豊富な石炭産地・ルール工業地帯を『共同管理』し、欧州の鉄工業の平和的発展をめざすものとなった。
 これが発展成長して今日のEUとなった。

翻って東シナ海のガス田
 翻って、わが東アジアを見る。
 一世紀前、主要エネルギー源を産出するのは炭坑であったが、今では油田やガス田。日本と中国との間の東シナ海にも膨大なガス田がある。いずれの国の排他的経済水域内でもあり、したがって日中の中間線で線引きするのか、大陸棚の先端まで支配が及ぶとするのか、問題を抱えている。

東アジア共同体
 ここで想う。
 かつての欧州の如く、奪ったり奪われたりの戦乱の歴史を、これからくり返す、その発火点として利用するのか?
 それを経た欧州が今では辿り着いている、共同管理そして共同体の方向へむけて真摯な努力を重ねるのか?

明るい側面
 明るい側面もある。
 ガス田共同開発の交渉が進んでいること、アジアの小国連合とも言うべきASEANのイニシャティヴのもとに日・中・韓もこれに加わって東アジア全域の共同協力が進みつつあること、などがそれである。
 ドルが下落しユーロが上がる、このユーロ圏で小遣いをつかいながら、アジアの運命に想いを馳せるEU視察であった。争いごとは戦力ではなく司法の裁きによって解決できるし解決しなければならない、というのが日中法務交流・協力日本機構の理念。あらためて一隅を照らす使命を自覚するところとなった。

(2008年6月執筆)

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