一般2016年08月05日 中国では、今年から営業税から増値税に切り換え課税するようになりました。 中国律師(弁護士)が見た日系企業 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:于虹
中国では、営業税から増値税に切り換える試験として、2012年1月1日まず上海で開始し、その後、徐々にいくつかの都市で推進し、今年の5月1日より、全国範囲でやり始めました。その政策の内容とやり方を早めに分かるようにする為に、中国国家税務総局は、「営業税より増値税に移行する試験を全面的に推進する12366知識庫問答」を発布しました。日系企業の皆様のご参考になるように、あえて、その中の関連あるものだけを下記の通り、和文に翻訳しておきました。
1.中国国内で増値税課税される役務を提供する人は、増値税を納付する必要があるか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第一条の規定により、中国国内において、サービス、無形資産又は不動産を販売する事業者と個人は、増値税の納税人となり、当該弁法によって増値税を納付すべきである。個人とは、個人工商経営者とその他の個人を指す。よって、個人が中国国内に増値税を納付すべきサービスを提供する場合には、増値税を納付する必要がある。
2.増値税を納付する人は、どのような種類があり、そしてどのように分けられるのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第三条の規定により、納税人は一般納税人と小規模納税人とに分けられる。課税行為の年間の増値税課税すべき売上高(以下「課税すべき売上高」と言う)が、財政部及び国家税務総局が決めた基準を超える納税人は一般納税人となり、超えない納税人は小規模納税人となる。年間の課税すべき売上高が決められた基準を超えるその他の個人は一般納税人とならない。年間の課税すべき売上高が決められた基準を超えるが、経常的に納税行為が発生しない事業者と個人工商経営者は小規模納税人の基準で納税することを選択できる。
3.納税人は一旦一般納税人として登記された後に、小規模納税人に変えられるのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第五条により、国家税務総局が別段規定したものの外は、一旦一般納税人と登記したら、小規模納税人と切り換えてはならない。
4.国外にある事業者は、国内で発生した課税行為について、納税する必要があるのか?どうやって納税するのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第六条の規定によって、中華人民共和国国外(以下「国外」と称す)にある事業者又は個人が国内で発生した課税行為について、国内に経営機構を設けていない場合には、仕入れ側を増値税納税義務者とする。財政部及び国家税務総局に別段の規定がある場合除外とする。
5.二つの納税人が合併して納税することができるのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第七条により、二つまたは二つ以上の納税人は、財政部及び国家税務総局に許可されれば一つの納税人と見なして合併納税できる。その具体的なやり方としては、財政部及び国家税務総局が別途定める。
6.営業税から増値税に移行する政策にある「有償」とは、どのように理解するのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第十一条により、「有償」とは、貨幣、貨物又はその他の経済利益を得ることを指す。
7.営業税から増値税に移行する政策は、増値税の税率について如何に定めたのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第十五条により、増値税税率は下記のようになっている。
(一)納税人に発生した課税行為は、本条第(二)項、第(三)項、第(四)項の他は、税率6%とする。
(二)交通運輸、郵政、基礎電信、建築、不動産賃貸サービスの提供、不動産販売、土地使用権の譲渡は、税率11%とする。
(三)有形動産の賃貸サービスの提供は、税率17%とする。
(四)国内事業者と個人に発生したクロスボーダー課税行為は、税率ゼロとする。その具体範囲については、財政部及び国家税務総局が別途定める。
8.増値税の税金計算方法はいくつ有るのか?
「営業税から増値税への切り換え試験実施弁法」第十五条により、増値税の税金計算方法には、一般税金計算方法と簡易税金計算方法とがある。
9.貨幣資金を出資して、固定利益を得る又は元本保証利益を得る場合については、どの税目によって増値税を納付するのか?
「財政部、国家税務総局の営業税から増値税への切り換え試験を全面的に推進することに関する通知」(財税「2016」36号)の規定により、固定利益を得る又は元本保証利益を得る為に貨幣資金を持って出資した場合には、賃貸借サービスによって増値税を納付する。
(2016年5月)
人気記事
人気商品
一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 全119記事
- 中国における定年延長の決定
- 刑法改正のポイント
- 中国「会社法」改正のポイント
- 中国に銀行預金を残して死亡した場合の解約手続について
- 中国所在の不動産を巡る紛争と裁判管轄の問題
- 「老後は旅先で」~シニアの新しい生き方~
- 中国に出資しようとする外資企業に春が来た
- 「企業国外投資管理弁法」の概要
- 楽しさと便利さが、庶民の生活を作る。
- 中国会社法「司法解釈(4)」の要点解説
- 日本産業考察活動メモ
- 長江文明・インダス文明、再来の始まりを予感
- 中国国務院より「外資誘致20条の措置」が公布されました
- 中国の対日投資現状とトレンド(2)~中国の対日投資の論理とトレンド~
- 観光気分の危機管理
- 訴訟委任状に公証人の認証が必要か?
- 『外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法』の解説
- 婚活は慎重に!とある中国人女性と日本人男性の事例
- 新旧<適格海外機関投資家国内証券投資の外国為替管理規定>の比較
- 中国では、今年から営業税から増値税に切り換え課税するようになりました。
- 土地使用権の期限切れ
- 過度な中国経済悲観論について思うこと
- 『中華人民共和国広告法(2015年改正)』の施行による外資企業への影響(後編)
- 203高地への道
- 中国大陸における債権回収事件(後編)
- 中国大陸における債権回収事件(前編)
- 訪日観光は平和の保障
- 大連事務所15周年&新首席代表披露パーティーを行いました
- 再び動き出した中国の環境公益訴訟
- 「国家憲法の日」の制定
- 中国独占禁止法
- 道路の渡り方にみる日中の比較
- 日本の弁護士と中国の律師がともに講師となってセミナー
- 日中平和友好条約締結35周年に思う
- 中国におけるネットビジネス事情
- 敦煌莫高窟観光の人数制限と完全予約制の実施
- 両国の震災支援を両国民の友好につなげたい
- 公共交通機関のサービス体制
- 「ありがとう」を頻繁に口にすることの効果
- 久しぶりの上海は穏やかだ
- 事業再編の意外な落とし穴
- 強く望まれる独禁法制の東アジア圏協力協定化
- いまこそ日本企業家の心意気を持って
- iPadに見る中国の商標権事情
- 人民元と円との直接取引がスタート
- 中・韓のFTA(自由貿易協定)交渉開始と日本
- 固定観念を打破し、異質を結びあわす閃きと気概
- 若い世代を引きつける京劇
- 大都市は交通インフラが課題だ!
- 杭州市政府の若手職員の心意気
- 13億4000万人を養う中国の国家戦略
- 「命の安全」を考える。
- 大連で労働法セミナーを開催しました
- 中国でも「禁煙」規定が発効
- 中国における震災報道から思う
- IT通信手段は、不可欠だ。
- 日本人は計画的?中国人は行きあたりばったり?
- 広州・北京に見るストライキ事情
- 商業賄賂で処罰
- 大連事務所は開設10周年を迎えました!
- 顔が見える交流
- 日本は人治、中国は法治?!
- 日本の公証人制度
- 充電スタンド建設の加速
- 上海の成熟した喧噪と法意識の違い
- 中国における日本人死刑執行の重み
- 中国の富裕層は日本経済の「救世主」か
- 日本に追いつき追い越せ/パートII
- 国際交流を望む中国研究者にとって日本は遠い国だ
- 「文化産業振興計画」の採択
- 国慶節に思う
- IC身分証明と在日外国人取締強化
- 「日本人は・・・・・」「中国人は・・・・・・・」
- 中国の携帯電話産業
- メラミン混入粉ミルク事件
- 大連市の公証人役場
- 東北アジア開発の動きと長春の律師
- 循環型経済促進法の制定
- 北京オリンピックと私たち
- 四川大震災に想う
- 日・中企業間の契約交渉の実例
- 東アジア共同体
- レジ袋の有料化
- 通訳の質について
- 「中国餃子バッシング」に思う
- 中国の休日
- インドを見てから、あらためて中国を見る
- 日中韓の国境は障害を乗り越え、確実に近くなっている。
- 北京市の自転車レンタル事業から中国の環境政策を見る
- 福田首相と日中友好
- 上海の空、東京の空 四日市公害裁判提訴(1967年)から40年後の今に想う
- 物権法の制定過程
- 司法より行政に権力がある
- 中国の『走出去』戦略を読む
- 中国の環境問題
- 中国のオーケストラ
- 春節
- 「いじめ」は共通語だ!
- 中国を見る眼
- 最高人民法院を訪問しました
- 機内食のコップ あっという間の進歩
- 冷静な眼と暖かい心
- 自主的な総合的力量を備える
- 宴席は丸か四角か
- 「十一五」規画始動!
- 依頼人の人権擁護
- 身の安全
- 中国で「勤勉さ」を学ぶ
- 203高地や旅順口などの戦跡を訪れて思う
- 「ソウルで味わった韓流の逞しさ」
- 中国と日本の立法・行政・司法
- くれぐれも御用心
- 海外旅行は、法リスクの宝庫だ。
- 互いの理解
- 信頼関係の形成に向けて
- 中国憲法における「改革・開放」路線
- 苦情処理センターの効用
- 信頼できる中国人パートナーを得る
- 外国への進出と契約
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.