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一般2006年07月05日 宴席は丸か四角か 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:加藤洪太郎

■ 違い
 あまり意識しなかったが、宴席の形が日本と中国で異なるところがある。
 日本ではテーブルが長方の四角形である場合が多い。丁度、畳一枚分くらいの大きさのが一つのテーブルである。
 人数が多くなると机をやめて銘々のお膳にし、大広間を一周する大長方形に居並ぶ陣形が出来上がる。
 席順も「上下関係」など序列ということを意識して決めている。
 で、宴席に運ばれて来る料理は出される前から各々の分が取り分けられている。
■ 他方、中国では
 他方、中国では、丸いテーブルでぐるりと円形に着席する。
 人数が多くなると丸テーブルがいくつも室内に置かれる。
 席順も日本の場合とは異なったコンセプトで決まる。
 円卓に置かれる料理は大皿に盛りつけられており、それをみんなで分け合う。各人はそこから自分の欲しい分を取り皿に取り込むのだ。
■ さて、始まってみると
 さて、宴席が始まってみると、長方形の場合は、何だか格式張ってるようにも思われる。大広間の場合、宴も進んでくると活発な人がそれぞれ自席を立って自分が話しをしたい相手の面前に座り直し、「一献どうぞ」とか「お流れ頂戴」とかお酌をしあって会話を交わす。少し経つと違う相手のところに移動する。いわば連続的な個別会談だ。しかも多くの場合、目下の者が目上の者の席を訪れて廻る。だから移動して歩いている者は料理が食べられない。
 丸テーブルの場合は、同席者全員に向けた会話が多く、互いに会話が飛び交い易いと感ずるのは私だけだろうか。多人数の場合でも各テーブル毎のグループ討論の如き様相となる。席を離れて歩き回る者はあまりいない。お酒を勧めるのも、1人づつにお酌をして勧めるのではなく、互いに乾杯!といって双方が杯を乾しあう。料理も誰もがシッカリ食べられる。
■ 日本でも
 日本でも、宴席によっては「四方同席」と書いた紙を四方に掲示する場合があったり、あるいは、中世の一揆のとき、連判状への連署を円形にして、だれが首謀者かわからない笠連判状にしていたとか、丸形発想がないわけではない。
 どうやら、人間関係の基本を、上下関係でみるか、横々関係でみるか、習慣的な、無意識的な違いが、双方の社会の根底にあるようにも思う。だからといって、何もかもが、つまり全面的に両社会の特徴がそうかというと、事はそう簡単・単純に割り切れるわけでもない。だが、日常的なこうした違いの蓄積が、知らず知らず人の意識に影響を与え続け、その後の人間関係のありようや、これからの時代を創っていくうえで、大きな差を生み出すこともあり得る。
 日本と中国との両国に身を置くことから、そうでなければ振り返ることもなかった習慣の意味をあらためて見直すこととなりました。

(2006年6月執筆)

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