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一般2008年01月09日 インドを見てから、あらためて中国を見る 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:加藤洪太郎

■ インド
 07年の暮、はじめてインドを見る機会があった。10日間ほどの短期日程だったが印象は強烈であった。
 街から街への移動に車で走ったところもある。200kmとか300kmとかを三度くらい走った。右を見ても左を見ても、そして前も後ろも、全て地平線まで耕地が拡がる広大さだ。街に入れば人・人・人その数の多さと密度に圧倒される。同時に貧困も目立つ。訊けば、日本の如き農地解放はなされておらず、一方の大地主と他方の小作といった関係も続いているとか。
 一方、本で調べると食糧自給率は90%を超えるようだ。10億を超える自国民の食糧が、何はともあれ自給に近いとは、ある意味で凄いことだと思った。社会構造の変化にあわせて灌漑も大きく進むとき、この国の農業生産力が大きく充実するだろうことを予感させるに十分な底力を見た想いである。バンガロールだけがインドではない。

■ 似たところ
 そこで、中国をあらためて想った。どこか似てるぞ。どう似てる?と。
 そうだ、人・人・人がもつ『生きよう!』とするエネルギーのほとばしりが似ているのだ。街の混雑、連なる間口1間程の店々、バザールの雑踏、次々に爆走するトラック、建設現場、どこも『前に!前に!』進もうとするエネルギーに充ち満ちているように感ぜられた。
 そしてもう一つ気がついた。自国のアイデンティティーや独立に対する習慣化された意思である。
 みれば田舎でも街でも女性の殆どはサリー姿である。国籍不明?の姿はない。
 また、街中で飾り付けをした車を連ねてのパレードに時々出会ったが、インド独立のリーダー達を顕彰するものが多かった。19世紀から20世紀のアジアの歴史の重みを垣間見る想いがした。
 何れも人口10億人を超える中国およびインドが、自立して立ち上がり繁栄する時代がそう遠くないことを実感する。 

■ 日 本
 アジアは確実に変貌する。
 そう思いつつも、いささかインドのエネルギーに圧倒されて疲れ気味となった心身をもてあまし、旅の最後にデリーの居酒屋に入った。日本式である。迷わず「熱燗!」と一声。五臓六腑にしみわたるとはこのことか。
 少し落ち着けば聞こえてくる店内での日本人の会話。どこかで聴いた話題だ。そう、中国の日式酒場での日本人駐在員どうしの会話と同じだ。中身も口調も同じである。 
 で、私は日本人。日本はいかなる役割を担うことになるのか。
 唐天竺(からてんじく/中国とインド)の文化文明そしてその繁栄の影響を受けつつ独自の発展を遂げてきた日本である。もう一度その歴史をアジア史の中に位置づけて見なおそう。

(2007年12月執筆)

一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 全115記事

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  2. 「老後は旅先で」~シニアの新しい生き方~
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  4. 「企業国外投資管理弁法」の概要
  5. 楽しさと便利さが、庶民の生活を作る。
  6. 中国会社法「司法解釈(4)」の要点解説
  7. 日本産業考察活動メモ
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  10. 中国の対日投資現状とトレンド(2)~中国の対日投資の論理とトレンド~
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  30. 日中平和友好条約締結35周年に思う
  31. 中国におけるネットビジネス事情
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  109. 海外旅行は、法リスクの宝庫だ。
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  115. 外国への進出と契約
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