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一般2006年02月01日 203高地や旅順口などの戦跡を訪れて思う 日本人弁護士が見た中国 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:加藤洪太郎

■ 戦跡を訪れる 
 中国東北部の入り口、大連の中心地から半日の旅程で203高地や東鶏冠山などのロシア軍堡塁跡を訪れ、203高地の頂上から旅順口を望見したりすることが出来る。
 100年前の日露戦争の戦跡の一つである。

■ 何度も訪れるうちに
 われわれの法律事務所の中国代表処が大連にあるために、日本から訪れる友人たちを案内したりで、結構、何度も戦跡を見ることになる。
 そうすると、以前には気付くこともなかった疑問がわいてくる。なにせ、中学高校の歴史の授業では、20世紀に入るところまでは授業が続かない。明治維新でハイ学年末、と云う具合だったので、考えてみればロクロク学んでいないのだ。
 だから、
 ロシア軍陣地が海側に向いていないで、海と反対側の陸側に対抗する形になっているのは何故か?
 一体全体、あんなに大勢の日本の歩兵を、日本からここまでどうやって連れてきたのか?どうして、そんなことが可能だったのか?
 なぜ、旅順口内のロシア艦隊を砲撃したのか?
等々、いちいち判らず、考え込んだり、日本に帰って文献を読んで、もう一度現場を見てあらためて納得したり、等々の繰り返しだ。そうするうちに、様子がだいぶ判ってくる。

■ 歴史から学ぶ
 その内、
 日露戦争とは何だったのか?何をなぜロシアと争ったのか。
 その前の日清戦争とは何だったのか?何をなぜ清朝と争ったのか。
 日露戦争の結果と、1945年の日本敗戦の事態とは、どうつながっているのか?
 法律家であることもあってか、結構、因果のつながりや、構造的な事態の把握に関心が向かってしまう。
 日本に帰って、またまた関係の書物でこれら関心事について、納得を得られるまで歴史を調べる。

■ 目覚め
 こうして敗戦を経て国民主権・基本的人権尊重・恒久平和の三つの主義を骨格とする日本国憲法の制定に及ぶ。これを再出発点とした戦後史に関心が再び向かう。
 そして今、100年前の激戦地の上に立って今の世代に生きる法律家としての使命に目覚める、と云うとおこがましいだろうか。
 そうであればこそ、ここで命を失った膨大な数の同胞、そしてロシア人、中国人、皆々様の追悼になろう。

(2006年1月執筆)

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